イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ギュッ×5

2009-03-25 20:29:09 | 特撮・ヒーロー

18日にリリースされていた『炎神戦隊ゴーオンジャー G3プリンセスG5プリンスProjectRスペシャルラップ』(←←左柱に期間限定掲示中)を先日やっと入手。背帯でボンパーちゃんが「ゴーオンジャーのラストアルバムだよ、ボンボン!!」と言っていることでもあるし、もー『ゴーオンジャー』関連支出はこれにて打ち止め!との決意をこめて購入。

17曲中、いままで出たゴーオンアルバムに一度も収録されてない、真っ新曲はありません。1月リリースの『全曲集ソンググランプリ』にはなかったゴールド大翔(徳山秀典さん)作詞作曲曲歌の『miss you』だけは、月河個人はフル聴くのが初めてでした。劇中GP31ではロムビアコを巨大化させてしまう損な役回りに使われていましたが、文句なしの美声で美曲で、それはよろしい。

白眉は『全曲集ソンググランプリ』既収録ながら、今作、走輔・連・範人・軍平・大翔、それぞれのソロヴァージョンが併録された『君とギュッと♪』。

女子メンバーの早輝・美羽・ケガレシアの『G3プリンセスラップ』も各ソロヴァージョン初併録ですが、彼女たちはすでにそれぞれ『Smile×Smile』『夢の翼』『桃源郷(ユートピア)』というフルソロのキャラクターソングを歌っていますからね。大翔を除く野郎メンバーのソロ声が聴けるのはこれが最初で最後。マストバイです。『ゴーオン』関連支出のフィナーレを飾るにふさわしいアイテムではありませんか。

しかしね、『全曲集』の君ギュが、初聴き当時の記事にも書いた記憶があるけど、いい意味で“突き詰めない”、可塑性の高い楽曲・仕上がりだったことだし、ソロ版となったら、歌唱者ごとに歌詞なり、後半のラップパートなり、あるいはアレンジなり、若干でも変えてくるんじゃないかと、普通思いますわね。…思うでしょ?それが、全然違った。

詞もラップも一字一句全員同じ(爆)。

後半、11曲目から15曲目まで、まったく同じ詞の、同じ曲の、同じアレンジを野郎5人が1人ずつ、点呼取るかのようにだーーーっと歌い、だーーーっとラップする(倒)。

なんかね、オーディションの一段階を聴いてるよう、と言うか、…言っちゃっていい?

新手の罰ゲームみたい(炎)。

勘違いしないでくださいよ。コレ、「聴くに耐えない」とか「企画が安直」とかのケナシの意味じゃないですから。

むしろ真逆。「『ゴーオン』は男子メンバーのオリジナルソロキャラソンは作らないのかよぉー、毎戦隊あったのに手抜きだなあ」「ひとりずつの違ったカッコよさをフィーチャーしてくれたっていいじゃん」と思った、そのニーズとウォンツに対する、ひとつの見事な答えになっています。

歌詞もラップもアレンジも同じ曲を全員ひとりずつ歌うほうが、キャラの違いも役者さんの個性もずっと際立つものなんですね。オーディションの一段階を聴くようと言ったのはそういうこと。

意外にいちばんアイドルらしい“男のぶりっ子”声なのが走輔(古原靖久さん)。連(片岡信和さん)は“声のいいシロウトのおにいさん”風、範人(碓井将大さん)は“ツッパリキャラでないマッチ(近藤真彦さん)と言うか、“声量のあるひかる一平”と言うか…既存の何かに喩えようとすればするほどドツボるな。

これまた意外に、声質・歌唱の持ち味と楽曲がいちばんナイスフィットしているのが軍平(海老澤健次さん)だと思います。「オレ、歌なんてあんまり…」という、ほどの良い腰の引け具合が、曲とキャラに出会いがしらジャストミートしたんでしょうな。沖縄生まれのリズム感とでも申しましょうか、ラップ部分がいちばんラップらしく聞こえるのも彼です。

