Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「劇王」という祝祭の、成熟

2013-02-12 | Weblog
「劇王 天下統一大会」終了。私も推した九州代表の福田修志さんの作品が、観客票第一位。十回目を記念してのチャンピオン「劇天」には、柴幸男さん。彼には、書家・林桂翠氏による掛け軸が贈られる。記されているのは、「劇王は 激発し 激情し 激突し 激怒し 激笑する」という、別役実さんによる言葉。平塚直隆さん、鹿目由紀さん(劇帝)も、作品を練り上げてきた。今日の審査員・作家の諏訪哲史さんの「暴走」も、ご本人も、面白かった。佃典彦さん(写真は彼が司会者「戦国くん」を勤める姿)、はせひろいちさんら東海支部の皆さんの尽力による、大成功。今後も続けば、長久手は、素晴らしい祭りの場所として全国に名を轟かせるだろう。審査員の私も、わかぎえふさんにも煽られ(?)、なるべく面白く話すよう心がけた。終了し、すぐの帰京。あっという間に東京の人になる。
http://www.jpwa.org/main/content/view/148/
第四回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでは、コンペティション部門入賞作品の中から、三上智恵監督『標的の村~国に訴えられた東村・高江の住民たち~』が大賞を受賞。お祝いにはうかがえなかったが、三上さん、ほんとうにおめでとう。……しかし昨日、沖縄・うるま市では、「自宅で酒を飲み、出勤する途中だった」という酒気帯び運転の四十一歳の米兵(嘉手納基地所属)が、玉突き事故を起こし、逮捕。酒気帯び運転の基準値の約7倍のアルコール量が検出されたという。ふだんから酔っぱらって武器を扱っているのか?
祝祭が終わり、厳しい現実が、ひしひしと迫る。
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包囲された「個人」

2013-02-11 | Weblog
「劇王X」二日目。審査員なので内容には触れられない。……一緒に審査員をしている安住恭子さんは、『『草枕』の那美と辛亥革命』で、第25回和辻哲郎文化賞を受賞したばかり。映画、演劇、文学と、異なる部門で書いた本がそれぞれ認められているということだ。日替わり審査員は、今日は、名古屋で若松孝二さんが始めたという映画館・シネマスコーレの支配人・木全氏。……遠隔操作ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が書き込まれた事件で、東京都江東区の三十歳の男が、威力業務妨害容疑で逮捕された。犯人を名乗る人物が報道機関などに送った情報は、江の島で犯行声明を書き込んだ記憶媒体のマイクロSDカードを猫の首輪に取り付けたというものだった。回収したカードには「事件に巻き込まれたせいで無実にもかかわらず人生の軌道修正をさせられた」とする文書、ウイルスとみられるデータなどが入っていたという。逮捕のきっかけは江の島内の防犯カメラの映像らしい。捜査関係者によると、島内の防犯カメラ映像から猫に近づく複数の人物を特定し、この男が首輪を取り付けるのを確認したそうだ。男は七年前にも別のサイバー事件で逮捕されたことがあり、あっさり照合されてしまったわけだ。愉快犯で目立ちたがりであり、じっとしていらなくなって、ぼろが出た感じだ。猫の首輪にメッセージをつけるという方法は意表を突かれるが、彼は猫カフェにも出入りしていたというので、よほど猫が好きだったのだろう。それにしても、江の島内の防犯カメラはおそらく数も多く、充実しているのだな。記録データも保存されていたわけだ。というか、この国がほんとうに、一歩外を出れば、どこにカメラがあるかわからない、「監視社会」になってしまっているのだということを、強く感じた。もはや路上で迂闊なことはできないのだ。ツイッター等の情報ツールで、隠しておきたいことも暴露される場合があるし、誰かがその気になれば、ある人物の行動は、いくつもの情報によって推定され、組み立てられることになる。「個人」は、完全に包囲されている。
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自分がどこにいても世界は動いている

