月山ダムで知られている西川町。
山懐に硬い田舎蕎麦を出す店があると聞き、はじめて訪れたのは昨年の2月か3月の頃でした。
真っ白い雪に埋もれてようにして、民家が立ち並んでいました。
歩く人も見当たらず、ここのはずと思う場所はただの民家で、営業している雰囲気は微塵もなく、不思議な気分で集落を後にしたのでした。
雪解けの4月末、再来。
「やっぱり、ここだったんだ!」
やっとありつけそう…あの時は、本当ホッとしました。
2時間以上車を走らせ、硬い蕎麦は嫌という相方を説得して来たのです。
店主は方々で「硬い田舎蕎麦」とPRしています。
好奇心旺盛な私の期待が高まります。
「お薦めはこれよ!」
ごく普通の民家の座敷にあがり、店主の奥さんのお薦めに従い注文しました。
生活感丸出しの部屋に通されて、相方はちょっと白けているようです。
冬期は休業で、4月のこの連休から本格的に営業を始めたようでした。
渡る風が爽やかに、春の山の緑の香りを運んできます。
「やっぱり、春っていいなぁ~。生きているっていいなぁ~」
そんな気分になりました。
「そうね、あとはここまで来て蕎麦が美味しければねぇ!」と相方。
「おまちどーさま~」
奥さんが天婦羅を運んできました。
さて、揚げたての天婦羅は値段の割に期待以上。
大きな海老もうれしいですが、タラの芽やコシアブラなど、まだ心持ち早い旬の山菜が並んでいました。
えぐさは全くなく、山菜独特の香りや甘みが舌から鼻孔に突き抜けていきます。
板そばが運ばれてきました。
太めの蕎麦でコシがあり、噛めば噛むほど蕎麦の香りがいっぱいに広がり、汁が負けじと受け止めます。
蕎麦の香りと食感と汁の三位一体の攻撃に「参りました」の一言しかありません。
先に天婦羅を頂いた後でも、蕎麦の存在感は全く薄れないのが不思議です。
相方も気に入ったようです。
昨年は、3回来店しました。
二回目は時期限定の「寒ざらし蕎麦」を打っていただきました。
天婦羅と合わせるなら、ちょっと物足りないと感じました。
寒ざらし蕎麦は甘味が強いけど味はおとなしめで、旬を閉じ込めた天婦羅の存在感の強さには、負けてしまいます。
三回目は、新蕎麦の時期に食べに行きました。
その日は「出羽かおり」を使った蕎麦でした。
蕎麦打ちにとっても新蕎麦の時期は特に気合いが入るようで、偶然ご主人の志を垣間見る機会にも恵まれました。
「私自身は、もっともっと硬い蕎麦を打ちたいのですよ」と意気込みを語られていました。
感動したのは、はこんなヒストーリーでした。
先日わざわざ遠方からのお客様に、この蕎麦は半茹でどうしてこんなに適当な蕎麦が出せるのか?と聞かれてハタと困ったと。
お客様は仙台の方で、仙台の蕎麦といえば麺が細い更科系が主流で、硬いのはゆで加減が足りないためと勘違いした。
仙台のお客様も多い中で、この太くて硬い蕎麦は受け入れられ難い存在にある。
だが、山形の蕎麦文化はそれとは違う。
その違い、本来の山形蕎麦の文化を自分は守っていきたい。
素晴らしい職人魂です。
蕎麦を食べれば、それが飾りのない本心だって不思議と共感できます。
私の母よりかなり年配だと思いますが、茂右衛門さんの奥さんが、バタバタと天婦羅や蕎麦を運んできます。
天婦羅はあついうちに、蕎麦は茹でたてのうちにという配慮からです。
いつも忙しい姿に手伝いを申し出たい程ですが、夫婦で頑張っているお店です。
基本的には奥さんが天婦羅役、旦那様が蕎麦役です。
つゆは、4か月かけてねかしているそうです。
このお店では、それらが何一つ欠けることなく、これからも調和し続けていくのでしょう。
春になったら一番に訪れたい、大事なお店です。
店名 手打ちそば 茂右衛門 (もえもん)
住所 山形県西村山郡西川町大字大井沢2138
営業時間 [4月~11月] 11:00~15:00