ちなみに、中学校の国語の先生がラップしているような、連の当該パートもキャラ通りで必聴。

この曲のソングライターでもある大翔の歌唱が、もひとつ意外にも曲と不思議に合ってない感じなのもおもしろい。徳山秀典さんはすでに歌手活動も経験されているだけに、歌いっぷり自体はこなれているんですが、「自分が歌いやすいように」作った曲ではなかったんでしょうね。とにかく突き詰めてないのが味の楽曲ですから、声質が、と言うより唱法が曲に比べて本格的過ぎるんだと思う。大袈裟に言えば、千の風の秋川雅史さんがサザエさんのテーマを歌ってるような、そういう合わなさです。ラップも連と比べると北極と南極ぐらい手慣れているけど、もっとハードな、社会的な内容のラップのほうが合っていそう。徳山さんご本人は曲作りも含めて、この突き詰めなさを心から楽しんだことでしょう。

アルバムとして欲を言えば、ラストを飾る『炎神スペシャルラップ』のファーストからセカンド、セカンドからサード…のつなぎ方がちょっと芸がなかったかな。冒頭ウイニングランのイントロからファーストに入るので、締めのウイニングラン部分をもっと盛り上げるアレンジにしてもよかった。『全曲集』に、分けて収録されている炎神ラップを、とりあえずぶっ通しで聴きたいという向きは多そうなので、企画としては親切な狙いでしょう。

裏ジャケ写のバックの青空が、この季節のリリースにふさわしくいい感じ。戦いの後の砂塵さえも春霞に見える。『ゴーオンジャー』を1話も欠かさず完視聴した人、DVDも揃えようとしている熱心なファンには薦めるまでもありませんが、序盤でも途中でも、何話か観たけどあまりピンとこなかった人、前年までの戦隊シリーズの中では『ゴーオン』って好みじゃないやと思った人こそ、聴いたらきっと、知らなかった楽しみ方に気づくんじゃないかと思います。絶対笑うから。嘲笑うんじゃなく、幸せに笑うから。

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言わゆったな

2009-03-24 22:55:02 | お笑い

『爆笑オンエアバトル』11回チャンピオン大会ファイナル(319日)、遅くなりましたが1時間半、ひとネタずつが長い番組だし、12組ごとの細切れでなく、演順にそってぶっ通しで流れを見たいと思い、再生視聴の時間を作るのに手間取ってしまいました。

一応、こうなったらいいなという希望的予想は立てはしたものの、それでも予想をきれいに裏切る、伏兵的な組の大駆けなんかもひそかに期待していたんですが、結果は見事にトータルテンボス2連覇。1,034kbは圧勝と言っていいでしょう。

いやね、滑り出しはまずまずだったものの、前半「箪笥の引き出しをバンと閉めていただきましてウンヌン」のくだりでは、正直、連覇はないなと思った場面もありました。

しかし、もう、何と言うか“オンバト汁(じる)”の滲み込み方の差でしょうね。貫禄とさえ映りました。「思い至りませんでした」「至ろうぜ」のリフレインの配分→最後に「イタリアンだけに」に持って行く流れの作り方、合い間合い間に藤田の髪型いじり「ブロッコリー」「スキマスイッチ」を挟む、それこそスキのなさ加減、5分半余の持ち時間の使い方が実に手練れなんですね。

この組、チカラの入ったネタになるほど、大オチにつながる伏線を長く引っ張り過ぎて作為っぽくなり鼻につく、所謂アタマで考え過ぎ“策におぼれる”傾向があって、それが開花を遅らせていた気がするのですが、今回はテンポがまったくよどまなかったため、それすらいいほうに出た。大オチで“ネタの前のほうで言っていたこと”を思い出させて、つなげて笑わせるというのは、机上でネタ打ちしていると簡単に思え、キレイにまとまりそうに思いがちだけれど、いざナマ現場ではなかなか笑ってもらえないものです。2年前のM1でも使ってラサール石井さんを「二度見ても笑えた」と唸らせた「ここらで漫才のほうも“チェックアウト”しようか」と同じくらい、今回決まっていたと思う。

民放の短ネタ番組乱立、“一発ギャグ”焼き畑消費の時代を経て、5分をもたせるネタで競う『オンバト』に、最もふさわしいチャンピオンと言っても過言ではない。とりわけ敗者コメントと勝者コメントの間で、「あなたたちです!」ポジションの大村と藤田がアイコンタクトするカットが良かったですね。“2人の関係性”だけでも笑いの下地が形成できる、タカアンドトシ級の円熟味のあるコンビによくぞ成長した。

