湯舟に入る「気持ちよさ」

2011年05月16日 | 自分 -

こんな大好きだったことを、私はすっかりと忘れていた。
だから、「疲れ」がたまって、「ストレス」もたまって、
日々の生活にも、多少なりとも影響しているのではないかと、
感じた・・・。

父の介護をはじめて、お風呂が大好きだった私たち親子は、
銭湯や健康ランドに頻繁に出かけ、また温泉にもよく出かけた。
昔、両親を家族旅行に誘ったのも、温泉めぐりばかりだった。


父と暮らすようになって、最初の頃は、まだよかった。
オートロックの開閉に苦慮したけれど、父はまだ元気な頃で、
お風呂の用意をして、帰宅する私を待っていてくれた。
自分はさっさと入った後で、「早く入れ、ぬるくなるぞ」と、
良くせかされたものだ。
それが、心地よく思い出される。



しかし、次に引っ越しをした一軒家は広かったけれど、
お風呂は狭かったし、浴槽が四角くて深いので、
足の悪い父は、そこで転んでからというもの・・・
洗髪はシャンプー台でしても、入浴して浴槽につからなくなった。
あんなに大好きなお風呂なのに・・・。
父は、とても正直だった。
時々、出かけるデイケアサービスで、足を延ばして、
ゆっくりとお風呂に入り、介助してくれるので安心だから、
本人は、余計に家のお風呂から遠ざかっていった。

時には、強く誘って、お風呂に入ってもらったけれど、
なかなかプロのようにはいかないし・・・
身体の大きい父を、抱えるのはひと仕事だった。


その頃からだったと思う。
お風呂やサウナ好きの私が、浴槽に入らなくなった。
気分が乗らなくて、いつもシャワーで済ませて、
父のいない時も、何故か入らなかった。
車があったから、健康ランドにもいけたのに・・・
決して、一人では行けなかった。
そうしている内に、湯船からは遠ざかっていったのだった。


あの浴槽には、父を転ばせたり、後頭部を殴打したりさせた
経験があって、それが潜在意識の中に残っていたのだと思う。



このたび、家を変わって、新しくて、広いお風呂を見て、
正直、私は嬉しかった。
洗い場も広いし、浴槽は浅くて、足を延ばせるほど大きいから、
きっと父が入っても、快適だっただろう。


久しぶりに、浴槽にゆっくりを、この身を沈めたら、
数日続いていた頭痛がなくなっていくような気がした・・・。
やっぱり、「疲れ」か、「ストレス」か・・・。
どちらにしても、新品だし、とても快適な湯船だったから、
本当にシアワセだった。

おそらく、私自身は・・・・
6年ぶりぐらいに経験する気持ちよさだったと思う。
やっぱり、浴槽につかるのは、最高だ。



東北の被災している方々にも、足を延ばして、ゆっくりと
浴槽につかってほしいと思ってしまったし・・・
父にも(新居のお風呂に)入ってほしかったなぁ~と、
願いのような気持ちが、心に浮かんできた。
きっと、めいっぱいの笑顔で喜んだだろう・・・と、思う。