五年前、私はテニアンに行った。
テニアンに行く一番手っ取り早くポピュラーな方法は、サイパンからセスナ機で移動することである。
4人乗り。
翼の上に登って、そのまま歩いてキャビンに入る。
ちっちゃな飛行機だから、そりゃ、不安だ。
とはいえ、8キロしか離れていないから、すぐ着く。
……沖縄とは違う、南島の体験である。
この島に、かつて多くの日本人が住んでいた。うち七割は、ウチナーンチュだった。
沖縄とも、奄美とも、ぜんぜん違う、島の姿。
書かねばならなかったことを、今、書こうとしている。
その重さに堪える。この悲惨な世の中を生きねばならない苦しさを自分などよりもっと厳しく正面から引き受けるしかない人たちがいることを思えば、私の仕事にかかってくる荷重など、屁のようなものだ。