2013-02-10 | Weblog
はい。「劇王X」の審査員で名古屋、というか長久手に来ています。向かう新幹線で仕事しようと思ったら隣に乗り合わせたスーツ姿のどうやら名古屋国際会議場に向かうらしいスーツ姿の女子二人が身振り手振り付きでわあわあうるさく仕事にならない。……藤が丘からはリニアモーターカーに乗る。動き始めた時にはこれがリニアだということを忘れていた。……劇作家協会東海支部の皆さん大集合。みんなが審査員としてお客扱いしてくれるのがなんだか照れくさい。わかぎえふ姐さんも審査員なので楽しい。同じく審査員のCBC小堀勝啓アナウンサー、素敵な人でした。いろいろ段取りが失敗して混乱すると実況中継をしてくださるのです。一日目の審査は無事終了(写真)。審査の他に北村想さんの総講評があり、どうやらわしら審査員も批評されるのだが、とりあえず「今年の審査員は過去最高によろしい」と言われたので安堵する。三度目の結婚を公表したばかりの想さん、お元気そうで明るい。……自公政権の復活により、八ッ場ダムの本体工事の着工が現実味を帯びてきているらしいと連絡あり。国交省が前のめりでダム推進に動いており、本体工事をなんとか阻止しなければと動いている方々がいる。急がなければ時間がない。……琉球新報によると、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、沖縄を除く46都道府県議会に関連意見書の提案状況を見ると、昨年、意見書が提案された計15府県議会のうち、可決されたのは5県議会のみで、そのほとんどが飛行訓練の地元への影響に懸念を示す内容だった。一方で、配備そのものへの反対や撤回を盛り込んだ意見書は9府県議会で提案されたが、可決した都道府県議会が一つもないという。「温度差」と呼ぶには生ぬるいほどの深い断絶、確かにその通りだ。多くが「国防上の観点」を理由に掲げるが、かと言ってオスプレイを誘致する県はない。昨年11月の九州市長会では、鹿児島県志布志市の本田修一市長が「決議すれば沖縄以外の県に持ってきていいということになる」と述べ、配備撤回決議を葬り去ったことがあるという。彼らは海兵隊を本土に置いても機能に変化はないことを認めようとしない。海兵隊は本当に日本に必要なのかこそ論議されなければならないのに、その米海兵隊エイモス総司令官は、沖縄を拠点とする部隊配備計画(UDP)を今夏から拡大する方針を明らかにし、夏には普天間飛行場にMV22オスプレイをさらに12機配備するばかりでなく、沖縄の海兵隊員数を増大させ、一時、最大二万人に達する予定という。過去数年の紆余曲折、一度は一万人以下にすることで落ち着いたこともあったのに、この不条理な増大は、あきらかに日本政府の失政のためだ。責任を取らないこの国の政治、ヤマトの無関心は、どうにもならない。……福島で放射能が増加傾向。政府発表の「定時降下物環境放射能測定結果(暫定値)(第406報)」によると、2月2日にセシウム137を21.4MBq/km2観測し、その後も3日連続でセシウムの降下を観測。福島第一原発2号機の圧力容器温度は上昇速度が早まっている。何か関連性があるのだろう。危険な事態が迫っているということなのか。……ブレヒトの翻訳で知られる岩淵達治さんが亡くなられた。お名前のみ存じ上げていた頃は、あのようなキャラクターの方とは知らず、人はやはりお会いしてみなければわからないということを思った。ブレヒトを全部訳してみようというバイタリティ、実践する力で、演劇人はまず自由でなければならないと後輩たちに身をもって示してくださった。ご冥福をお祈りします。
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こんな一日

2013-02-09 | Weblog
午前から劇作家協会の理事会、代議員総会。そして四方山話に脱線しかけるのを戻しながらの諸問題の検討。三時間。私の会長任期もあと一年。……キャスティングを決め、台本の調整をし、やっと稽古場へ。……稽古後、再来年の仕事のため急遽動く。新しい出会いに感謝しつつ、自分に何ができるかを考える。……息子は試験も終わり、あと一本レポートを書けば今期の勉強は一段落。宿題のない長い春休みが待っている。羨ましいような気もするが、部活とバイトで忙しすぎると本人は思っているようだ。……一瞬テレビを付けると釈由美子さんが出ている。「英語で喋らナイト」の収録でシドニーに来て、私が演劇科の最終年度の公演の演出をしていたNIDA(オーストラリア国立演劇大学)の稽古場を訪ねてきたことを思い出す。生徒の二人とクジー・ビーチでアイス嘗めながらの収録などもしていた。ずいぶん昔の気がする。あの頃のオーストラリア滞在体験が、今回の劇『カウラの班長会議』の発端である。学生たちはどうしているかな。レバノン系の制作志望だった女子の一人はニューヨークのメジャーな制作会社に就職している。マンハッタンの路上で偶然会ったのが最後。ニューヨークではこの週末、オリザがロボット演劇をしているし、燐光群の清水弥生は留学生活一ヶ月を超えた。久しぶりに行ってみたい気がしてくる。……沖縄関係の論客たちの間で論争が起きている。ヤマトの人間が口を挟む場合の難しさもある。私なりの分脈で応援したいが、とことん丁寧に論ずるには余裕がない。ただ、沖縄にまつわる諸問題を論じるに当たっては、本人がヤマトの人間であるにもかかわらず、ヤマトの人に教えてあげましょう、というスタンスは、おかしいと思う。借り物の、ヘソのない論理では、語りたくない。内在化した意識が必要なのだと思う。

