Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「プロ市民」人権賞、設立。明日、エントリー締切。

2018-09-18 | Weblog

第1回 「プロ市民」人権賞。

唐突に、新設されたという。

え? え? 「プロ市民」というのはネトウヨが使う、市民運動に携わるリベラル陣営に対する、ひどい蔑称のことでは?

9月1日の、横網町公園での関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式に出たさい、知り合いから渡されたチラシに、ビックリ。

どうやらこれを思いついた人たちは、「プロ市民」のパブリックイメージを逆手にとってみよう、ということらしい。

「プロ市民」という言葉は、そもそもは「地域に根ざし、地域のことに主体的にかかわり責任を果たし続けることを引き受けた人」という意味で、佐賀県鹿島元市長の桑原允彦氏が考え出した造語だというのも、知らなかったよ。

「社会運動をガンバルあなたへ」「たまにはホメあおう」というサブタイトルもついている。

現場のしんどさを、ユーモアで乗り越えようということ。

「福岡地区合同労組の争議解決金の一部」が基金になっているというのも、いいなあ。

受賞者にちなんだオリジナルTシャツも作るという。

詳細は、以下。

 

 

「プロ市民」人権賞がスタートします。
これは労働運動・市民運動で活躍する団体・個人を表彰する賞です。
受賞者には、賞金10万円+副賞オリジナルTシャツ(毎年、受賞者仕様で作成)を贈呈します。「福岡地区合同労組の最近の争議解決金の一部を賞委員会に託していただき、基金のスタート台として動きはじめます。」
 「プロ市民」という言葉は、社会運動をやる人たちを侮蔑的に呼びかたで知られているようです。しかし、そもそもは「地域に根ざし、地域のことに主体的にかかわり責任を果たし続けることを引き受けた人」という意味で、佐賀県鹿島元市長の桑原允彦氏が考え出した造語。この「社会を切り開く、豊かな可能性のことばの復権」と「共同のネットワークを紡ぐことを求めて」を胸にして、名づけました。
 つまり、戦争、原発、差別、弾圧などを押し返すために活動している人を「プロ市民」とあえて呼ぶ事、草の根的に頑張っている方々へスポットライトを当てる事で、社会運動でがんばる人たちへささやかな希望につながれば、という想いから賞を立ち上げます。
 候補者のご推薦、基金へのご支援・ご協力をいただきながら、この小さな賞をみなさんと一緒に大きく育てていけたらと願っています。

(2018年7月 「プロ市民」人権賞・委員会)

https://proshimin.jimdofree.com

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『受取人不明』。「往復書簡形式」の試行。

2018-09-18 | Weblog

制作の田窪桜子と演出の大河内直子の誘いに乗って、赤坂RED/THEATERで『受取人不明 ADDRESS UNKNOWN』千秋楽を観る。

男優二人芝居。

1932年から2年間に交わされた、互いの20数通の手紙によってつづられる。

でも、『Love Letters』じゃないからね。

 ■あらすじ:マックスとマルティンはアメリカで一緒に画廊を経営し成功を収めた親友同士だった。 1932年、ドイツ人のマルティンは家族とともにミュンヘンに帰国。ユダヤ人のマックスはサンフランシスコに残ることになり、ドイツとアメリカにいる2人の手紙のやりとりが始まる。 そのころ、不況にあえぐドイツにはヒットラーが登場。貧困に苦しむドイツに戻った裕福な成功者であるマルティンは、徐々にナチズムに心頭していく。 一方、ドイツで女優活動を行う妹の行方を心配するマックスは……。

と紹介されているとおりなのだが、書簡のやりとりという小説の形態が、これほど生かされる例も珍しいのではないか。しかもその原作の小説は1938年にアメリカの雑誌に掲載されたものだという。第二次世界大戦後の視点ではないのである!

2004年にイギリスのオフ・ロードウエイで初演(脚本=クレスマン・テイラー、フランク・ダンロップ)。以来、各国で上演されているという。

「受取人不明」というタイトルの意味が、二重、三重に突き刺さってくる。

翻訳は小田島翻訳一家の三代目・小田島創志。手紙文体だからすこしかたいが、作品に見合っている。

前半がいささか退屈であることは否めない。しかし。後半三十分弱のたたみ込みの見事さは、「往復書簡」でしかできない構造によって、圧巻である。

作品の主旨が独自の「手法」を編み出すことを求め、観客の予測を乗り越えようとする。日本ではこの流派は、実は常に新たな「実験劇」であることを自らに課す範疇のものだ。じつのところ井上ひさしさんや私もその系譜に属する。「物語派」とは、着地点が違うのだ。

戯曲後半の見事さと、大河内演出によるサウンドデザインのキワキワを狙う繊細と大胆への評価は、たまたま劇場で会った松岡和子さんと、同意見。

大河内直子は、日本人で初めてイギリスのRADAを正式に卒業した。蜷川幸雄門下生でもある。燐光群でも、『CVR』等で演出助手を担当、また、『犀』と『さすらい』を演出している。これから大きく飛躍してゆくことを、感じさせる。



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