イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

見られたくなーーい

2009-03-20 20:46:32 | 健康・病気

何年前以来か思い出せないくらい久しぶりに、口唇ヘルペスが上クチビル左側“七合目”辺りに出現。

早起き明けの午前中の待ち時間、こっそり大あくび連発したら鼻水が出てきて、鼻をかもうとしてティッシュが触れたときピリピリ感に気づき、数分間でみるみる針の先ほどの水疱がむらむらと群生。なんだか久しぶりなので懐かしいくらいの感覚です。

帯状疱疹同様、神経細胞に居住権獲得済みウイルスが免疫力低下のたびに表に出てきて暴れ出すのが原因という、命にかかわる病気ではないけれど、一生ちょこちょこ付き合っていかなければならないと思うとかなりメンドくさブルー入る口唇ヘルペス。思い当たるほどの風邪や発熱の自覚症状はないものの、ここのところ就寝アフター2600、起床ビフォー630、間で飲酒、という日の頻度が高まっていた自覚はあるのです。うーむ。

高齢家族が何十年来の口唇ヘルペス持ちで、確かかかりつけの内科受診時にお薬をもらったことがあります。内科の先生が、治りかけのヘルペスのかさぶたが裂けて微出血しているのを見かねて「今度出たら、そこまでひどくなる前に塗ると良いですよ」と、専門外なのに皮膚科で出す口唇ヘルペス用のアラセナA軟膏を処方してくれたんですね。

あの時のアレ、もし残ってたらと思い本人に訊いてみると、高齢者の必殺「忘れた」。

ぜんぶ使い切っちゃった?あの時はすでに治りかけだったし、その後そんなに頻々とヘルペス発症していたはずはないし、調剤薬局のお薬手帳によれば5gの処方で、ホテル備えつけのハミガキぐらいのチューブだったはず、半分くらいでも残ってない?と追及しても、無敵の「忘れた」。

……まぁ、残ってたとしても、処方されてから1年半近く経ってるし、「忘れた」状態では保存状態も期待できないので、こっちもさっくり忘れてあきらめることにしました。そもそも、家族といえども、外用薬といえども、或る人に処方された薬を本人以外が用いるのは、よいこのみなさんはまねをしてはいけません。

そんなところへ、非高齢家族が「こんなんあるけどどう?」と持ってきたのが、口内炎用軟膏アフタゾロン。ヤッコさんは昔から歯周病持ちで、現在の月河より若い(たぶん)年齢で部分入れ歯ユーザーになったため、口腔内が無駄にデリケートで、高齢家族の口唇ヘルペスを上回る頻度で口内炎を発症するからと、知り合いの歯医者さんからかなり多めにアフタゾロンをもらっているのです。

しかし、アフタゾロンといえば合成副腎皮質ホルモン(コーチゾン)剤で、口内炎を筆頭に腫れ物、おできなど化膿性の炎症には適しているけれど、ヘルペスはウイルス性の病気ですから、抗菌抗ウイルス成分の薬じゃないと効かないのでは?と半信半疑で塗ってみたら、これがどっこい意外に効いたのだから世の中わからない。ひと晩で群生水疱のブチブチが乾いて、褐色に固まってきました。

それでも今後のこともあるので、翌日いつも酒類の安売りに行くドラッグストアで「口唇ヘルペスの塗り薬」と指名してグラクソ・スミスクライン社製の“アクチビア軟膏”を購入、こちらも試してみましたが、塗った瞬間にヒリヒリ灼熱感があって、それでも我慢して23度塗ったものの、せっかくやっと乾きかけていた群生水疱の“土台”が持ち上がって台地状になり、群雄割拠をまとめた天下統一的なウズラ豆大の水疱になりかかって慌てました。口唇ヘルペス再発治療薬と銘打って売っている薬だけれど、月河の、この段階の口唇ヘルペスには歴然と合わない模様。

もう少し初期、アフタゾロンでブチブチが乾く前の、「鼻かんだティッシュが触れてピリピリ」の前駆段階で塗っていれば著効だったのかもしれません、アクチビア。

結局アフタゾロンに戻し、この薬の場合塗ってから数時間で乾いてポロポロ剥離してくるので、塗った上から化粧用コットンを1センチ四方に切ったものを貼り乾燥に備えて就寝。これでまた順調に治癒街道に。