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連鎖する現実

2013-02-08 | Weblog
米軍普天間飛行場から離陸したオスプレイが、滑走路南西側の基地外の宜野湾市民間地に個人用「ウオーターボトル」(飲料水ボトル)を落下させた。人口密集地である。私が沖縄に行くとき、知人宅と知人の仕事場の間で、いつも通るところだ。住民への被害は確認されていないが、同ボトルは見つかっていない。北朝鮮のロケットが核兵器を載せるかもなどと言って大騒ぎする人たちよ。この落下ボトルが別なモノだったら、ヘンなモノを載せていたら、そして人間に命中したらどうするのだ。指摘すべきは「もしも」のリスクでも「運良く」の回避でもなく、「想定される危機」そのもの。それが既に「現実」なのだ。「支配」する側にいる者の罪と欺瞞は、そこにもう存在している。……アメリカが安倍や自民党政権の極右ぶりを叩いてくださるのはおおいにけっこう、自国民がやりきれないのだから、ありがたいことである。アメリカは、その公正なる精神を持って、イスラエルによるパレスチナへの入植地拡大も、明確な人権侵害として、批判してほしい。「無条件で入植活動を停止し、全入植者の引き揚げを直ちに始めるべきだ」と、国連人権理事会・独立調査団のみんなも言っているよ。……そのアメリカのロッキード・マーチン社製最新鋭ステルス戦闘機F35Aライトニング2の航空自衛隊への導入計画にさいして、日本政府は、日本企業が製造に参加した場合、紛争当事国などへの兵器輸出を禁じた「武器輸出三原則」の例外として認める方針を、固めた。憲法違反一丁上がり! F35の導入予定国にはイスラエルが含まれる。なるほど、仲良しでいてほしいアメリカと、罪を分かち合おうというのだな。近く官房長官談話の形で「国際紛争の助長回避という原則には抵触しない」と発表するそうだ。って、どの口が言うのか。日本のごまかし体質はとっくに世界にバレバレなのである。……元米国務省日本部長のケビン・メアは、中国海軍艦艇による海上自衛隊艦艇への火器管制レーダー照射について、「米軍であれば、(自らへの)攻撃と判断して反撃する」と述べ、「(中国は)尖閣諸島だけでなく琉球諸島も狙っている。アブナイ中国の脅威にどう対処するか、日本は決断しなければならない」とけしかけた。イージス艦を増やし、米国からF35をもっといっぱい買え、というのだ。……「ウオーターボトル」だけじゃない。アメリカが日本に撒き散らしているモノは。そしてそれを容認する日本の不甲斐なさ、不正義は、この国が未来への、全世界への、「責任」を果たしていない、今後果たす用意もない、ということを如実に示している。
……一昨日はほぼ眠らずボケ顔で稽古前に雑誌の取材、写真撮影もあったのに。稽古。終えて美術打合せで、あたふた。新宿の喫茶店では島次郎さんに久しぶりにお会いして、仕事の話はさくさくと進む。ありがたい。島さんがお元気で嬉しい。島さんも作品も読売演劇大賞で最優秀をとった文学座アトリエ公演『ナシャクラサ』の話になる。スタッフ・キャストの挑戦は評価されて然るべき優れた成果だったが、そこに描かれた「戦争」と「歴史」を、私たちはどのような立場で受け止めるのか。「鑑賞」するのではなく、自分自身にどのように還元するか。そういう意味では、難しいテクスト。……帰宅し、3時間半、久しぶりに蒲団で寝て、甦る。また朝。机に向かう。そしてまた稽古場へ。帰ってきて、ぐったり。頭がぐるぐるする。
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「隠す」「隠さない」の、自由と義務

