11月9日(水)ラジオ深夜便の4時台の【明日へのことば】は、「再び映画作りに挑む」という題で、
タクシードライバー・ドキュメンタリー映画監督 佐藤隆之という人のインタビューだった。
佐藤隆之さんは、タクシードライバーでドキュメンタリー映画監督です。
1961年山形県生まれ、関西育ち、現在55歳。
高校のとき文化祭で8mm映画を作ったことがきっかけで映画作りに目覚め、
大阪芸術大学映像学科に進み、大学中退後に上京、
フリーの助監督として大林宣彦、堤幸彦などが監督する映画の製作に参加して、
主に劇映画、フィクションの映画を作ってきた。
自分も監督になり映画を撮りたかったが、安定した収入を得られるのは、
ごく一部の人だけという厳しい映画の世界、
映画製作に自信を失い45歳の時に映画の業界から去った。
それから安定を求めてタクシードライバーになった。
タクシーの中は、“人間のショーケース”で、いろんな人間の姿が見られるから、
人間を描く仕事をしている人は、タクシードライバーをやったほうがいい、といっていた。
佐藤さんは、タクシードライバーをしていて、また映画を撮りたくなった。
企画、監督、撮影、編集全てを一人でこなし、5年かけて作り上げたのは、
ドキュメンタリー映画「kapiw(カピウ)とapappo(アパッポ)~アイヌの姉妹の物語~」。
文化庁の映画製作の支援事業、文化芸術振興費の助成も受け、今月から全国各地で公開だそうです。
この映画は、北海道阿寒湖生まれの二人のアイヌの姉妹を追いかけたドキュメンタリー映画で、
カピウとアパッポは姉妹のニックネームだそうです。
姉は東京に15年ぐらい住んでいて、妹は阿寒湖にずーっと住んでいる。
東日本大震災をきっかけにして、姉が子どもを連れて避難してくる。
姉妹が幼いときに、アイヌの民族衣装を着て歌って踊っているのを母親が8ミリフィルムで撮っていた。
その映像をたまたま見てからこの映画を撮りたいと佐藤監督は思った。
いまは2人とも結婚して、それぞれ3人の子どもがいる30代の母親。
ラジオから姉妹の歌が流れてきたが、素朴できれいな歌声で私の胸を打ちました。
「自分がやりたいことがたまたま映画だったが、自分がやりたいことは諦めない、
ちょっとずつでもいいから、続けてゆく事は大事だなあと今になって思います」
というようなことを佐藤監督がいった。
私は、寝床でラジオを聴きながら、そうだよな~、と心で深くうなずいた。