出てしまってからの薬より何より、もう決して有り余るほど身体中に満ち満ちているとは言えない中年の免疫力を、自分で低下させるような生活習慣はやめましょう、という結論でした。

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シャンパン№5

2009-03-19 23:50:52 | 昼ドラマ

最近疎遠にしている昼帯ドラマ、4月クール作の公式サイトも動き出したようです。4月スタートのドラマ情報が聞こえてくると、北国の当地もさすがに春の気配。

『エゴイスト ~egoist~』、公式トップもやはり「大事なことだから二度言った」という感じですが、この枠このクールの、前クールまでの状況と異なった特徴と言えば、①裏番組のTBS系昼帯ドラマ枠がなくなり、地上波のライバルはインタヴュー&トーク番組と報道情報番組、外国映画だけになった②6月いっぱいまでの3ヶ月1クールだったところを、5月最終週までの2ヶ月8週、40話に圧縮した……の2点でしょうね。①のほうはどう影響が出るか、順風にも逆風にも“じわじわ効いてくる”要素でしょうが、②は脚本、撮影、編集といった、放送前の具体的現場的な段階で直撃するファクターだけに、序盤から見守る必要があります。

それよりも個人的に気になるのは、放送開始が46日(月)からと、実質第2週からのスタートになることです。4月イッピ、新年度が走り出してから一週間弱経過しているわけで、これは気分的にかなり遅れを取らないでしょうか。

進学、就職、転職、それに伴う引越しなどの人生イベントごとを迎える人や、そういう人を家族に持つ人の場合、41日を境に生活環境、生活時間サイクルが、行くと帰るほど違ってしまうケースはかなり多いはず。月河が放棄した『非婚同盟』が数字面ではまずまず好反響を保っているわけで、視聴習慣のソフトランディング、スムーズテイクオフという意味で、この後倒しはどうなのかな。いろんな忙しさに取りまぎれて、初回を見逃したり、もう昼ドラ視聴生活とは心理的訣別済みであったりしないでしょうか。

調べてみると、最も最近では1998年の4月クール『白衣のふたり』が同じ46日スタートですね。前クールの『はるちゃん2』が43日までの放送。現行放送中の『非婚同盟』も同じ43日までの予定です。

いちばん深いスタートならばさらに10年遡り、1988411日スタートだった『ふれ愛Ⅱ』。これは前クールが金字塔的ヒット作『華の嵐』(48日まで放送)だった関係かもしれません。偶然にも当時主演の山本みどりさんが、今作『エゴイスト』でヒロイン母として共演されます。

まぁ新年度と言えば、TV局も制作会社さんも、不況の波に耐えて心機一転というタイミングなはずで、シロウト目にも明らかな上記2項目のチャレンジがあることでもあり、昼ドララヴァーズとしては、でき得れば質的にも、数字的にも吉と出る結果をと願うばかりです。

公式に掲げられているキャストの中では、取っ掛かりどころが多いのはやはり川島なお美さんでしょうかね。大女優役だそうですよ。偶然ですがついこの間、LAWSONのバス用品コーナーで“川島なお美プロデュース”入浴剤シリーズを見かけました。

ゴージャスシャンパン癒しのロゼ濃厚レッド3種類。1回分ずつのパッケージに、バスタブから肩もあらわにウッフン♪こちらを向いている川島さんの写真入りです。

10年以上前、97年のTV版『失楽園』の少し前からだったか後からだったか、「ワインと言えば川島なお美」「なお美と言えばワイン」というパブリックイメージが定着しました。“なお”“美”という同業or近似業他者と、かぶりそうでかぶらない芸名表記もあずかって力あったかもしれない。

振り返れば、80年代初頭のミスDJ、『アイ・アイゲーム』司会山城新伍さんのアシスタント時代からお顔を見ていますが、スレンダーなお人形的体つきに小動物系のキュッとしたお顔立ちで、アイドルとしては抜群の適性でも正直“セクシーシンボル”“オトナの色気”、とりわけ“お”の付いた“お色気”に近しいタイプとは思えませんでした。当時の彼女を「カワイイ」と思う男性諸君は多くても、「色っぽい」「エロい」と思う向きはいまほど多くなかったのではないでしょうか。