2013-02-07 | Weblog
日本オリンピック委員会(JOC)理事で、選手の聞き取り調査をするため設置した「緊急調査対策プロジェクト」のメンバーでもある自民党・橋本聖子参院政審会長は、「柔道女子日本代表での暴力問題を告発した選手15人の名前は公表されるべきだ」と言う。「長年のいろいろな問題を訴えることには非常に大きな責任がある。選手一人一人が理解しなければいけない」「プライバシーを守ってもらいながらヒアリングをしてもらいたいというのは、決していいことでない」「あまりにも選手のプライバシーを守ろうとする観点から、15人の選手が表に出ていないことをどう判断するか。非常に大きな問題だ」そうだ。これまで周囲の関係者たちが勇気ある15人の選手たちを守ってきたことを、すっかり反故にしようというのだ。自分が蚊帳の外で進められたことを怒っているのか? 告発した選手に「責任がある」という言い方は、今後こうした告発が不可能になるようにしたいということであり、「プライバシーを守ってもらいながら」という言い方は、プライバシーと人権への軽視の意識を、自らあからさまにして見せたわけだ。人間は、本人が見せたくない、隠しておきたいことを、隠す権利はあるのだ。隠さなければ言えないことだってある。証言を聞いた人々は専門の直接の関係者たちなのだから、彼女たちも虚偽の申し立てはできないだろう。橋本会長の指摘は、選手だけを否定しているのではない。弱い立場の者を守ろうとする、一連の人々の動きじたいを、否定しているのだ。彼女たちを守っている人たちは、暴力を奮った人たちをも丁寧に扱い、公表時期の遅れによる多くのマイナスに目を瞑り、だからこそこれだけ公表が遅れたのだろう。橋本会長が「責任があるのに告発者の名前が公開されていない」と、まるで何らかの不公正が行われているように考えるなら、被害者の正当性を実証するために、暴力事件の細かいディティールをも公表しなければならないし、告発された者がどれだけ格別に問題があるかを証明するために、告発されるかどうかギリギリのグレーゾーンの人達はとくに欠かせないが、それが「軽微」であろうとなかろうと、俎上に上がった「暴力」実行者全員の実名と行為の詳細をも、公表しなければならないだろう。橋本会長は、「告発されなかった人達のことは隠した方がいい」と言うだろうか。しかし、告発した彼女たちにも罪はないのだから、被害者である彼女たちの身上だけを明らかにしろというのは、不公平である。彼女たちの名前が公表されても仕方がないというなら、暴力を振るったが告発されなかった者たち全員の名前も公表されていいはずだ。そうでなければバランスがとれない。そして、万が一には名前を明らかにされるかもしれないということに怯えなければならないという不安を彼女たちに生じさせた、橋本会長のこのような歪んだ受け止め方じたいが、被害者である彼女たちの心を再度傷つける、二次的なハラスメントになることは、明らかである。彼女たちの勇気を評価し、謙虚に受け止めることこそ、橋本会長も含めた「先輩たち」の義務だろう。……島根県奥出雲町で昨年夏から公園などに設置された大理石製の彫刻・ダビデ像とビーナス像。台座部分を除いた高さ約5メートルのダビデは、性器を露出させている姿。この巨大な裸像が、目にした町民らにより、「子どもが怖がる」「威圧感がある」「教育上ふさわしくない」「『見たくない』『気持ち悪い』という声がある」と、苦情を申し立てられているという。中には、「(ダビデに)下着をはかせて」などの声があるという。ダビデ本人は、見せたくない、隠しておきたいとは思っていなさそうなので、これは、見る側の問題である。私はダビデ本人に発言権があったら、きっと、「下着をはいた姿を人に見られるのが恥ずかしい」と言うと思うのだが、どうなのだろう。隠さなければならないモノをぶらさげている、と言われたら、それは彼に対する侮辱であろう。……沖縄・高江、N4地区で、オスプレイも使用するであろう新ヘリパッド建設が進んでいる。土砂崩れがあっても、薄靄に包まれた視界の悪い日も、土曜日も、工事を強行しているようだ。そしてその作業の様子は、大慌てで設置された長大なブルーシートの目隠し幕で遮られていて、民間人が立ち入られる場所からは、ヘリパッド建設の様子を見ることができないという。これはどう考えても、見せることが恥ずかしいから、隠しているのである。後ろめたいから隠蔽しているのである。他に隠す理由があったら教えてほしい。3月からのノグチゲラ繁殖期を前に、2月中に工事を終了させようという魂胆で、なりふり構わず作業している様子を見せることが、公明正大であるとは言えないと、当事者たち自身が思っているのだ。
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十年目の「劇王」

