ほんとうに戦争はいやだと思う。
サイパン、テニアンに行ったときの記憶は、ときどき甦る。
七割を沖縄出身者が占める人々が、この地で暮らすことを選び、生活し、結局は、日本という名の「本国」の都合による戦争によって、多くが死を余儀なくされ、送還され、その在住の歴史を終わらせた。
もともと島に住んでいた人から収奪したという意見もあるが、主にその地を開墾し、キビを育て、町を作った人たちである。特にテニアンは、彼らが移住するまでの二百年近く、ほぼ無人島だったのだ。
なぜ、ほんとうに戦争はいやだ、という「常識」が、共有されない国になったのか。
「朝鮮戦争」が終結することを歓迎できないのか。
米軍が本国に引き揚げる可能性が増したことを喜ばないのか。
「中国の脅威」などという根拠のない言説で、なぜ、平和な島が、戦争の構えを据え付けられなければならないのか。
東京在住者の多くは気づいてさえいないのだが、自分の住んでいる場所の上空が米軍機の飛行ルートになってしまっていることを、なぜ容認してしまうのか。