夕方6時半、ウォーキングから戻ると、食卓の上に「FENDI」と書かれた紙袋があった。
クラフトテープでとめてあり、宅配便の伝票が添付されていた。
(ああ…、これだな)と思った。
今朝、女房がいっていた。
「今日の夜、バッグが届くと思うから…」
先日落札したバッグが配達されるらしい。
水曜日の夜、女房は居酒屋のバイトだ。
ウォーキングに出てから思い出した。
息子が受け取ったようだ。
ケータイのメールで、
「バッグが届いたよ」
と女房に送っておいた。
11時過ぎ、帰ってきた彼女がさっそく紙袋を開けた。
「FENDI」の紙袋の中から、「FENDI」の保存袋に入ってる小さなバッグを出した。
「ヘェー、これなら1万円じゃよかったわ。
欲しかったんだァ。うれしいな」
そんなことを呟いてしみじみ眺めていたり、肩にかけて部屋の中を歩いている。
「こんなのが新品じゃ、7万円はするのよ」
「これがァ、ただのビニールのバッグじゃないか。
Fの字のデザインでそんな値段なんだな。
バカバカしい」
「いいのよ。欲しかったんだから。
私だって、7万円じゃ買わないよ。
1万円だから買ったんじゃない。
こんど、もっと大きいのを買おう」
女房は今日、幸せな気持ちで布団に入っただろう。