93年のヘアヌード写真集辺りから世間の共通理解も変わってきたのかな。入浴剤のパッケージを拝見するにつけ(買ってませんぜ)、1960年生まれ今年49歳にしては、まぁ多少メイクや顔パーツのお直しは入ってるにせよ、上半身の輪郭も肌ツヤも十分過ぎるほど若さを保っておられますが、“誰が見てもセクシーむんむん”とは言えない、華奢で少女っぽい、あえて言えば貧相なルックスなのに“自己申告”“自己プロデュース”っきりでコンニチの“セックスシンボル”“熟女のお色気”の地位をきわめられた、これは稀有な女優さんと認めて上げていいと思う。

 「ワタシってこれこれ、こういうヒトなのよ」と510年言われ続け、そう振る舞うさまを見せつけられ続ければ、あの人はそういうヒトだと世の大多数は思ってしまう。社会心理学的現象のわかりやすい具体サンプルとしても貴重な存在です。

その川島さんがレギュラー出演、しかもヒロインの生き別れの実母という重い役で参戦されるとのこと。彼女の来演で、本意か不本意か“色モノ”臭の強いドラマになるような気もするし、どっこい最も昼ドラ“らしい”昼ドラの王道になるような予感もします。

川島さんはひょっとすると、入籍後初めての連続ドラマになるのかな。もろもろ期待できそうではありませんか。

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飾って許して

2009-03-18 20:04:35 | テレビ番組

先週土曜(14日)の夜、帰宅後の後片付けをしながら背中で聞いていた高齢家族視聴中の居間のTVから、♪わらぁてぃ ゆるしてぃぃ~ と和田アキ子さんの『笑って許して』が聞こえてきて、和田さんの唱法だけど声がなんか違う、ものまね番組?と思って画面を見たら、NHK『のど自慢チャンピオン大会』でした。

チラ見ながら見基調の視聴だったけど、いやぁ、当節の“のど自慢”、なんだか大変なことになっているんですね。歌のうまさ自慢と言うより、“温かく愛情溢れる家族自慢”“楽しく明るいご近所自慢”“前向きフレンドリーな職場自慢”の様相。各出場者の地元・ご自宅までロケに行って、BGMまで乗せて紹介VTR作って、要するに“人間関係力自慢”大会なんですな。うぁー気持ち悪い。地方在住の名もなき華もなきシロウトが、歌だけクロウトはだしにうまくても、それだけじゃTVの番組にはならないらしいです。

テレビ小説『だんだん』で音楽事務所スカウト時代の石橋くん(山口翔悟さん)が、プロ歌手にと誘われて渋るめぐみ(三倉…えーと、またわかんなくなってきた、だからその、ほら…茉奈さん)を口説くのに「キミは歌の力を信じてないね」と言っていましたが、当節、オリンピックやW杯といった観戦コンテンツとしてのスポーツ同様、“萌え”も“美談”も“おもしろ”も含まない“歌単体”じゃ如何ともしがたいのだよということを、当のNHKがゲロっちゃった、の図でした。

それもむべなるかな。『のど自慢』という体裁の修飾をほどこしつつ、訴えたいことは別にあるのですから。

マスメディア、特にNHKTVやラジオといった“公共性”を標榜する媒体が、“家族”“地域社会”(←“ふるさと”と読み換え、書き換えられることが多い)を強調し賛美するようなコンテンツソフトを流し始めたらとにかく要注意です。

どんな時代のどんな国にも、統治する側と、される側とが存在する。現代は封建主義の時代ではありませんから、統治する側も、される側の意思(=選挙での投票)に拠らないと、統治する立場に居続けることはできないことになっていますが、だからこそいっそう統治の方法論として最もベーシックかつ強力に援用されるのが“家族”と“地域社会”、つまりは“地縁血縁”による足枷です。

人間が、現行統治体制に反抗背反する行動をしないように縛る拘束具もしくは方向指示具、矯正管理ツールとして、“家族”と“地域社会”ぐらい手っ取り早く効率の良いものはありません。「お上の言うことを聞き、社会規範を踏み外さないように」一生を送らせる、何より納税をスムーズかつ遅滞なく履行させるために、「反社会的な行動をしたら、顔向けがならない」存在を、統治する側は是が非でも恒久的に、かつ安上がりに確保し、社会のいたるところに草の根的に張りめぐらせておきたい。

