5月31日の京王井の頭線での、酒酔い大学生による女性腕引き線路飛び降り事件は、企図性・加害意識がない、まったくの面識なし出会いがしらの被害だけに怖い話ですね。
学生時代、何の科目の先生だったか忘れましたが、「東京に行ったら、ホームの電車待ちの列の先頭には絶対立っちゃいけないよ」と、事あるごとに強調していたのを思い出します。
「人間、なるべく人より先に乗り込みたいと思うのが人情だが、それだけ急く気持ちがあったら、5分か10分早く起き、家を出ることだ」…結局、危険警鐘なんだか早起きの推奨なんだかよくわからない話になっていましたが、あの先生も、東京でホーム転落事故を経験か目撃かしていたのかなぁ。地元にももちろん鉄道が何路線も走っていて、学校自体駅のそばで、電車通学の学生生徒も多かったのに、“東京に行ったら”と限定での戒めですからね。言われるたび不思議ではあったものの、真意をたずねる機会もないまま卒業してしまったのですが、のちに東京に住んでみて、乗降客の多い駅のラッシュ時ピークは、先頭に立とうなんて考え自体休むに似たりなのがよくわかりました。
今般巻き込まれた女性は、ラッシュアワーではない日曜の午前のホームでご家族と3人で電車待ち中、連れの2人が先に乗車して、ひとりだけホームに残った状態だった僅かの時間に、いきなり見知らぬヨッパライに腕を掴まれて、停車中の電車の前に、ヨッパライと一緒に落ちた、という状況らしい。電車運転士さんがすぐに察知して発車をしなかったからまだしもでしたが、女性にとってはただ普通にホームで電車に乗ろうとしていただけで、何が何やらわけがわからないままの全治2ヶ月。腰骨の骨折と聞いただけで、腰痛持ち家系の月河としてはあたたたた…となります。次元が違うか。
被害女性もわけがわからなかっただろうけど、もっとわけわかってなかったのは当のヨッパライ学生で、ビール・発泡酒合わせてどんだけ飲んだのかまったく不明な模様。まぁ「どこで何の酒類の酒を何缶、何本、何ミリリットル飲んだ」なんて明瞭な記憶があるくらいなら、日曜の遅い朝のホームで知らない中年女性の腕も掴まないだろうし、まして一緒にホームにダイビングもしないでしょう。
ここでさんざんビール系飲料の記事を書いておいてどのクチが言うんだ、どの手がキーを叩くんだという話ですが、月河は本格的な、質量ともに人を凌駕する“ビール飲み”ではありません。缶ひとつ、ジョッキ1杯空けて、次が飲みたくなるのも速いですが、胃と肝臓の能力的に「もうイケない」となるのも速い。500ml缶だと、3缶めの中盤ぐらいから、もう何飲んでるのかどんな味してるのかわからなくなります。この大学生は、8時間にわたって、3リットル飲んだと言っているらしい。
時間は、飲み始めた時刻からはじき出せますが、8時間飲み通しとなると、恐らく同席した飲み仲間もかなり出来上がっていたはずで、「コイツ何を何杯飲んだよ」と、しかとは答えられないのではないでしょうか。
そこまで前後不覚だったなら、「女性を引っ張って落とした記憶なんかない」「自分じゃない」「自分も女性も誰か他の人に突き落とされたのかもしれない」とあくまで言い張る手もあったと思うんですが、この学生、「見た人がそう言ってるなら自分がやったんだろう」と認めているというんだから、なんだか落語の“与太郎”のタチの悪い版ですな。被害に遭った側からすれば憤ろしいことだけれど、企図なし、犯意なし、記憶もあやふやじゃ、風に憤ってるようなもの。
たまたまこのニュースの記憶が新しかった昨日(6月1日)、帰宅後録画のチェックをしようとして(←顛末は昨日の記事の通り)、TVをつけると、『SMAP×SMAP』に草彅剛さんが復帰していました。レコーダーチャンネルに切り替えて録画編集するつもりだったので音声はオフしていたのですが、画面がちょっとおすまし、恐縮モードでしたね。
草彅さん、あの釈放一夜明け会見以来ですが顔がちょっと丸くなったような。それはともかく、同列に語っちゃいけないだろうけど、記憶飛ぶほど痛飲酩酊した挙句にやる行為としては、深夜の公園で全裸奇声なんてのは、全然犯罪性もはた迷惑度もささやかなもんだったなぁと、改めて微量、草彅さんに同情しました。CMスポンサーはかなりの経済損失こうむっただろうし、すでに収録済みの番組が放送できなくなって編集が面倒くさくなったり、共演者が割りを食ったりもあっただろうけど、少なくとも、誰も肉体的に痛い目には遭わせてないですもんね。
『夏の秘密』第2話は無事HDD録画成功。拘置所の龍一(内浦純一さん)のモノクロ回想シーンが、顔を見せないキャミ&裸足で泣く女→俄かに豹変、ブランデーと密室の逆レイプ、とかなり絵的に強烈だったので、これを第1話に持ってきたほうがドラマのツカみとして効いた気も。
たとえば、起きたことは単なる事故で、ドラマティックはぜんぶ人物の心理の裡にあった『白と黒』と比べると、冒頭から事件性、惨劇性ありありなのに、どこかゆったり静かに進められる語り口は、ヒロイン紀保役の山田麻衣子さんの、持ち前のお嬢さんらしさからくるのかもしれない。紀保は、怒るにしても悲しむにしても、猜疑するにしても、カッカ、カリカリしていては絵にならない役のようです。
2話のラスト、名を偽って真相究明のため越してきたアパートの共同浴室で伊織(瀬川亮さん)と裸で鉢合わせして固まる表情が、まさに昭和の少女漫画のお嬢さま。あそこでキャーッとか叫んで、手桶とか投げて攻撃などしてはいかんわけですよ。恥じらいの中に「アナタが悪いのよ、失礼なかたね」を含んだ、なんだかとっても懐かしい感じのヒロイン。フランス人形顔の山田さん、結構やってくれそうですよ。