2013-02-06 | Weblog
劇作家協会 東海支部プロデュース「劇王X ~天下統一大会」が開催される。(長久手市文化の家 風のホール 2013年2月9日(土)・10日(日)・11日(月・祝))。上演時間20分、役者3名以内、数分で舞台転換可能という制約のもとで上演される、短編演劇連続上演イベント。観客とゲスト審査員の投票により優勝者は決定される。これは劇作家協会東海支部の佃典彦元支部長発案によるイベントで、ついに来年、10年目を迎える。東海支部が、長久手市文化の家」とともに継続してきた、短編劇の大会。「劇作家大会」をしばらく行っていない劇作家協会としては、それに代わる大イベントであるといえる。佃氏手作りのチャンピオンベルトが贈られる以外は何のメリットもない、劇作家の名誉のみを賭けた壮大な闘い、ということである。2012年の夏~秋にかけて、全国各地で予選が行われ、すべての代表が決定。いよいよ本選を迎えるというわけだ。佃氏の言うように、ここからイキのいい演劇人が次々に出てきた。歴代チャンピオンと全国から勝ち抜いてきた代表が競い合う、この十年の集大成である。……というわけで、いよいよ今週末に迫った。東海地区の方、お見逃しなく。このイベントの楽しさを知っている全国の劇作家からも、「一日だけでも顔を出そうかな」という声。ほんとうに、最近まれにみる、未来を占う、演劇人の交流の場となるであろう。
http://gekiou.chobi.net/gekiou10/Tenka_Top.html
http://www.city.nagakute.lg.jp/bunka/bunka/bunka/jisyu-schedule/2012jisyu/gekiou10.html
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一頭とみんながお互いを救う

2013-02-05 | Weblog
ネガティブでないニュースは久しぶり。……オーストラリア南部沿岸の都市オールバニ(Albany)近くのホエラーズコーブ(Whalers Cove)の浅瀬に、100~150頭ほどのイルカの群れが迷い込んでいるのが発見されたという。イルカ・クジラ類によく起きる、「集団座礁」であろう。2日の時点ですでに1頭が死んでおり、このままでは多くの命が失われる恐れがあった。西オーストラリア州の環境保護局(Department of Environment and Conservation、DEC)の野生動物専門家たちは、2日の満潮時、群れの中の1頭の若いイルカをボートで水深のある場所に移動させた。その若いイルカは、その水深のある(つまり安全な、座礁を逃れられる)場所に移されるとすぐに、群れの仲間たちに助けを求める信号を発信した。その信号に導かれて、若いイルカの後を追った他のイルカの群れは浅瀬を抜け出し、やがてすべてのイルカが外海に泳ぎ去ったという。……安全な場所に逃がした一頭のイルカに誘導させ、群れの全てを救出するのに成功したという例は、過去にあるのかどうか知らないが、卓越したアイデアである。人間の側から言えば「一頭の若いイルカがみんなを救った」ことになるのかもしれないが、「みんながその一頭を救おうとして」自然に起きた結果とも、イルカたち自身はとらえているのかもしれない。読みきれないところはある。……こういうことは、全てのケースでうまくいくとは限らない。ただ、このイルカたちの集団は、互いに深い信頼と絆によって結ばれていたのだろう。見習いたいし、そうした「和」の力に、ぜひともあやかりたいものだ。……たとえばこの日本という国の、あるいは世界の、蔓延する蒙昧に対し、誰か一人でも正しく自由な天地を見出せば、それですべての人々が救われる可能性が拓かれるというようなことが、現実に起きればいいのだが。それは「その一人をみんなが助ける」という気持ちがあってこそ実現できることだと考えられる。誰か目立つ人、突出した人、ほかの人と違うことを言ったりしたりする人を、どちらかというと排除する傾向が日本社会にはある。それでは逆なのだ。……しかしまあ今は目の前のこと。時間がいくらあっても足りない。
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工事をどのように終わらせるか