新チャンプ誕生ならば最右翼かと期待した流れ星734kb7位と不振だったのが残念。この組は勘違いされやすいのですが、ちゅうえいの顔芸やゲームキャラ芸、コミックオタク芸が芯なのではなく、どこまでも瀧上のツッコミ次第で笑いの量も質も決まっていくのに、今回、瀧上をあまり活かさないネタにしてしまったのが直接の敗因でしょう。まぁ、身もフタもなく言ってしまえば、トタテンにあれだけ演られてしまうと、他組が引っくり返すのはほぼ不可能だったとは思いますが。

期待したもう一組、パンクブーブー806kb4位と、惜敗圏に踏み止まりました。“弟子入り志願”ネタの中でも“陶芸家”と絞ったなら、轆轤回しとか絵付けとか、窯を開けて失敗作を叩き割るなどの小ネタがいっぱい出てくるのかと思ったら、剣術でも柔道でも何でもよかったような筋立てで、思いのほか広がりがなかった。「さっきのタクシー代返せ」の大オチで噛んじゃったのをツッコミ黒瀬は気にしていたようですが、これが致命傷ではなかったと思う。

二度めの2位に甘んじたタイムマシーン3は、しかし966kbとトタテンにだいぶ水をあけられてしまいましたね。その差70kb、うーん。今回は昨年とは逆に、ツッコミ山本に比べ、関があまりフィジカルの調子が良くなさそうに見えましたがどうだったんでしょう。ネタ的にはかなりチカラが入って自信もあったようだけど、“妹”を引っ張り過ぎて、好みの問題だけどなんだか粘着な、不健康なネタになってしまった。オチのキレも“ボールがお辞儀し出した”感じでもうひとつ。

これら漫才上位陣に比べると、唯一の関西からの参戦ギャロップ622kb8位は、やはりパンチ不足だったか。序盤で振った「牛乳」を大オチ寸前までちょこちょこ小出しして引っ張る、まったりすっとぼけた持ち味はとても貴重だと思うのですが、2年前のNON STYLEのような「いざ東上」の調子ぶっこいた感じがない分、上位に食い込めなかった。この芸風のままではチャンピオンはやはり難しいかもしれませんが、個人的には“名大関”“名関脇”として味を出し続けて欲しい。

実は素でいちばん笑ったのが786kb5位のハマカー。序盤ハンマー投げにこだわっていた段階ではどうかと思ったけど、ボケ浜谷が野球を説明し始めたところから抱腹絶倒になりました。ちょうど再生視聴した日にWBCもやっていたもんだからもう大笑い。「大のオトナが18人も広場に集まって…」。浜谷のニコニコ毒舌をさらにメインにしたネタでも今後押せそうですが、ならば神田のツッコミがもっとレベルアップしていかないと。

揃って低調に終わったコント勢は、力量的に漫才勢とさほどの差はなかったと思うのですが、コントである以上、出の時点での設定がすべてを左右するので分が悪い。ななめ45°734kb7位はその中ではまず健闘でしたね。岡安が「釣りの雑誌かぁ、オレ、電車が好きなんだよ」で会場がドッと沸いたときには結構手ごたえがありました。鉄ネタと、それ封印のネタと、両方イケることを披露したのは今後のために良かった。

フラミンゴ526kb9位は、“カツゼツの悪いロックバンドヴォーカル”で、たぶん元ネタに桑田佳祐さんのイメージがあったのだろうな。そこは共通理解としてアリなんだけど、ウーロン太がボケとしてカツゼツ悪さを披露してから、やおら竹森が“同時通訳”を披露する、笑い取りにタイムラグがあったのが、セミファイナルでのトップリードに似てもったいなかった。全体に、ロバートみたいなふざけ風味のネタで、この組の持ち味である“きっちり計算作り込み”が活きていない。オチも普通すぎてオチてないし、やはり“コント”と“喜劇”は違うということを見せつけられた結果。

アームストロング510kb10位は、フラミンゴ同様“楽屋裏”と“本番”、二段構えのネタにしたことで盛り上がりが一服してしまい、だいぶ損しましたが、「これから本番の日やります」と栗山が顔を、安本が足をのぞかせる、確信犯的なB級ユルさが今回のメンバーでは異色の味があり悪くなかったと思う。ただチャンピオンをおびやかすネタ・芸風ではないなあ。

