中原勇 好投 一条の光
十年ぶりの優勝を目指す東映の泣き所は投手。とくに左投手に決め手がないことだが、この日、左腕の中原勇が一条の光を投げかけるように先発で好投した。5イニングを投げ打者十八人に2安打。四回中村勝の三塁内野安打は、守備のいい野手なら取れる当たりだったから、実際には五回二死からの後藤の右中間二塁打1本に押えたといってもいい。昨年に比べ直球にスピードが加わったため、シュートとカーブのコンビネーションがうまく生きていた。コンビネーションがよかった証拠に、阪神の藤田平、田淵は二打席ともタイミングを狂わされ、凡フライにうち取られた。中原勇の得意ダマは切れのいいシュート。マック、中村勝、後藤らが、つぎつぎにバットを折ったのは、いずれもこの鋭いシュートだった。
昨年まではストレートの威力がなかったから、シュートが生かされず、過去二年間で5勝しか出来なかったのも「シュートだけにたよる単調なピッチングが原因だった」と反省する。しかも、悪いことに彼の直球はシュートの回転をするそうだ。だから打者からは「シュートだけねらっていたらいい」といわれる始末だった。
そこでことしは、キャンプで直球にみがきをかけることを第一の課題とした。シュートの回転をしないように注意してストレートばかり一日200球近く投げ込んでいた。その成果はあったわけで「内角に食い込むストレートを投げられるようになった。ことしはシュートだけにたよることはないだろう。昨年(2勝3敗)のようなことはない」と自信のある口ぶりだ。
待望の左腕出現といってしまうのは早計かもしれないが、東映の左腕といえば、彼をのぞくと、八年間で2勝の山崎、三十一歳の大羽(広島から移籍)、新人の保坂しかいない。優勝の前に立ちふさがる阪急には、福本、加藤の左打者がいるから、中原勇が成長しなければ多難だが「この調子を忘れずに伸びてこれれば楽しみ」という山根コーチの期待が実れば幸いだ。
十年ぶりの優勝を目指す東映の泣き所は投手。とくに左投手に決め手がないことだが、この日、左腕の中原勇が一条の光を投げかけるように先発で好投した。5イニングを投げ打者十八人に2安打。四回中村勝の三塁内野安打は、守備のいい野手なら取れる当たりだったから、実際には五回二死からの後藤の右中間二塁打1本に押えたといってもいい。昨年に比べ直球にスピードが加わったため、シュートとカーブのコンビネーションがうまく生きていた。コンビネーションがよかった証拠に、阪神の藤田平、田淵は二打席ともタイミングを狂わされ、凡フライにうち取られた。中原勇の得意ダマは切れのいいシュート。マック、中村勝、後藤らが、つぎつぎにバットを折ったのは、いずれもこの鋭いシュートだった。
昨年まではストレートの威力がなかったから、シュートが生かされず、過去二年間で5勝しか出来なかったのも「シュートだけにたよる単調なピッチングが原因だった」と反省する。しかも、悪いことに彼の直球はシュートの回転をするそうだ。だから打者からは「シュートだけねらっていたらいい」といわれる始末だった。
そこでことしは、キャンプで直球にみがきをかけることを第一の課題とした。シュートの回転をしないように注意してストレートばかり一日200球近く投げ込んでいた。その成果はあったわけで「内角に食い込むストレートを投げられるようになった。ことしはシュートだけにたよることはないだろう。昨年(2勝3敗)のようなことはない」と自信のある口ぶりだ。
待望の左腕出現といってしまうのは早計かもしれないが、東映の左腕といえば、彼をのぞくと、八年間で2勝の山崎、三十一歳の大羽(広島から移籍)、新人の保坂しかいない。優勝の前に立ちふさがる阪急には、福本、加藤の左打者がいるから、中原勇が成長しなければ多難だが「この調子を忘れずに伸びてこれれば楽しみ」という山根コーチの期待が実れば幸いだ。