世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

深夜の銭湯

2007年03月10日 12時31分38秒 | Weblog
3/9(土)一週間戦った自分にご褒美。

深夜の銭湯に行く。
以前、販売をしていた頃は
「〇円売ったら銭湯に行こう」
と褒美にしていた銭湯。
今は自分の仕事に納得できた日に行くことにしている。
やはりシャワーだけの入浴とは違い、湯にゆっくりと浸かると身が解れる。
髪に「ティモテ~」とトリートメントを塗り、蒸しタオルを頭に巻いて、湯船に入る。
のもせたら洗い場で休む…を繰り返す。

鏡越しに映る深夜の銭湯に来る人を眺める。
みんな素っぴんで全裸なので、年齢などはよく分からない。
でも明らかに私と同じぐらいの女性も数人いて、そして彼女たちはけっこう高価なシャンプーを使用していたりする。
家に風呂がなくて…という生活感は微塵も感じられない。
きっと、デトックスとか癒しが目的なのだろう。

湯気の中、みんなそれぞれの思いを胸に秘めている。
深夜の下町銭湯に集う人々の人間模様を考える…それも銭湯の醍醐味だ。

番頭さんに「おやすみなさい」と言われ、下駄箱で靴を履いて外に出る。
茹で上がった体に夜風が気持良い。
少し冷たくて、私にはそれが冬の忘れ物に感じた。
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卒業できない恋もある

2007年03月10日 12時28分20秒 | Weblog
先生をしている友達の最近の日記を読むと、卒業式の話題が多いことに気付く。
つい自分の卒業式を思い出してしまう。
高校の卒業式は雨が降ったことしか記憶にない。
卒業式のあと、友達と行ったカラオケの印象の方が強い。
美人な子が安室奈美恵の「Chase the Chance」のラップの部分を棒読みで歌ったこととかよく覚えている。しかし、肝心な卒業式の内容については全く記憶にない。

中学校の卒業式は強烈すぎて、いまだによく覚えている。
仰げば尊しを歌っているとき、逆流して喉を伝った涙の塩辛さも…。
後ろに控えたPTAの席に母親がいることを意識して退場するまで泣けなかった。

会場である体育館を出た瞬間、堰を切ったように大泣きをした。
マイミクのあやみちゃんと泣きながら教室まで歩いたのも鮮明に覚えている。
なぜあんなに泣けたんだろう。
今考えると、人前で泣くことに恥ずかしさを覚えなくなった最初の瞬間だったのかもしれない。

教室に戻り、最後の担任のお話。
「こんなに手のかからなかったクラスは初めてだったよ」と言いながら、担任は嗚咽を始めた。普段はヘラヘラしている彼が肩を震わせて泣く姿に、クラスは涙で包まれた。

アーチをくぐり終えたあと、好きだった英語教師に駆け寄り「お世話になりました」と挨拶した。
彼は淡々としながら、私の好きな眼鏡ごしの目を細めて「頑張ってください」と述べた。
最後まで好きだと言えなかった。

あの想いは15年近く経っても私の中で燻っている。
29歳の女のハートをいまだにくすぐる彼の面影は、時々夢に出てきては私を苦しめる。

2年生でクラス替えがあり、そのときから彼は英語の先生として我がクラスを受け持った。
冷淡で潔癖で陰湿で…ということは学年中の噂だった。
彼が私のクラスの英語を受け持つということを知った時から、私はビクビクしていた。
でも心のどこかで彼に嫌われたくない思いがあった。
彼のために予習や復習したが、ビリに近い成績は一学期を終えても変わらず。
しかし、2年生の終盤、偏差値が当初より20ぐらいアップした。
「どうしたの?」
と彼に言われたが、まさか、「あなたが好きで頑張りました」とは言えるわけもなく…。

「earthquake」という単語がどうしても覚えられずに泣きながら何度も綴ったり、関係詞が理解できず表をトイレに張り付けて覚えたり。
…あれは紛れもなく彼のためにしたことだ。
それだけ彼が好きだった。

今の私にはない根気である。
あれからいくつか恋愛をしてきたが、いつもどこか冷めていた。
彼と比べてしまったり、「彼は今何をしてるんだろう。私のことは覚えているのだろうか」と考えてみたり。

そんな私を彼はあの冷淡な目をしながら「自分の人生を生きてください」とか言うんだろうな。
そんな日がくるはずがない。
でも、いつか会いたいと、いつも心のどこかで期待している。
それが私の卒業証書だ。

この恋を卒業できる日は、来るのだろうか。

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