2013-02-04 | Weblog
稽古休み。カウラのことだけを考えて一日を過ごす。……小田急線地下化に伴う諸問題はなかなか解決しないが、現在、地表線を走っている代々木上原から梅ヶ丘間の区間が3月22日限りで廃止され、3月23日から東北沢、下北沢、世田谷代田3駅は地下化される。9箇所の踏切が廃止される。悪評高き小田急線の「開かずの踏切」とは、ついに、さようならなのだ。下北沢という街の風景もまるっきり変わるだろう。しかしその「あと地」の利用についてのさまざまな決定が、いよいよこれからなのである。線路が潜ったからといって、周辺については完全な決定が出ているわけではなく、全てが終わったわけではない。道路の件も含めて、建て替えしなければならないと言われていたスズナリがどうなるかもだが、これからが正念場だろう。……井の頭線と小田急線の接続がどうなるのかも、気になる。たとえば、渋谷駅の再開発で今までアクセスの良かった井の頭線と地下鉄銀座線が、うんと離れてしまうのだ。同様のことでなければいいのだが。……沖縄・やんばる東村高江で建設中のヘリパッド工事現場で土砂崩れが発生している。年末年始の豪雨が理由だという。そもそも地盤の危ないところにいい加減にヘリパッドを造ろうとしていたということなのである。今回の崩落は無障害物帯というヘリパッドの本体部分で起こっており、〈ヘリパッド移設工事区域に入っていない〉という沖縄防衛局の説明は虚偽である。無障害物帯は「周辺部にあたる緩衝帯」ではない。ヘリパッドの南東側が急斜面になっていて、工事現場が谷間に面しており、斜面は元々は森だった所で、樹木を伐採して工事が行われている。たいへんな自然破壊だ。地盤が軟弱であることは、はっきりした。オスプレイやCH53Eヘリがこれから離着陸を重ねれば、土砂崩れどころか連鎖的な大事故の可能性もある。東村は村を挙げてオスプレイ配備撤回を訴え、役場にはその幟もあがってはいる。しかしそれなら、「北部演習場の過半の返還のために、ヘリパッド工事については容認の立場に変わりはない」という現在の判断を覆し、オスプレイの離発着帯に使われるのが明白なヘリパッドの工事にも、絶対に反対してほしい。東村の伊集村長は、先日の東京行動の盛り上がりに感じるところがあったというし、「村としても立入調査をしたい」と防衛局に連絡を入れているという。地元での粘り強い働きかけはもちろん、ゆんたく高江の皆さんの直接の働き掛けも功を奏したのかもしれない。あと一歩踏み出してほしいと思う。こちらは工事が「終わる」のではなく、正確には「やめる」でなければならないのだ。
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殺伐と鈍感

2013-02-03 | Weblog
福島第一原発4号機の燃料プールが崩壊したというデマが飛んでいる。NHKにそういうテロップが流れたという。さすがにデマだろう。しかし都市伝説というわけじゃない。明日にも起きうる話だ。……東京電力が、福一の高濃度汚染処理水の海洋放出を検討している。敷地内の貯水タンク増設に限界がみえてきたためという。ほとんどの種類の放射性物質を法定濃度未満になるまで除去するというが、すでに魚類から暫定規制値を超えるセシウムが検出されている例が多々ある。この上の汚染拡大では操業不可能となるであろう地元漁協は強く反発。いや、ほぼ全世界が反対しているというべきだろう。……岐阜県土岐市で文科省所管の研究機関「核融合科学研究所」が重水素実験を計画。土岐市には、隣接する瑞浪市に誘致された原研の超深地層研究所とともに岐阜県の研究学園都市構想の一環で名古屋大学から研究施設が移転、98年から大型ヘリカル装置という最先端設備による実験が始まっていた。たった二年前の震災・原発事故の記憶は風化してしまったというのか。とんでもない。私は瑞浪にしか行ったことはないが、あの辺りの非現実感は、科学やSFのそれではなかった。……2月に予定の日米首脳会談に向けた事前調整で、米側から、日本の求める集団的自衛権行使容認へのオバマ米大統領の支持表明は「中国を刺激する懸念がある」として、難色を示されていると伝わる。もう、勝負ありである。こういう報道が出てしまうことじたいが、日本がアメリカに依存し属国意識でいて、アメリカがそれを当然と思っているということである。大統領の支持を得て、同盟強化を内外にアピールしたかった安倍自民党の、集団的自衛権行使を可能とすることも含めた「憲法見直し」は、頓挫した。……こうして、アメリカの「慰安婦への謝罪要求」決議も含め、安倍が自ら推進してきた方向性はアメリカの判断でほぼ頓挫。そうなってもらうことはいいが、どうせ責任は取らないだろう。結局この国はアメリカの采配で進んでいる。安倍は沖縄県知事とホテルで会議、「演習はなるべく県外でさせますから」とか間抜けなことを言っていたようだが、辺野古移設問題、こればかりはアメリカとのお約束通りということには、させるわけにはいかない。……日中かなりうんざりする出来事もあった日だが、帰宅すると、中園ミホさんから「カウラ事件」関係の貴重な資料が届いていた。すばらしく、気持ちの動かされる内容。すっかり気が晴れる。心より感謝。
中園さん脚本のドラマ『あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった~カウラ捕虜収容所からの大脱走~』HPは、以下の通り。
http://www.ntv.co.jp/cowra/index.html
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精華小劇場の跡地が売られてしまった

