ブラジルでは集められた「ごみ」の多くは、「LIIXÂOリッション」と呼ばれる、開放型のごみ集積場に集められます。
このごみ集積場で、ごみは燃やされることなく、選別されることなく、ただただ、その場に置かれるだけ。
そこでは「CATADOR カタドール」と飛ばれる「ごみ拾い」をする人たちが、使えそうなもの、食べられそうなものを見つけては、拾っています。
この「CATADOR」だけを職業として暮らしている家族はたくさんいます。
GLOBOのドラマ「AV.BRASIL」もここで生まれ育った女性と、そこに捨てられた女性の話でしたよね。
この「LIIXÂOリッション」、いっぱいになると、上から土をかぶせられ、埋め立てられます。
このような埋立地では、なんといっても土の下が直接ごみですから、土壌の汚染の問題、湧き出るメタンガスなど有害なガスの問題があります。
なにより軟弱な地盤のために、少し大雨が降ると大きな災害を引き起こすこともあります。
先年リオ州のサンゴンサーロ市で起こった大規模な土砂崩れも、ごみ集積場埋め立て地でのことでした。
ブラジルでは1981年に不適切なごみ投棄を禁止する法律ができました。
そして、1998年には不法投棄に対する罰則がようやく法制化。
しかし、こうした開放型のごみ集積場は、「遺法」というわけではなく、ブラジル全国のほとんどの地方自治体でこの形のごみ集積場が利用されてきました。
こうした開放型ごみ集積場を禁止する動きがでたのが2000年代になってから。
2010年には4年計画で全国から開放型ごみ集積場を廃止し、埋め立て式(ごみから出る汚水、有害ガスの処理施設も兼ね備えた)最終処分型のごみ集積場、リサイクルの充実、エネルギー利用施設などへの移行を定める法律ができました。
で、先日8月2日はこの法律が出てから丸4年目。
ところが現時点で全国の半数以上60%の地方自治体でこの法律を実行できていないそうです。
政府は、8月2日までに法律を実現できていない(計画の段階でも?)地方自治体の長は逮捕する、としたそうですが、そんなことしたら、とんでもないことになりそうです。
実現できていない多くの市町村では、「財政的な負担」を主な理由に挙げていますが、南部のある地域では近隣11市町村が共同で広域型の最終型ごみ集積場を建設したそうで、財政負担を嘆くよりも、こうした工夫をしていくことが必要だとニュースではコメントしていました。
先日、「LIIXÂO リッション」で「CATADOR カタドール」として働く家族の子供が二人、拾ってきたごみを食べて食中毒を起こし死亡するという事故が起きました。
死亡した子供の母親が、おなかのすいた自分の子供と隣家の子供7人に何か食べさせようと、ごみ集積場から拾ってきた粉ミルク、インスタントラーメン、パンを調理して食べさせたところ具合が悪くなり、1斎6ヶ月の赤ちゃんと7歳の女の子が死亡したそうです。
あとの3歳から22歳までの5人は胃洗浄を受け、回復したとのこと。
「LIIXÂOリッション」では他にも、ごみによる怪我や、医療廃棄物による感染の危険が常にあります。
それでもこうした場所でごみを拾って生計を立てている人がいるのも事実。
開放型ごみ集積場を廃止する市町村では、廃止後、こうした「CATADOR カタドール」がどうやって生計を立てられるようにしていくか、そのことも大きな課題だということです。