「真夜中の5分前 side-A」(本田孝好著 新潮文庫)を読了。
この人の小説を初めて読んだ。
この小説は、最近映画になったんですね。知らなかった。
小さな広告代理店に勤めている“僕”、社内では煙たがられている女性の上司といい仕事をしている。
社内の人間関係が興味深い。
広告代理店に出入りしているカメラマンの助手の女の子とつきあっている“僕”。
この綺麗な恋人と小説の最初のあたりで別れる。
その頃プールで、ある女性と知り合う。
その女性は一卵性双生児で、その姉妹は親も間違えるほどよく似ている。
“僕”と知り合ったのが姉のかすみで、妹のゆかりは5歳年上の弁護士と婚約した。
この双子の姉妹はほんとうによく似ていて、性格も体つきも顔もそっくりだ。
男性の好みも同じで、それが悲劇を生む。
かすみは、ゆかりの婚約者に恋をして、その実らない恋に苦しんでいた。
そのことを“僕”に打ち明けるかすみ。
これからかすみとつきあい始めるというときに、そのことを告白される。
ここで、一卵性双生児の息子を育てた親として私はいいたい。
この妹の好きな男を、姉も好きになるという設定にはムリがあるように思う。
一卵性双生児の遺伝子はまったく同じだ。
しかし、その遺伝子は人間の生き方のすべてを支配しないと思う。
うちの息子たちの顔も体つきも嗜好もよく似ている。
子どもの頃は、私でもよく間違えた。
でも、この小説に描かれているかすみとゆかりは極端だ。
一卵性双生児にもいろいろいるだろうとは思う。
しかし、この姉妹はあまりにも似すぎている。
私も双子ということを詳しく調べたわけではないが、一卵性双生児を育てた実感として思う。
それはそれ、小説としては面白かった。
この小説に、「side-B」がある。
やはり、「side-A」と「side-B」を読まないといけないんだろうな。
こんど読んでみます。