我が家350kb11位という結果順位がすべてを物語っていますが、申し訳ないけどネタ後の袖での谷田部の自虐トークがいちばん笑えた。確かにエグいネタではあるけど、出来としてはそんなに酷くもなかったけどね。トタテンの後という演順でも若干割引になったかな。

いつものスタイルを貫いた超新塾814kb3位は、今回初めて「長い」「飽きる」と思ってしまった。5分半余の持ち時間の使い方、常連としてはもうひとひねりないと、漫才組を撃墜するのは難しいかもしれない。

好き嫌いはあるでしょうが、やはりファイナルラウンドまで来ると、全組見応えがあるし、「なんでこんなのがオンエアされるんだろう」というがっかり感もなく充実した出来だったと思います。来期4月から月一の放送になりますが、未オンエア組による『爆笑トライアウト』との二本立てになるとのこと、キャラ的インパクトに頼らず、長い持ち時間を活かした“ネタ作り力”を問う番組として、今後も存在感を発揮して欲しいものです。

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スキニしろ

2009-03-23 17:26:58 | コスメ・ファッション

気がつけば世はフレッシャーズの季節ですよ。だからってわけでもないけど、先日、春のバーゲン第一弾で、いままでヤッタことなかったアイテム1コぐらい挑戦してみようと思い、スキニージーンズっちゅうものを2本ほど買って試してみました。

ブーツカットとかストレートスリムの普通のジーンズをはくときもいつも悩ましいのですが、ヒップが10代の頃から超薄い上、寄る年波で薄いなりに一歩、また一歩と下がって来つつあるので、ウエスト、股下、股上ぜんぶ一致するサイズを探すのがまず第一関門。

まー、見映え的にはともかく、固めで厚めのレギンス履いてると思えば、寒冷地住まいの労働者としては結構具合のいいもんです。

ただ、脱ぐときのスーパー脱ぎにくさだけはアレ、何とかならないもんでしょうか。

ジッパー下げて膝の上ぐらいまで下ろしてから、片方のスソをカカトの下ぐらいまで引っ張って、反対側の足先でそのスソを踏ん付けといてズリッと脚を抜き、もう片方も以下同文、というね。慣れてしまえばどうってことはないけど、自分で自分の動作を鏡で見たりなんかすると、そそけ立つような色気のなさですな。

やはり衣服としての設計思想みたいなものがゴールドラッシュとフロンティアの国USA発というか、機能上、色気を必要としないアイテムからは徹底的に色気をオミットしてあるんですね。

いやしくも豊葦原瑞穂の国・日本に生まれ育った(多少、峠を越したとは言え)大人の女性が、衣服を脱ぎ、裸に一歩近づく過程の所作として、この色気のなさは由々しき問題ではあるまいか。

…と、かねがね考えていたら、非高齢家族から「色気は、脱いだその“中身”にあればいいんだから、動作とか関係ないし」と、一刀両断のコメントがありました。

「男から見れば、色気のある服とか、色気のない脱ぎ方とか存在しないから。色気のある女が、色気のあるカラダで着てれば、ボロでも流行遅れでも全然色気あるし」「ないものは何着ても、何をどう脱いでもないし

……はいっ、ミもフタもドーシタもコーシタもないシンプルなご意見ありがとうございました。これからは心おきなくスソ踏ん付けてズリッ、踏ん付けてズリッしようっと。

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爺に「無用ノ介!」

2009-03-22 18:08:43 | 特撮・ヒーロー

わはは、悪口に入るんだ、「プチ整形!」。

『侍戦隊シンケンジャー』322日放送)、悪口でダメージを与えるアヤカシ・ズボシメシがいろいろ言ってましたな。しかし、“施術してもらう側”じゃなく“する側”に立つと、プチ整形を商売にする美容外科だって当節立派に市民権得た医療ビジネスなんだから、職業差別に当たらないかな。まぁ、悪口=「おもて立って人から言われたくないこと」「自覚があったり、事実だけに言われると傷つくこと」と考えればアリなのか。

ピンク茉子(高梨臨さん)に「一生独身!」も笑ったな。効かなきゃいいのに、おもしろいように効いちゃったという。まだ勝負決まったわけじゃないけど、「そうなったらどうしよう」とひそかに思ってたところに来たんでしょうね、子供好きお料理好きで花嫁願望の茉子としてはね。茉子タイプの女子に、34年前なら「負け犬!」でもよかったかも。

