1974年
「プロ野球ではダメだったが、今は洋服のセールスマンとしてまじめに働いている。結婚してくれ」と甘い言葉で三人の女性をだました元プロ野球選手が、十八日、東京・荏原署から結婚詐欺容疑で指名手配された。この男は仙台市出身、住所不定、元大洋球団選手石崎一夫(26)。同署の調べでは、石崎は友人の仲人で昨年十二月初め、アルバイトとして東急田園都市線等々力駅前のスナック、フルーツパーラー「M」に雇われ、同月十日夜、同店の経営責任者で品川区に住むA子さん(24)のアパートを訪れ、「君を愛している。アルバイトのかたわら、洋服のセールスをやっており、近く独立する。今は友人宅に同居しているが、今夜、泊まるところがない」と持ちかけた。A子さんは、石崎が、仙台の育英学園当時甲子園に出場していること、元プロ野球大洋選手だったことから、すっかり信用し、結婚を約束して同せい生活を始め、石崎はセールスする洋服の卸代金としてA子さんから同月十三日に十六万円を借りたのを皮切りに十八日には十三万円、二十日に二万円、二十二日には、十二月の売上金三十一万七千円、このほか、毎日、洋服セールスの交通費として、延べ二万八千円の計六十五万五千円を借りたまま、二十六日午前三時ごろ、姿を消した。売上代金をほぼ持っていかれたA子さんは、仕入れ代金や家賃が払えなくなり、同月いっぱいで責任者を交代させられ、今月初めにやっとだまされたことに気づき、同署に訴え出た。石崎は三十九年夏の甲子園大会には、育英学園の八番、三塁手として出場、四十年三月、ドラフト四位で大洋に入団。守備位置は三塁手、外野手。しかし、三年間の在籍中一度も一軍の公式戦に出場できず、四十三年に退団した。この後、石崎は喫茶店を経営したが失敗、三年前には田園都市線二子玉川駅前の高島屋内にある洋品店に店長代理として勤務したが、まもなく取引先の千代田区内の洋品店女性経営者(34)と同せい、さらに渋谷区内のタレント(31)とも同せいしたが、いずれも同じような結婚話でだましており、同署は結婚をタネに女性から金を巻き上げる詐欺常習犯と断定、かなりの余罪があるものとみている。
「プロ野球ではダメだったが、今は洋服のセールスマンとしてまじめに働いている。結婚してくれ」と甘い言葉で三人の女性をだました元プロ野球選手が、十八日、東京・荏原署から結婚詐欺容疑で指名手配された。この男は仙台市出身、住所不定、元大洋球団選手石崎一夫(26)。同署の調べでは、石崎は友人の仲人で昨年十二月初め、アルバイトとして東急田園都市線等々力駅前のスナック、フルーツパーラー「M」に雇われ、同月十日夜、同店の経営責任者で品川区に住むA子さん(24)のアパートを訪れ、「君を愛している。アルバイトのかたわら、洋服のセールスをやっており、近く独立する。今は友人宅に同居しているが、今夜、泊まるところがない」と持ちかけた。A子さんは、石崎が、仙台の育英学園当時甲子園に出場していること、元プロ野球大洋選手だったことから、すっかり信用し、結婚を約束して同せい生活を始め、石崎はセールスする洋服の卸代金としてA子さんから同月十三日に十六万円を借りたのを皮切りに十八日には十三万円、二十日に二万円、二十二日には、十二月の売上金三十一万七千円、このほか、毎日、洋服セールスの交通費として、延べ二万八千円の計六十五万五千円を借りたまま、二十六日午前三時ごろ、姿を消した。売上代金をほぼ持っていかれたA子さんは、仕入れ代金や家賃が払えなくなり、同月いっぱいで責任者を交代させられ、今月初めにやっとだまされたことに気づき、同署に訴え出た。石崎は三十九年夏の甲子園大会には、育英学園の八番、三塁手として出場、四十年三月、ドラフト四位で大洋に入団。守備位置は三塁手、外野手。しかし、三年間の在籍中一度も一軍の公式戦に出場できず、四十三年に退団した。この後、石崎は喫茶店を経営したが失敗、三年前には田園都市線二子玉川駅前の高島屋内にある洋品店に店長代理として勤務したが、まもなく取引先の千代田区内の洋品店女性経営者(34)と同せい、さらに渋谷区内のタレント(31)とも同せいしたが、いずれも同じような結婚話でだましており、同署は結婚をタネに女性から金を巻き上げる詐欺常習犯と断定、かなりの余罪があるものとみている。