しかしそれにしても、小沢一郎さんという人は、何がしたくて政治家やってるんでしょう。内戦布告、ガチバトル宣言かと思ったら、結局トロイカ体制継続ですってさ。くだらないよ。暑いのに。大山(でもないか)鳴動してネズミ一匹ならぬ三頭立て馬車。
それもかなりポンコツ。ロシア語のトロイカと言えば英語圏で“三つの”“3個一組の”“3倍の”“3重の”を示す語形成要素tri-に相当する(てんぷくトリオ、たのきんトリオの“トリオ”、ジョン・ウィンダムの『トリフィド時代』、70年代女の子アイドルのトライアングル…)ものを含んでいますから、3人いなきゃトロイカを名乗る資格がないわけですが、小沢さん、菅直人さんと来て、もう一頭…じゃなくてもうひとりは誰でしたっけ。
影がうすいよ。ランスーミキとかミッチマミクーコとか、ヤッくんモッくんフッくんとか、ニッキカッちゃんヒガシとか、あと何だ、ほら、のっちかしゆかあ~ちゃんとか、トロイカらしい3人続きのニックネームぐらい考えておかないと。
……一部の年代以外わかりにくい例が混じってるかもしれない。
しかし民主党という政党もつくづくどうかと思います。国政選挙や地方選、コップの中の党首選のたびに「党の顔=トップに誰がいい、誰がふさわしい、誰なら勝てる」「逆に誰某ならダメだ」「誰某と某誰ならどっちに分がある」という話になったとき、決まって出てくる名前は小沢さん、菅さん、鳩山由紀夫さん。あと岡田克也さんぐらいという状態が、気がつけばもう10年越し続いてませんか。
1年前、世を挙げてというほどでもないものの、かなり広く期待を集めて、圧倒的多数議席をかちとって政権交代を成し遂げた党なのに、この清新さのなさは異常です。10年も前のトップ経験者やトップ候補が、いまだに“トップやるかも、なるかもゾーン”にたむろしているという。
一期は実際トップをつとめた前原誠司さん以下、野田さんや枝野さん、蓮舫さんなんかも、結構前から党役員、○○担当、“影の内閣の△△大臣”などとして見かけるには見かけていたけれど、トップにふさわしい、なってほしいと思わせるオーラを出すどころか、“ほかに誰もいないわけではない”ことのアリバイ作りのように、間隔を置いてちらちら顔見せ声出しするだけのように思えます。
別に懐かしむわけではないけれど、沈滞となあなあの温床のように思われていた自民党のほうが、与党時代「ウソだろ」「誰?」「本当になっちゃうの?」と思う、意外性の人を、結構しばしばトップにしていたような気が。
順送りで「やっぱりね」と自他ともに認める人がなったことも多いけれど、政争やスキャンダル後“とりあえず汚れてない人を”と、弱小派閥の中から、あるいは比較的若い人が担ぎ出されるケースもままあった。
結局、政権政党としての経験値の差かもしれない。「担ぐ神輿は軽いほうが、隊列の進みが速いし大きな声も出せて、盛り上がる」ということを、自民党はつねにアタマの隅っこに置いた上で、“順番通り”の人を選んだり意外性の人を起用したりしていた。
裏を返せば「ときには死ぬほどずっしり重い神輿のほうが、チカラ抜いて担ぐふりしてるやつ、音をあげて脱走したやつがすぐわかるからいい」ということでもあり、アタマの裏側の隅っこにはそれもメモしてある。
亀の甲より年の功、自民党にはいろんな項目をソロバンはじいて選べるだけの“人的選択肢”があったのです。
民主党にはそれがない。10年以上、野党として好き勝手侃侃諤諤やりながら、自分たちのトップ候補をせめて3人4人、育てて来られなかった。
“人育て”能力においてかほどに惨憺たる政党の、人心を繋ぎ留める最大の目玉政策が“子ども手当”というのだから、もう失笑するエネルギーもわいてきませんね。ホント、暑いのに。