丈瑠(松坂桃李さん)は先週の流れからいって「ションベンたれ!」か、さもなきゃ「ツンデレ!」で飛ばされるのかと思ったら、「大ウソつき!」で飛んだのが意外。まあ意地っ張りで努力している姿を仲間に見せず、大丈夫でない時にも大丈夫と言い張るところを突かれたとも取れるけど、殿にはまだまだ秘密がありそうですからね。うまいこと先へと興味をつないだ。「(触れられたくないことが誰にでもあるって)“ウソつき”も?」と水を向ける茉子との、夕陽の土手での2ショットは月9のよう。

しかも、「落ちこぼれ!」でビル駐車場口の壁面に飛んだ千明(鈴木勝吾さん)、「ファザコン!」でさらに同ビル最上階まで豪快に行った流ノ介(相葉弘樹さん)に比べ、丈瑠は1階壁面止まりと、“やられ飛距離”的には殿の面目も保てました。

「大ウソつき」の所以をムリヤリ掘り下げると、“丈瑠は本物の志葉家御曹司ではなく、実は替え玉、なりすましだった”なんてドンデン返しも後半来るかな。昼ドラになっちゃうな。

流ノ介は丈瑠に「歌舞伎の世界では父親は師匠でもあるから特別な存在だろう、気にするな」とフォローしてもらったにもかかわらず、後半戦「マザコン!」でまたもやきれいに飛ばされてやんの。どんだけ弱点多いんだと。流さまの場合、「言われると(勝手に良いほうに解釈して)嬉しいこと」も山のようにありそうですけどね。

ただ、言葉の力で戦うという設定のシンケンジャー、敵の武器として、人を傷つけた心のダメージが物理的ダメージに直結する“言葉の暴力”を持ってきた今話は特に大いに期待したのですが、「アホ」「間抜け」「ドンくさ女」などの罵倒言葉がいっさい通用しないイエローことは(森田涼花さん)が「子供の頃からよく言われてきたし、自分でも自分はアホやなぁ思うから平気」というところまでは、彼女のおっとり天然な持ち味を敷衍した、理にかなった絵解きだったけど、“バカにされたらなにくそと思わなきゃおかしい”負けず嫌いな千明が、剣の稽古でことはにやられっ放しだったことを引きずって「自分はバカだって言い訳しているみたいだし、謙遜なら嫌味だし、本気で思ってるなら本当にバカ」「そういうのイラつく」と否定した辺りから若干ゴチャついた。

“己を知り、自信持てるだけの鍛錬を積み、かつ謙虚に構えていれば、中傷や悪口なんかではビクともしない”というようなところに着地すればよかったのではないかと思うのですが、「謙遜と卑屈とは違う」とか、「愛し信頼してくれる人(ことはの場合姉)がいれば自分を信じることができる」、さらには「応えてない素振りをしていても、言葉の暴力による傷は見えないところに深手を残す」などいろんな解釈要素が入り混じって、結局“悪の言葉の暴力に立ち向かう、正義の言葉の力とは”という眼目のところがぼやけてしまったのがちょっと残念。今作、世界観作りや武器(玩具)紹介はまずまずうまくいっていると思うんだけど、各メンバーの出自や育った環境と人間性、それぞれの衝突や摩擦を披瀝するお話部分でともすれば理屈先行になりがちなきらいがあるんですよね。

“言葉の暴力”という食材が、第六幕時点では若干デカ過ぎ、骨っぽ過ぎて生煮えになったというところでしょうか。

主客層の小さいお友達のほうが、変身名乗りやシンケンオーのキック攻撃などで、意味に縛られず楽しんでいるのかもしれない。ことはのモヂカラ“石”をズボシメシのビッグマウスに詰めて黙らせるところと、さんざん悪口攻めしてきたズボ自身がことはに「最低や!」と言われるとひるんでしまうのがおもしろかったですね。人を呪わば穴二つ。

ところで、ことはに悪口攻撃が通じず「言われたくない所を見抜く、ワシの目がくるったか?」と疑問に思ったズボが、三途の川の六門船に戻って“試し撃ち”に薄皮太夫に放った悪口って何だったんでしょうか。

小さいお友達の番組で、実質“ピー音”に等しい伏せ処理されていることと、“太夫”の常用する「わちき」言葉から推測するに、ずばり「ドウコクの囲われ者!」「売女(ばいた)!」ではなかったかと思うのですがどんなもんでしょう。