統治される人間が、個人の欲求や志向願望のおもむくままに、就学したりしなかったり、就職したりしなかったり、結婚したりしなかったりを自由気ままに選択し謳歌することを、統治する側は何よりも嫌います。「自分ひとり糊口をしのぎ雨露しのげて、好きなところで好きなことをやって人生を全うできればいい」と思い、その通りに生きる人ばかりになったら、次世代に社会性を仕込む教育も、引退世代の介護もタダで引き受けてくれる“家族”や、これまたタダで防犯自警機能を請け負ってくれる“ご近所さん”という、タダのセーフティネットが衰退するので、社会保障費や警察司法にべらぼうな財政支出が必要になってくるばかりでなく、何より怖ろしいことに、おお、税収が激減するのです。統治者が最も憎み恐怖するのはこれなのです。

統治者は被統治者に、何が何でも“家族”を持ち、“家族”の幸福のために定職に就いてこつこつ働き、安定継続的に税金・年金を天引かれもしくは申告納税してもらわなければならない。なおかつできれば“ご近所”“地元”に執着して、地場産業を盛り立て地元選出の議員に公共事業を振り分けられて有難がり、親代々の近隣住民同士、ニート予備軍の不登校息子や、子供を産まないパラサイトお引きずり娘を出さないようニコニコ微笑んで挨拶交わしながら目を光らせていてもらいたい。

TV番組を使った「家族がいるって幸せだね」「ふるさとっていいね」という称揚はそのための格好の間接的ピンポイントメッセージなのです。

TVから“家族万歳”“ふるさと最高”が匂い始めたら、マユにツバをいくらつけて観てもつけ過ぎということはない。少子高齢化で政府がいやが上にも税収の先行きにナーバスになっているいまだからこそ、マスメディアを使った統治者側からのソフト洗脳は先鋭化の度を研ぎ澄ましてきているはずです。

家族、ふるさと、ともに、あればあったでとてもいいものです。家族の幸せを一に願い、家族の笑顔を心の糧に日々の仕事に励む人生、故郷を愛し故郷の繁栄に尽くし、あるいは離れた故郷へ“錦を飾る”誉れを夢みて勉学や出世競争にいそしむ人生も、それはとても結構なことではありますが、個人レベルでは“そうでなければならない”“そうでないと惨め”“そうでないと恥ずかしい”ものではまったくありません。

「そうでなければならない」とハラにチカラ入れてリキんでいるのは、統治する側、社会を運営し管理する側の論理です。

公共を自称し受信料を徴収して恥じない放送局が製作放送する『のど自慢』、視聴率は20パーセントを超えたそうです。

くわばらくわばら。いつの時代も、用心していないと統治する側の論理にまるめ込まれて、彼らが勧奨し押し付けてくる生き方を「幸せ」と思い込まされて一生終わるはめになります。

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ムダムダ弾

2009-03-17 21:06:48 | 特撮・ヒーロー

『侍戦隊シンケンジャー』第五幕(3月15日)は、外道衆アヤカシ・ヤナスダレがよかったですね。

今作、正義のメインキャラは、変身後の顔面に若干の抵抗があったものの、全員強いし変身前からカッコいいし可愛いし文句はなかったのですが、敵側がホレ、前作『炎神戦隊ゴーオンジャー』ではいちいちみんなユニークで、キュートな造形と決めゼリフを持っていたじゃないですか。ガイアーク&蛮機獣に比べるといまいち敵キャラが暗くて魅力が薄いなあ…と思っていたところ、前週第四幕のナミアヤシで造形的にモリモリ盛り返し、ヤナスダレは「ムダだムダムダ!」と都心で大筒リボルバー=柳糸連打銃を連射するアナーキストっぷりが素晴らしかった。いやー、渋谷や新宿の駅前の雑踏を目にすると、ランボーのようにバリバリ機関銃撃ちまくって蟻みたいな人間どもがバタバタ倒れるところ見てみたいと一瞬、月河でも思いますもんねえ。虚無への本能。やりませんけど。

ヤナスダレには国会議事堂とか議員会館とか、永田町界隈に向けて「ムダだムダムダ!」砲を撃ち放ってもらいたかったですね。攻撃されても“柳に風”と受け流せる体質、及び三途の川の水分を吸収していないと“この世”で暴れられないという外道衆の宿命が、あまりやる気のないニヒルな性格を生み出したのでしょうか。

