数年前。
もともとはオレは直接カンケーなかったのだが、結果的には当事者として、ちょっとしたトラブルに巻き込まれたことがある。
その時は、結局、民事調停でケリをつけたのだが、今になってみれば、刑事の被害届けと、民事裁判まで全部やりゃ良かったなんて思っている。
やはり、冷静なつもりでいても実際は冷静さを失っていて、普段の自分の思う通りの判断なんて、難しいものだと痛感させられた。
相手方を破滅させる手口だって、オレは持っていた。
やるべきだったと、今、悔やまれてならない。オレの溜飲は下がってないのだ。
よく考えてみたら、彼らが調停に応ずる為の毎夜毎夜の打ち合わせ(口裏合わせですな)と、彼らの弁護士費用負担と、それに浪費する時間だけでは、オレの怒りと吊り合わない。
んでも、その時は「ま、こんくらいでいいか」ってなぜか、思っちゃったのだ。
オレ自身が疲弊していたからかも知れない。
相手方は、できうる限りの陰湿な個人攻撃を執拗に繰り返していて、「うわ!こんなんホントにあるんだなぁ、エグぅ(笑)。」なぁんて思っていたら、次はオレだった、そんな具合の笑えない出来事だった。
たまたま、ノーテンキな家内は、全くの他人事で、笑い飛ばしてくれていたので、ソレだけがオレに有利な与条件だった。
その時に、こんなハナシがあった。
相手方は、とある家のダンナ(もう定年退職してる)をヤっちまいたいということだったのだが、矛先は奥さんに向かっていたのだった。
巧妙だ。
地域のグループで活動・生活している奥さんをイジめの対象にしたのだ。
あいさつの無視から始まって、事実にない悪辣なウワサ話を流す、友人にも「つきあうな」と集団で詰め寄る、挙句の果てに「この街にいられなくしてやる」ときたもんだ。
当然というか、奥さんはまいってしまった。
ダンナに訴える。
「もう、耐えられない。あなたのせいで。こんなのが続くなら、離婚してしまいたい。」
結果として、かのダンナは相手方の個人攻撃に屈服した。
「オレ、もう、オモテには出れないけど、poitaさん、ヤってくれよ。いくらでも協力するから。」
オレは「そうですか」と口頭では応えたけれど、心中では彼の顔面に唾棄していた。このヒトは年齢的にはオレのオヤジより年長だ。
甘ったれんな、ばか。
オレはオマエの小汚いホネなんかひろわねぇよ。ヤなこったい!
オマエがイチバン信用ならねぇ。
そりゃ、長い人生だ。負けちまうこともあるかも知れない。
でも、アンタは、負ける以前に真剣に闘ってねーし、それ以前に逃げてるじゃん。
奥さんに、「大丈夫、絶対、守り抜くから」ってちゃんと言ったのかよ。
言えてねーだろ、このばか。
オマエがイチバンの役立たずのうんこヤローだ。
自分の家族を守ることさえ、オマエはあきらめちまうのかよ。
どう考えても、オレもアンタも被害者で、膺懲されるべきは相手方じゃねぇか。
正義が世の中にあるかどうかはともかく、オレらが相手方にかしづく理由は、一切、無い。
こんなんでイジめられる方が屈服しなきゃならねぇ、理由は、一切、無い。
家族をそんな目にあわされて、何もしないで大禍過ぎ行くのを待つなんて、オレは、自分自身にガマンならない。
そんなことさえ共有できない者と、何ができるというのか。
そう、選択権は自分にある。
彼とオレの選択権は、それぞれ異なる道を選んだに過ぎない。
彼を責めないし、コエをあげて批判もしないが、オレは、そんなの、イヤだ。
もし、冷静でいられなくて、彼と同じ選択をした自分を想像すると、ぞっとする。
でも、実は、この件で、オレの溜飲は下がっていない(笑)。
第二ラウンド、ないかしら。
お前の方が、よっぽど、バカ。