2013年如月
年の暮れ氷雨の朝に急ぎ来て冷気携え春は立ちおり
寒冴える深泥の池の水の上固まり集う水鳥静か
雪の敷く比叡御山の白い宵御堂の前に祈る人あり
一周忌華やぎ満ちるありし日の姿ばかりが浮かんで消えて
連綿と続く血潮の血の水脈を断ち切らせたる悔悟身を咬む
喪のあける朝にも額に納まれる笑顔の人にひそかに詫びる
きれぎれの記憶の残滓海峡の青きみどろの渦に沈めて
街を行くしらじら朝の交叉路に有象無象のものはうごめく
熱き湯に浸して身体一日がほどけ抜け出ることのうれしさ
梅が咲く便りを聞けばそわそわとそぞろに乱る如月の末