定休日 第2・4水曜日
山懐に硬い田舎蕎麦を出す店があると聞き、はじめて訪れたのは昨年の2月か3月の頃でした。
真っ白い雪に埋もれてようにして、民家が立ち並んでいました。
歩く人も見当たらず、ここのはずと思う場所はただの民家で、営業している雰囲気は微塵もなく、不思議な気分で集落を後にしたのでした。
雪解けの4月末、再来。
「やっぱり、ここだったんだ!」
やっとありつけそう…あの時は、本当ホッとしました。
2時間以上車を走らせ、硬い蕎麦は嫌という相方を説得して来たのです。
店主は方々で「硬い田舎蕎麦」とPRしています。
好奇心旺盛な私の期待が高まります。
「お薦めはこれよ!」
ごく普通の民家の座敷にあがり、店主の奥さんのお薦めに従い注文しました。
生活感丸出しの部屋に通されて、相方はちょっと白けているようです。
冬期は休業で、4月のこの連休から本格的に営業を始めたようでした。
渡る風が爽やかに、春の山の緑の香りを運んできます。
「やっぱり、春っていいなぁ~。生きているっていいなぁ~」
そんな気分になりました。
「そうね、あとはここまで来て蕎麦が美味しければねぇ!」と相方。
「おまちどーさま~」
奥さんが天婦羅を運んできました。
さて、揚げたての天婦羅は値段の割に期待以上。
大きな海老もうれしいですが、タラの芽やコシアブラなど、まだ心持ち早い旬の山菜が並んでいました。
えぐさは全くなく、山菜独特の香りや甘みが舌から鼻孔に突き抜けていきます。
板そばが運ばれてきました。
太めの蕎麦でコシがあり、噛めば噛むほど蕎麦の香りがいっぱいに広がり、汁が負けじと受け止めます。
蕎麦の香りと食感と汁の三位一体の攻撃に「参りました」の一言しかありません。
先に天婦羅を頂いた後でも、蕎麦の存在感は全く薄れないのが不思議です。
相方も気に入ったようです。
昨年は、3回来店しました。
二回目は時期限定の「寒ざらし蕎麦」を打っていただきました。
天婦羅と合わせるなら、ちょっと物足りないと感じました。
寒ざらし蕎麦は甘味が強いけど味はおとなしめで、旬を閉じ込めた天婦羅の存在感の強さには、負けてしまいます。
三回目は、新蕎麦の時期に食べに行きました。
その日は「出羽かおり」を使った蕎麦でした。
蕎麦打ちにとっても新蕎麦の時期は特に気合いが入るようで、偶然ご主人の志を垣間見る機会にも恵まれました。
「私自身は、もっともっと硬い蕎麦を打ちたいのですよ」と意気込みを語られていました。
感動したのは、はこんなヒストーリーでした。
先日わざわざ遠方からのお客様に、この蕎麦は半茹でどうしてこんなに適当な蕎麦が出せるのか?と聞かれてハタと困ったと。
お客様は仙台の方で、仙台の蕎麦といえば麺が細い更科系が主流で、硬いのはゆで加減が足りないためと勘違いした。
仙台のお客様も多い中で、この太くて硬い蕎麦は受け入れられ難い存在にある。
だが、山形の蕎麦文化はそれとは違う。
その違い、本来の山形蕎麦の文化を自分は守っていきたい。
素晴らしい職人魂です。
蕎麦を食べれば、それが飾りのない本心だって不思議と共感できます。
私の母よりかなり年配だと思いますが、茂右衛門さんの奥さんが、バタバタと天婦羅や蕎麦を運んできます。
天婦羅はあついうちに、蕎麦は茹でたてのうちにという配慮からです。
いつも忙しい姿に手伝いを申し出たい程ですが、夫婦で頑張っているお店です。
基本的には奥さんが天婦羅役、旦那様が蕎麦役です。
つゆは、4か月かけてねかしているそうです。
このお店では、それらが何一つ欠けることなく、これからも調和し続けていくのでしょう。
春になったら一番に訪れたい、大事なお店です。
店名 手打ちそば 茂右衛門 (もえもん)
住所 山形県西村山郡西川町大字大井沢2138
営業時間 [4月~11月] 11:00~15:00
定休日 第2・4水曜日