今年はいよいよという時節に突然の事故に遭い、山登りができないどころか、膝の痛みに悩まされた一年でした。
時間を無駄に過ごしてしまったのでしょうか?
「おとうさんのブナの木」に逢いに行きました。
この幹のこぶしに貫録があります。
なぜ「おとうさんの木」なのかというと、このブナの森の神聖な老木だからです。
ブナの木は、結実豊凶は5~7年ごとに豊作を繰り返します。
はじめてこの森を訪れた時、ブナの豊作期でした。
あるブナの幹のまわりにあった石の上に、まるでお供えのように種子が沢山乗っかっていました。
見上げるとそのブナは大木で、それでいて何か特別に神聖な気がしたのです。
それからこのブナの木を私は「ブナのおとうさん」と呼び、一年に1度か2度、逢いに行くのを楽しみにしています。
「今年は、ブナの実が豊作だったの?」
まるで掌にブナの実を抱いたまま、雪が積もっていました。
燃えるようなオレンジのままのブナの落葉が、雪の精に包まれて・・・
「また冬を迎えるのですね。」
いつも傍にはいられないけれど、この森がある限り、心だけはできるだけ寄り添っていたいです。
「私も冬は寒くて苦手ですが、またあたたかくなったらブナのお父さんとその森の仲間に会いに来ますね。」