どこかの総理大臣も、次期総理大臣心得(誰だ)もあやかりたいだろうな。柳に風。ムダだムダムダ。自分がいちばん最初に吹っ飛ばされたりして。

「自分が強くないと、臣下のシンケンメンバーが恐れを抱いて士気が下がる」と思い、志葉家伝来の秘伝ディスクを使いこなすモヂカラを得るべく、花形満の鉄球鉄バットみたいな特訓に夜通し取り組む丈瑠(松坂桃李さん)。ノブレス・オブリージュ。

メンバー間の“序列”が、後天的な訓練や努力によらず“出自によってあらかじめ決まっている”というのも、近年の戦隊ではあまり使われなかった『シンケン』独自の設定と言えるでしょう。

「私ひとりでは不安だからサポートしてくれ」とぶっちゃけちゃったほうが、少なくとも、友達として友情に訴えてくれれば意気に感ずるタイプのグリーン千明(鈴木勝吾さん)と、弱ってる男の天使・ピンク茉子(高梨臨さん)は先頭に立って「それなら私たちが殿の足りない分を頑張ります」と意気上がってくれそうなんだけど、家臣たちへのそういう対し方は殿、まだできないのね。甘え下手。これまたTVの前のママさんたちが日曜の朝、全国でウルウルしてそう。

シンケンジャーは生まれつき、先祖代々シンケンジャーたることを世襲しなければならないと決まっている、究極の“宿命戦隊”。背負い込み体質の殿の本心を、他のメンバーが早く成長して察知してくれるといいですが、いつか、“成り上がり参入者が下剋上を企てる”エピソードなんかもやらないかな。

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それ以下ランチ

2009-03-16 17:25:10 | 特撮・ヒーロー

『仮面ライダーディケイド』8話、『剣(ブレイド)』世界篇前半は、なんだかおもしろい感じになっていましたな。BOARD(ボード)が国から予算もらってアンデッドを封印する会社になっていて、アンデッド出現!A(エース)出動!まではオリジナルのボードと一緒なんだけど、司令室社員が「アンデッド封印の件」てな稟議書持って社内アタフタ走り回って、経理、総務、社長とハンコ揃わないと仮面ライダーに変身しちゃいけないことになってるのね。出現してから稟議上げるって、どんだけ泥縄な会社なんだ。国から予算下りてるということは、さぞかし美味しい天下り先として、役員会なんかがめつい能なし官僚OBがはびこっていることでしょう。

それはともかく、オリジナル平成ライダー世界の中でも特徴的な“給料取りのサラリーマンライダー”という設定が、やはり『剣』世界篇を書く脚本家さん(米村正二さん)の琴線にいちばん鋭く触れたんでしょうな。確かに、オリジナル『剣』の、他作品と異色な点を、ムリヤリひとつだけに絞って挙げるとすれば、この点かもしれない。仮面ライダーに変身を許されたA級の社員同士、相手を蹴落として自分のランクを上げるために汲々としているというのはオリジナルとだいぶ違うけど、“懐疑と不信、裏切りが渦巻くギスギスした人間関係”とまるめて見れば、オリジナルの、特に前半のダークな空気感のカリカチュアライズとしてアリかなとも思う。

スペードAから最低ランクの2に降格されてしまったブレイド・剣立カズマを演じる鈴木拡樹さんが、撮り方でしょうが角度によってオリジナルのブレイド剣崎・椿隆之さんに驚くほどよく似ている。「元Aのプライドはないのか」とギャレン菱形サクヤ(成松慶彦さん)や黒葉ムツキ(川原一馬さん)に詰られて悔しさをかみ殺す表情など、演技プランもオリジナルを見てかなり盗んでそうです。ここらは監督さんが、オリジナルでメイン監督をつとめた石田秀範さんなので安心して見ていられる。

斜めに右手を上げてクルッとさせる、あの変身ポーズが見られただけでも、我ながらあきれるくらい、テンションがウナギのぼりしますな。改めて、平成ライダーの中でいちばん惚れ込んだ作品はやはり『剣』だったということを再度自己確認。カズマ鈴木さんには、できれば髪の色を整えてから撮影に臨んでほしかったけれど、“そこらのフリーター上がりの駆け出しが、あれよあれよと成り上がって、調子に乗ってる”感じを出すために、あえてあのままにしたのかもしれない。

