Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

フィクションより現実の不条理

2013-01-08 | Weblog
すずきじゅんいち監督『二つの祖国で 日系陸軍情報部』、試写を見逃していたので、やっと映画館で見る。閉館が決まったという銀座シネパトス。ドキュメンタリーとしては異例なテンポの良さで、七十年を越える歴史を現在に繋いでいく。いっけん作り手の意図が見えにくい仕組みになっているが、それだけ登場人物たちの魅力だけで持ってゆけているということであり、現在の日本に立ち返って考えさせられる。日本から最も多く海外に移住したのは沖縄県民だが、その沖縄が地上戦の場所となったという変遷を、あらためて重く受け止める。喜多郎の音楽がツーマッチなのは残念。三部作の他の二本も観なければ。……その後、やっと『希望の国』を観る。作り手の苦労が偲ばれるが、なぜこれほどタイムリーな作品が今ひとつ評判になっていないかという事情について、考えさせられた。せっかく近未来・架空の場所を舞台にしたのに、フィクションとしての構築が乏しく既知の情報を並べたように見えてしまうからか。困難さは察するが。……日本政府が東アジアの「核のごみ」の六ケ所村での再処理受託方針を打ち出し、核燃料再処理工場の延命を構想しているという。現実は不条理の領域に入ってきている。……米海兵隊が沖縄やんばるの北部訓練場に設置している、世界で唯一の「ジャングル戦闘訓練センター」を、新たに米本土近くに建設することが検討されているという。全世界の陸・海・空部隊が集まり、効果的な統合運用するのを演習面で支える施設。どうしてこれが「沖縄から米本土に移す」という話にならないのか。二つに増やすことによって、沖縄では国際合同演習や在沖海兵隊の訓練に特化しようということか。こんなにボロボロなのに防衛費だけは上げるという日本とは違って、米本土設置は経費削減に繋がるからということらしい。
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