山田太一のシナリオ「ふぞろいの林檎たち」(新潮文庫)を読んだ。
この文庫本を軽井沢図書館で見つけてからずいぶんたっている。
シナリオという形に抵抗があり、なかなか読む気になれなかった。
私は20代のときにシナリオ学校に1年間通い、シナリオの勉強をした。
シナリオを読んだのはそれ以来だと思う。
ほとんどセリフばかりで、なんか読むことに抵抗があった。
でも、読み始めたらドラマの世界にすっと入り込めて面白かった。
2センチほどの厚さの本を2日で読了した。
セリフばかりだから活字が少ないんです。
調べたら「ふぞろいの林檎たち」は、1983年に放送していた。
私の息子たちが3歳のときだ。
私は夢中になってこのドラマを観ていたはずだ。
読んでいてそれぞれのシーンがよみがえってくる。
あらためて山田太一のシナリオは素晴らしいと思った。
ああ…、シナリオはこういうふうに書けばいいんだ、と勉強になった。
でも、もう私はシナリオは書きませんけどね。
それにしても物語展開がいい。
まったくムリがなく進んで行く。
四流大学生の屈折した心、看護学校の女子学生の本音、東大を出たエリートの挫折、その人を好きになった女の迷い。
身体が弱く子どもの産めない長男の嫁をいびり出そうとする姑。
そんな母親に何もいえず、真面目に酒屋をやっている長男。
どの登場人物の気持ちもわかる。
私は、スマートフォンを持っている「ふぞろいの林檎たち」を観たくなった。
どこかのテレビ局でリメイクしてくれないかな。