CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

物欲の世界から逃れることは出来ない、じゃあ八百万の神様にすがるとするか。

2015年11月21日 | BEATLES-BADFINGER関連

日本人ほど浅く広く数多くの宗教を信仰する民族はないのではないだろうか?

少なくとも、神社と仏閣の両方をお参りするのが普通で、特にキリスト教を信仰していなくとも、クリスマスやバレンタイン・デーなどキリスト教がらみの行事が国内全体に浸透している。

助けてくれさえすれば、神様でも仏様でも敬い崇めるといった調子である。

ただ、この緩やかな、もしくは都合の良すぎる信仰心があってこそ、海外でよく見られる宗教上の過激な対立が一部の例外を除きほとんど見受けられない利点もある。

ジョージ・ハリソンのビートルズ解散後の、ソロ2作目のLIVING IN THE MATERIAL WORLD (1973年作、全米/全英 1/2位、シングルGIVE ME LOVE 全米/全英 1/8位)は、一作目のALL THINGS MUST PASSと比べて一部のリスナーに宗教臭く敬遠される時もあるが、ビートルズ時代のインド楽器の音色が炸裂する、LOVE YOU TO (REVOLVERに収録) やWITHIN YOU WITHOUT YOU(SGT. PEPPERSに収録)などと比べれば、売れ線狙いのサウンドでインドの香りが控えめに感じる楽曲が中心となっている。

もちろん楽曲の詩に関しては、宗教臭い教条的な表現もあるのだが、そこは英語の詩がダイレクトに伝わらない日本人にとっては特に問題にならないであろう。

インドの神様も、八百万の神様と同じようなものと考えればそれほど違和感も感じないはず。

インドが過去にイギリスの植民地だった関係もあり、イギリスとインドは文化面でも結構深く繋がっているのは理解出来るのだが、西洋人のジョージが日本人にはあまり馴染みのない東洋のインドの宗教に何故これほど深くのめり込んでしまったのかは私としてはあまりピンとこないのである。

まあ反対に、外国人に日本人が持つ独得な宗教観を説明しようとするとよく理解されないのと同じかも。例えば何故そんなに節操もなく多くの神様にすがる訳?といった感じ…

とにかくこのアルバムは、大変好きなアルバムの一つで、ジョージお得意の美しく鳴り響くスライド・ギターもアルバムのあちこちで心地よく聴くことが出来るし、タイトル曲やDON’T LET ME WAIT LONGなどの力強い演奏も聴き応えがある。

強いて言えば、サイド2の楽曲が弱い感じで、シングル・カット出来るようなサイド2の芯になる曲をもう一曲入れれば完璧ではなかっただろうか?

今年も、11月の後半と12月を残すだけとなり、年末年始は恒例の八百万の神様にお願い事を頼む神様の季節となる。

もし初詣のコースの近隣にインドの寺院があれば一緒に廻ってしまいそうな気もしないでもない。助けてくれるのであれば…

George Harrison Living In The Material World