イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

金を失う

2010-09-28 15:13:01 | 朝ドラマ

27日(月)から始まった新しいNHK朝の連続テレビ小説『てっぱん』はどげでしょうか。いやどうでしょうか。同枠の“一期先輩”『ゲゲゲの女房』で、久しぶりに“平日帯ドラマの、帯ならではのチカラ”を見せてもらったばかりなので、否応なしハードルがちょっこし、いやだいぶ、上がってしまいますね。

 第1話を録画視聴したところでは、OP曲が近来稀に見る佳曲ですよ。葉加瀬太郎さん。クライズラー&カンパニーでのセリーヌ・ディオンとの共演曲(ドラマタイトル失念。鈴木京香さんが出ていましたっけ)以降、TV劇伴では耳にとまる機会がありませんでしたが、朝に聴くヴァイオリンも良いものだなぁ。今作は、お好み焼きとともに、音楽を愛しブラバンのトランペットで身を立てようかという少女のお話ということもあって、劇中音楽の役割はいちだんと大きいと思う。

 一般公募?の生徒さんや商店街などチームの民族舞踊風不思議なダンスにこの佳曲がかぶる独特なOP絵も、見ようによってはフォークロア紀行ルポ的で、回り回ってナイスマッチと言えなくもない。

ただ、大画面TVなら何の問題もないのだろうけれど、小ぶりの画面、特にアナログの上下黒帯で視聴すると、お好み焼きをかたどっているらしい、中央にまるく繰り抜かれた中で、大勢が入れ替わり立ちかわりちゃかちゃか踊ってるので、なんだか覗き部屋みたいでせせこましいですな。せっかくたっぷりと、広がり感のある曲なのだから、ここは尾道の海浜や、坂の多い街中の風情を、フレームいっぱい、ゆったり見せて欲しかった。

…いろんな解説を見ると、わりと早めにヒロインが尾道を出て大阪に出ばるらしいので、これは仕方がないか。

……脇道にそれますが、葉加瀬太郎さんの名前をクライズラー関連で活字媒体で初めて目にしたとき、葉と加と瀬で「ハカセ」で名字、というイメージがまったくわかず、「はが・せたろう?」「よう・かせたろう?」と首をかしげていた時期が、少しの間ありました。八反安未果さん、安良城紅さん、にわみきほさん(←ゴセイイエロー@『天装戦隊ゴセイジャー』)につながる、“どこで切れるか悩む系”の名前の元祖ですね(元祖って)。

葉加瀬さんの場合、“東京藝術大学出身で名字が「ハカセ」”という微妙な“出来過ぎ感”が、葉と加と瀬でハカセという、いちばん素直で何てことはない読みへの直行に、どこかでブレーキかけるんでしょうな。

それプラス、1960年代後半頃生まれの男子に、啓太郎賢太郎信太郎のたぐい“○太郎くん”はたまさか居たけど、単体の“太郎くん”はついぞ見かけなかったという先入観も入ってきて、結果、どこで切れるんだの迷路にはまってしまう。

名刺や名簿でルビなしで初見の際、「何と読むのだろう」と悩む字並びの名字の半分以上は、「実は、パッと見で最初に読んだ、その読みの通りでいい」場合が多い。

下の名前、ファーストネームとなると、コレもう最近は「読めるほうがアタマおかしい」みたいな例がそこらじゅうにゴロゴロしてますけど。

……さて脇道にそれ過ぎてしまった。お話のほうはまだ設定説明段階ですが、どうなんでしょう、第1話アバンタイトル、ブラバン応援団でトランペットを担当するヒロインあかり(瀧本美織さん)、自軍010でコールド負けまであとアウト1つという絶体絶命の劣勢に「ウチらががっかりしてどうするんよ、次は4番じゃ!」同バンドの友達(朝倉あきさん)「でもあかり、あの子今日全然当たっとらんのよ」あかり「じゃったらウチらが応援せにゃ!」とひとりでたーっと最前列に出て「4番らしゅう決めて見せんかいぃ!」とどーん仁王立ちでペットを吹きはじめる、ネクストバッターズサークルでスタンドを見上げた4番打者の子が、グッと拳を突き上げて見せ打席へ………と来れば、「コレ絶対あかりとあの4番、好き合っていて、その淡い恋心をベースにした物語がこれから展開されるんだな」と思うじゃないですか。高校野球と応援団女子というと、どうしてもそっちメインのほうが自然な気がしてしまう。汗と涙の青春。アルプスから仰ぐ青空、響きわたるコンバット・マーチ、「かっ飛ばせー○○」のエール。夕陽の部室でそっと渡すお守り。古いのかな、月河が。

ところがどうもお話はそっちに行かず、17年も隠蔽されていた出生の秘密、存在さえ知らなかった祖母(富司純子さん)とのバッタリ遭遇、お好み焼きが好きか嫌いか、どんなお好みを焼くか焼かないかとか、何かえらくこしらえ物っぽい方向に入っていくらしい。“若者らしく、少女らしく、光に満ちて健康的なほう”をわざわざ避けるかのように。

同枠前作が、国民的に有名な大御所漫画家とその奥様の半生の歩みという、恣意的にいじくり回すわけにはいかない実話ベースの作品だったので、今作『てっぱん』には、反対に“完全オリジナルストーリーの自由さ、可能性”を期待したいところですが、少女の無垢で闊達な夢より、親世代の大人の欲やしがらみのドロドロのほうに関心深い(当然ながら)大人の脚本家、Pたち製作スタッフが「おもしろくしようとしてやたらめったら捏ね上げました」見え見えみたいなドラマにならなければいいですけどね。

コメント
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