山形の大石田次年子地区の蕎麦街道も、いよいよ「新そば」の時節を迎えました。
久しぶりに蕎麦の香りが立つ「新そば」を味わいたくなり、大石田町でまだ行っていないお店にチャレンジしようと「わらぐちそば」さんに初訪しました。
茅葺の民家のお蕎麦屋さんです。
駐車場は県外のみならず、関東・関西方面の車もあり満車でしたが、すぐに停めることができました。
丁度お昼時時、中に入ってみると、薪ストーブがあり、それを囲みながらお席の順番待ちの状況でした。
暫くすると、、席を待つお客さんに「ストーブに薪を入れて欲しい」と、ご主人が手に粉をいっぱいつけた状態で来ました。
店内はほぼお蕎麦を待つお客様ばかりでした。
席が空いても、お店の方は食べた後のものを片づける余裕もなく、仕方なく先頭の「待ち」の方が食べたものを厨房まで片づけ、布巾でテーブルを綺麗にしてから座るという様子でした。
お店の方はオーダーを聞きに来る余裕もないらしく、前のお客のものを片づけて席に座ってはみたたものの、暫くすると不安を感じてお客さんが自ら厨房に「オーダーを頼みに行く」という感じでした。
お茶はセルフの感じですが、茶碗が置いてなくて、肝心のポットのお茶も出ない状況です。
お蕎麦がそろそろ運ばれるというタイミングで、先にサービスのおかずとお新香が運ばれてきました。
「切干大根」は明らかに自分が作った方が美味しいと感じるような味で、お新香の大根が乱切り甚だしく、食べづらかったです。
新そば」のシーズンとはいえ、そのような状態で、「入店から1時間半待ってやっとオーダーした「板そばの大盛り(850円)」が運ばれてきました。
忙しいためか、洗ったばかりなのか解りませんが、蕎麦猪口は温かく、中のつゆは人肌のぬるさでした。
茹であがった蕎麦も「ぬるい」と感じました。
薪ストーブで暖をとるような時節というのに、このぬるい蕎麦汁に、ぬるい蕎麦をつけてみると・・・
「新そば」の蕎麦の香りや甘味を期待していましたが、蕎麦は硬めでのゆで加減で、風味はそれほどでもありませんでした。
しかも一番粉を使っているとはいえ、甘みはあまり感じない程度で、噛んだ時の食味が何か違います。
更科といえば、混じりけのない蕎麦粉の美味しさを味わうために、十割または二八で打つお店が多いように感じます。
そんな更科の蕎麦の魅力は、噛んだ時に独特の食味があり、それは舌の感覚的なもので語彙にするのは大変難しいのですが、、歯ぬかりせずに潔く切れる食感も魅力で、その味が長く口の中にとどまりつつ余韻があります。
さらに解りやすく原始的な表現で伝えるとすれば、少ない量でも最終的にお腹が満足するというのが私の更級の印象です。
この蕎麦は「一番粉を使用」と店内に掲げていますが、食味が何かモサりとしていていました。
その要因として「乱切り」が起因していると思います。
つまり、蕎麦の切り具合が粗いために、ゆで加減の硬いところと調度のところと柔いところの食味があり、それがつゆにしみ込むと一番粉の繊細な味を欠くということだと思います。
一番粉をどれだけ配合しているか解りませんが、一番粉を使うならば、繊細な味を追求した蕎麦=(一番蕎麦の混じりけのない味を味わうため)均一で細目に切られた蕎麦に薄めのつゆというイメージは私だけでしょうか?
ちなみにwikipediaにおいて、蕎麦粉について掲載されていますのでご参考まで。
- 一番粉 内層粉、そばの実の中心部分の胚乳のさらに中心部が主体、白色で旨味や甘みが高い最上級粉だがそば独特の香りや風味に欠ける。成分は主に炭水化物(でんぷん)と水分。更科粉(さらしなこ)とも。
- 二番粉 中層粉、胚乳と子葉(胚芽)の一部が主体、うす緑黄色で香りが高く風味に優れ栄養価も高い。
- 三番粉 表層粉、胚乳の一部と子葉(胚芽)と種皮(甘皮)の一部、うす青緑色で香りが非常に強く栄養価が非常に高いが味と食感に劣る。
- 末粉 全層粉、子葉(胚芽)と種皮(甘皮)、黒っぽく風味は強いが食感は劣る。主として乾麺などに使用。
蕎麦を食べ終わり、蕎麦湯を蕎麦猪口に注ぎ飲んでみると・・・
なんとその蕎麦湯は焦げた味がするではありませんか!
うわっ!!
食べ進めていた板蕎麦に、なるほど焦げた蕎麦のはしきれが混じっていたのも納得です。
会計の時も気怠そうな対応で「マイ申告」でした。
新そばの時期で週末とあり、たまたまオーバーワーク状態だったのかも知れませんが、遠方からわざわざ時間とお金をかけていらっしゃる方もおられます。
山形の蕎麦を心から愛する私としては、不思議としかいいようのない気持ちでこのお店を後にしました。
■jわらぐちそば
住所 山形県大石田町大浦大字藁口
TEL 0237-35-4148
定休日 水曜日(祝日は営業)