さすがに「ヤリ○ン!」ってことはないよね。

思ったんですけど、シンケンジャー、ことはが悪口攻撃に耐え過ぎて失神しちゃうまでガチ戦うより、黙ってガイアーク(@『ゴーオンジャー』)からケガレシア様を連れてくればよかったんですよ。悪口にあれだけ直球敏感な人もいませんからね。ズボ「そこの、きれいなおばさん!」一発でケガ様「キレイと言うでない!おばさんではおじゃらぬ!機械生命体の乙女でおじゃーるー!!」と沸騰、巨大化してズボ踏み潰されて終了だったのに。

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そして神戸(かんべ)

2009-03-21 17:13:14 | 夜ドラマ

『相棒 season 7最終話“特命”(318日放送)は、前週の予告で新相棒として及川光博さん参入が公表され注目されましたね。2000からの変則ワイド、昼間のWBCの余韻もさめやらぬ中での放送で順風とは言いにくい環境での船出でしたが、いやぁなかなかやるではありませんか。及川さんも、スタッフも。

96年頃なにやら色モノミュージシャン?みたいな印象でお見かけしていた及川さん、演技する姿を見たのは99年の『氷の世界』からだったと思います。物語が始まった時点で死んでいる役なんだけど、終わってみるとすべての謎の鍵を握る男だったという。当時、偶然、職場の昼休み『いいとも』のテレフォンショッキングで、劇中、結婚していた設定の松嶋菜々子さんのことを「キスシーン撮ったんですよ、菜々子ベイビーと」と言及していて、なんだコイツ上等な野郎だなと思った記憶も。

その後『白い巨塔』の財前側弁護士役では、ネタ抜きのガチ冷徹辣腕演技で、これでだいぶ印象も変わったかな。亀山くんの後を襲う特命係役としては、前任者が長かっただけに一抹不安もありつつも、上司の右京さん(水谷豊さん)とある意味似かよった、“頭いい”“都会的”“身体より理屈”“生活感希薄”キャラなのがおもしろいと思い、基本的にはニュートラル、ややポジティヴ寄りの地合いで視聴に臨みました。

何が「なかなかやる」って、及川さん扮する神戸ソン…じゃなくて尊(たける)の特命係デビューエピソードを、警視庁お膝元の都下は都下でも都心を遠く離れた奥多摩の山村舞台に持ってきたところがナイスワザあり。

神戸がそれこそ“(さっぱり上の真意のわからない)特命”を帯びて特命係に飛ばされてアウェイなだけではなく、突然届いた犯罪現場らしき細密画の差出人を訪ねて土地勘のない山村に飛び込んだ、右京さんもアウェイなんですね。もちろん、頼みもしないのに「赴任初日の挨拶を」と追いかけてきた神戸にあれこれチャチャを入れられるはめになった、その状況も右京さんとしてはアウェイ。

神戸にすれば場所がどこだろうと、杉下右京警部なる、人となりの掴みにくいことこの上ない上司と行動をともにしなければならない時点でアウェイ。

 これら“アウェイ四段重ね”のおかげで、俳優・及川光博さんの『相棒』世界におけるアウェイ感、砕いて言えば、途中参加序盤につきものの“浮いてる感”があらかたマスキングされました。Season最終話、拡大枠SPとしての“非日常感”を画面に付与する地方ロケともからめて、これはワザありです。

すべての事件が明らかになって本庁に戻った朝、神戸は愛用のMacの前、右京さんもこれまた愛用のティーセットに紅茶を注ぎながら、こっそり相手の様子を盗み見しあっているラストシーンでは、もうじゅうぶん“新相棒”スタートラインに並んだコンセンサスが成立して、視聴者も心おきなくクスクスニヤニヤできたのではないでしょうか。

いままでのseason最終SPにありがちだった、警察組織や政官界を席捲する話、あるいは司法制度などを採り上げた、ムダにではないけれどスケールの大きすぎる、結論の出にくいエピソードではなく、住人ほとんどが親戚か顔見知りの、都市化から取り残された村に生きる人々のささやかな、しかしだからこそ切実切迫した、濃密な葛藤が生んだ事件だったことが、単なる好みですけれど個人的に嬉しかったですね。