ギャレン菱形サクヤの成松さんは、変身前の私服時のコーディネートとか、なんとなーく人がよさそうで、強いのか弱いのかわかんないところがオリジナルの、天野浩成さん版橘朔也に似てなくもない。せっかく“Aランチ”お食事シーン、厨房シーンもあったことだし、「これ、食ってもいいかな?」って言ってくれてもよかったのにね。

後半でA昇格、レンゲルバックルを与えられたアラレちゃんメガネのムツキくんは、先輩に叩くクチのでかさが、スパイダーアンデッドに支配されたブラック化期の、北条隆博さんのオリジナル睦月をちょっと髣髴させます。カズマ先輩が自分を気遣ってくれたために降格されたのに、ビタ一文感謝の言葉もない外道っぷりが上等。

ディケイドがアンデッドと戦ってるそばでブレイド、ギャレン、レンゲルが内輪揉め、そこへ伝説のライダー・カリスがうぉーーーっと走ってくるなんざぁ、ちょっとサービス過剰な気もしないでもありませんが、まあ歌舞伎の顔見世みたいなものと思えばいいのかな。

いままで士(井上正大さん)ディケイドたちが通ってきた世界、前半で“ライダーの力がこんな感心しない方向に使われています、使われそうです”を提示、後半でディケイド、ユウスケたちとライダー適合者らが意思疎通し協調してそれを是正、退治すべきものは退治して、鳴滝(奥田達士さん)「この世界もオマエに破壊されてしまった…」というのが流れでした。

TVの前の小さいお友達、「パパはリストラ攻勢に耐えて働くサラリーマン」という子が多いと思うのに、ヒーローに「サラリーマンになる気はない!」って断言させちゃいましたが、組織とか、雇い雇われ給料もらいという一見夢のない社会も、裏を返せば(表を返せば、かな)人と人との信頼、1人ではできないことを団結して可能にするチームワーク、上が下を教え導いたり、世のため人のために貢献したりという崇高な要素から成っている。アンデッド封印という職務より、目の前の人命を助けるほうを優先して降格された、不器用だけど真っ当な正義漢のカズマと士たちが協力して、最低の会社を最高の組織に変える話が、次週語られるのではないかな。

……オリジナル『剣』と言えばもうひとつ“組織崩壊”“組織トップが悪ラスボス”もキイワードだったので、若干イヤな予感…いやワクワクな予感もしますけど。

ボード社長(累央さん)に「協力してほしいなら予算を」と要求されて「なるほどねぇ~」と納得してしまうユウスケ(村井良大さん)が今話もいい味を出していました。厨房でカズマがサクヤたちに嘲られて「言われなくてもこんな会社出て行く」と癇癪を起こしかけたところへ「それじゃただの負け犬だろう!それでいいのか」とにょっきり現われたり。前のシーンで社長室で顔合わせただけなのに、どこの誰ともわからないはずなのに「……(考直)」とたじろいでしまうカズマもいいヤツだ。

ヒーローとして士のわかりにくいところ、ひとひねりふたひねりあるところを“真っ直ぐ”に翻訳して表現するのがユウスケの役目。給料上げてもらってご満悦の士に「染まりすぎだろ」って言うときの手は完璧にツッコミ型になってました。

どうなんだろう、カッコいいけど言動が極端で、直球で“いい人”“見習いたいヒーロー”タイプではない士と、カッコいい変身戦闘シーンは少ないけど気だての良さやポジティヴさにあふれているユウスケ、人気が半々ぐらいだとちょうどいいんじゃないでしょうか。やはり士派がちょっとは上回ってるぐらいのほうがおさまりがいいかしら。

K(キング)に特進して厨房のチーフを任されたけど、味見をお願いされても「なんだ、このコジャレた味は!」とケチャップとソースと醤油しか要求しない士くん、舌が完全にお子ちゃまなところが可愛い。要するに『ディケイド』は、少年(心が少年である者)の成長物語でもあるんですね。

アンデッド造形ファンとしては、バッファロー、エレファント、カプリコーンと“ツノキバ系”しか出てこなかったのがちょっと物足りなかった。オリジナルで画面に登場しなかったパラドキサの造形も、出されてみると“まあ、あんなもんかな”という感じでした。

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