11月5日(月)、大学院の標記の授業で、紙作りをしました。受講者は渡邊君一人です。この日は、大学構内の桜の根元に出ている不要な枝を切ってきて、お湯で蒸した後に皮をむき、内皮を取り出しました。学内の桜は年に2回咲く品種が5本ほどあり、ちょうどいま沢山咲いています。
内皮を石灰水で煮たところ、桜色の液体ができました。桜の皮には桜色の成分が含まれていて、この成分が花に現れてくるわけです。このような液を使って布を染色する話を、以前、染織家の志村ふくみさんのエッセイで読んだことがあります。表面的には見えない、桜の隠れたエネルギーを感じます。
内皮をハサミで切った後にさらにミキサーで砕きます。一旦水で洗ってザルで引き上げてから5回ほど繰り返しました。
枠に布を張ったものに入れて漉き上げます。
雑巾で脱水した後に板に張り付けて、アイロンで乾かします。
この日は、4枚のはがき大の紙が完成しました。それぞれ雰囲気の異なる紙です。一番左は、桜の繊維100%。次は50%。最後の2枚は、煮出した桜色の液体も加えました。ほのかに桜色の紙になりました。
渡邊君は紙がぐっと身近な存在になったようで、大満足でした。