超高解像度デジカメのような視覚と画力を持つイディオ・サヴァン知的障害の弟・毅一(やべ きょうすけさん)の世話に明け暮れながら、都会で就職しキャリアを積む夢を封印していた姉・直弓(なおみ。宮本真希さん)。弟が描いた現場画の事件に至ったのは地元区長(前田吟さん)の、生活力のないひとり息子溺愛が原因でしたが、「毅ぃちゃんは想像では描いたことがない、きっと現実に見た場面のはず」と直弓が捜査を願い出た時点で、“何か”が動き出していたのかもしれない。すでに成人し青年とも言いにくい年齢になるまで、動物だけを描いてきた毅一が、血なまぐさい事件現場としか見えない絵を描いたのを目にしたとき、直弓の中で“いまだかつて起きたことがない出来事”“ここではないどこか”“いまの自分ではない自分”への渇望の扉が隙間を開け、風が吹き込んだのです。

近隣で目をかけてくれている区長やその弟晋平さん(日野陽仁さん)に感謝と恩義で心理的にべったりであれば、彼らを疑い捜査対象にするような行動は、思いつきはしても打ち消していたはずです。彼女の深層心理に、基本的に村や村の住人たち、とりわけ無能な息子を都会に出して好き勝手させている区長を恨めしく、どうにか腹いせしたく思うマグマがずっと存在していたと言っていい。

結果、区長と晋平、古馴染みの住職(苅谷俊介さん)3人の、起業を夢みる放蕩息子の夢を支え失敗を糊塗してやるための工作を、見事に明るみに出すことになった皮肉。いくら金を工面してやってもドブに捨てるような息子を都会で暮らさせる財力があったら、障害の弟に尽くすため日の当たる人生をあきらめ村に閉じこもって朽ちて行こうとする直弓に、施設を斡旋したり、毅一の特殊能力の細密画で自立につながる道を探してあげたりする大人が、どうして1人もいなかったのか。都会に比べて田舎は人情が豊かというのが通り相場ですが、ときに都会以上に冷ややかで非情で偏狭なのも田舎。

そればかりか、区長たちの犯罪隠蔽工作が、“いつもと違った状況”“見慣れない風景”に対応できないサヴァンの毅一を雨の山中でパニックに陥れ、“扉が開いてしまった”直弓を悲しい行動に駆り立て、もうひとつの事件は胸痛む結末を迎えます。

小さな村でひとつ屋根の下肩を寄せ合って暮らしながら、弟は“明日も明後日も永遠に同じ”を願い、姉もそれに添ってやろうとしながら、心の奥では“何かが、何でもいいから変わること”を憧憬していた。

寂れ行く寒村と濃い血縁地縁とくれば、横溝正史さん辺りが得意とする、古代伝説、民間伝承や祟り・呪いといったおどろおどろしいモチーフがつきものですが、「善人なればこそ、ふとしたきっかけで心に鬼が忍び込む」と右京さんが呟き、神戸は反論も嘲笑いもせず黙って先に村をあとにする、右京さんはひとり、毅一が愛し1日も欠かさず参拝していた山道の祠に立つ…という結び方も『相棒』らしい寂寥感をたたえつつ、あくまで淡彩にスマートでした。

一昨年の昼帯ドラマ『愛の迷宮』序盤を彩り惜しまれながら早め退場してしまった宮本真希さんが美しかったですね。1940年代のアメリカ映画で“スウェーター・ガール”グラマラスぶりをもてはやされたラナ・ターナーも斯くやという、ニットセーターを着るために生まれてきたようなたっぷりボディもさることながら、“静かな無念さ”を秘めた目の演技が素晴らしかった。

毅ぃちゃんの遺作となった直ちゃんの“ご め ん ね”4枚続き絵、何かを思い出すなと思ったらseason 2の皮切り“ベラドンナの赤い罠”で、実は連続毒殺犯だった小暮ひとみ(須藤理彩さん)が、浅倉禄郎(生瀬勝久さん)死刑確定判決直後の傍聴席から、「さ よ な ら(勝誇)」と唇で告げていましたね。

あちらも今話と同じ輿水泰弘さん脚本で、監督は和泉聖治さんのコンビでした。宮本さんと須藤さん、タイプも似ている。『相棒』のメインスタッフ一郭を担うお二人は、豊満女性のクチビルアップに偏愛があるのかな。まぁ男性で、嫌いな人はいないでしょうけど。

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