デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



映画「ベスト・キッド(原題:The Moment of Truth / The Karate Kid)」(1984)をかなり久しぶりに鑑賞。東京五輪で空手競技があることもあって放送されたのだろうか。2時間以上ある字幕フルバージョン版の放送があったので鑑賞した。
今回の分は、かなり前に見た、日本でTV放映されていた日本語吹き替え版とは尺の長さからしてかなり異なっている。なので実質、初鑑賞みたいなものだった。
かつてTV放映されていたバージョンでのノリユキ'パット'モリタが演じたミヤギに、まるで仙人みたいな印象を抱いていた。しかし今回の字幕バージョンではミヤギは仙人ではなく、辛い過去を乗り越えてきた人であることに気づかされた。
どういった辛い過去なのか?それが分かるのは、彼が軍服を着て酩酊してしまう場面だ。要約すれば、ミヤギは第二次大戦でアメリカの日系人として従軍しヨーロッパにてドイツ兵に対して戦果を挙げ勲章まで授与された。しかし当時は日系人差別が激しかった時代でもあり、日系人収容所に収容されていた妊娠中の奥さんが母子ともに出産の際に医師の到着が遅れ合併症で亡くなった悲痛な過去をミヤギは持っていることになる。
私自身の記憶があやふやでなんだが、昔、TV放送された日本語吹き替え版にはその場面がある分と無い分が存在しているように思う。番組の尺の関係で2時間以内にそれもCMも挟まなければならないから実質1時間半と少しくらいの内容に編集されたものだと、主人公ダニエルの新生活とヒロインのアリとの出会い、コブラ会の傍若無人、修行、空手の大会といったスポ魂王道展開を前面に出すものになっていたのかもしれない。またミヤギが酩酊してしまう場面を日本語吹き替え版で見ても日系人差別や日系人収容所が意味するところのものが分かりづらかったように思う。日系人差別のことが理解できるほど精神が大人になってなかった頃というのもあるかもしれないが。
他、フルバージョンではダニエルとアリの関係が深まっていく過程が丁寧に描かれているように思った。デートなどを繰り返す場面がカットされた日本語吹き替え版だと、大会当日の会場にて選手のセコンドしか入れない関係者スペースにアリが「関係者」として入り込みダニエルを間近で応援する場面に妙な唐突感を覚えていたものだ。しかしフルバージョンだとアリもセコンドのような役割を担うにあたり十分納得のゆく描かれ方となっていることが分かった。フルバージョンで鑑賞すると話の脈絡がきちんとしているいい映画であることが分かってよかった。


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