アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「暮れなずむ町」って…どんな町?

2012年10月03日 | Weblog
 暮れなずむ町の 光と影の中
 去りゆくあなたへ 贈る言葉
 悲しみこらえて 微笑むよりも
 涙かれるまで 泣くほうがいい
 人は悲しみが 多いほど
 人には優しく できるのだから
 さよならだけでは さびしすぎるから
 愛するあなたへ 贈る言葉

 いっとき、日本中の卒業式で歌われておりましたこの歌。一番の歌詞を書きましたが、今日のテーマは、一行目。「暮れなずむ…」の「なずむ」。
 「暮れなずむって、どういう様子?」若者達からは、まともな返答が無い。ダジャレで返そうと努力を試みる人もいるが、「暮れなずむ」をダジャレにするのは無理。卒業式で歌ったという人ばかりだったが。つまり、意味が解らずに歌っていたってこと。
 これが、還暦過ぎの皆さんは、「なずむは、なずむだべ」と、良く解っておられる様子。

 「なずむ」の意味は、「物事がはかばかしく進まないでいる。進むのに難渋する。とどこおる」という意味。つまり、「暮れようとしている(陽が沈もうとしている)のだが、どこかにひっかかって、日没がはかばかしく進まない」ってこと。だから、光があり影がある。

 「なずむ」を漢字でどう表記するか?これは、還暦過ぎでも苦しむ。正解は、「泥む」。
 この、「泥」という字、音符は、尼(じ)。尼は、「尸(し)」と「匕(ひ)」を組み合わせた形で、二人がもたれあって親しみなじむことをいう。土が水を含み、水となじんでいる状態を泥という(愛読書、白川静さんの常用字解より)。「そうだったのかぁ!土=泥ではなかったのかぁ!」おっと、そうゆう話じゃなかったですね。

 「悲しみこらえて」を、漢字で書けるか?これは、「悲しみ堪えて」…赤ちゃん以外、誰でも書ける。
 「涙かれるまで」はどうでしょう。「かれる」を漢字にしなかったのは、意図があったから。「涸れる」「枯れる」「嗄れる」「彼る(かれる)」「借れる」。どれも使いたかった。「泥んでしまって」結局、平仮名にした…。考えすぎだって?
 泥んで、泥んで、泥み抜いての結論ですよ!…うーん!使い方違うかなあ。泥んじゃうなあ…。