2013-02-02 | Weblog
「藤山寛美さんの出身校の跡地を売却」、というから何かと思ったら、大阪市中央区・旧市立精華小学校の跡地、つまり我々にゆかりの深い「精華小劇場」だった場所が、民間の不動産業者に約35億9000万円で売却されたというのだ。業者は、校舎を解体撤去し、ホテル、飲食店やテナントの入る商業施設を2016年度にオープンする計画という。売却方針を決めた市教委が、昨年12月にプロポーザル(企画提案)方式の公募入札を実施。売却予定価格2,532,900,000円に対し、提案価格は3,588,800,000円、最低価格を10億円以上上回る額を提示し落札した不動産業者は、株式会社「成信(せいしん)」。業者側が建設する商業施設には、校舎の意匠を一部取り入れるほか、石づくりの学校看板などを保存するという。売却されたのは、敷地面積約4,547.72平方メートルのうち、北側約330平方メートルを除いた約4,217.22平方メートル。この330平方メートルの大阪市有地については、地元住民にコミュニティ施設用地として貸付けられる予定という。応募申込件数はわずかに5件、優秀事業者=計画提案審査通過者は2件。じつは、公募しても集まりが悪いという話は聞いていた。百億以下はあり得ないという話だったのが、およそ36億。どうも安すぎるし、いい加減な感じがする、という意見が出ている。新しい施設に劇場ができるとは思えない。公立の場所を市民が手づくりで担う、「精華小劇場」はそういう場所として始動していた。手づくりの活動ができる場所がどんどん失われて行く。大阪は、どんどんそういう町になってきている。日本全体がそうか? 劇場法がどうのこうのという前に、なぜ生まれようとした芽を摘んだのか? ……写真は、かつて私たちが精華小劇場で上演した、『BUG』。……帰宅してから書類一つと原稿二つ。時間がない。
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前向きになれるニュースがない

2013-02-01 | Weblog
柔道女子日本代表の暴力問題で全日本柔道連盟から戒告処分を受けた園田隆二監督が「これ以上、強化に携わっていくことはできない」と辞任表明。「私自身の一方的な信頼関係だった」という。双方向の意味で悲しい言葉だ。相手に信頼されなかったと思えば彼も苦しいだろう。しかしそれがストーカーの呪詛のように響いてしまう。暴力+パワハラとまとめているが、実際の暴力は事実としての行為だから、弁明は不可能だ。連盟は「若い選手たちの将来を考え表に出さない方がいいと思った」と、公表しなかった理由を、あくまで「選手のため」としている。今後の国際大会への選出を考えたからだというが、五輪招致を焦るJOC側との「火消し」の約束もあるのだろう。ザッケローニ監督に言われるまでもなく、アスリートを成長させ育てていくために、暴力は必要ない。女子選手たちがおそれず申立てをしたことは、評価できる。それが意識の自立に繋がるなら、大切なことだ。一方、監督を庇う声も聞こえてくる。ただ、ほんとうに選手と園田監督の間にコミュニケーションが取れる可能性が一縷でも残っていなかったのなら、一年前の合宿でのことをここまで引き摺る必要はない。互いに「引けなくなった」ということかもしれないが、監督一人に背負わせることでないなら、早々にまわりが何とかすべきだったのではないか。遅い対応と、オープンでないことが、いけない。……今回は暴力が介入しているから疑問の余地はないだろうが、ただ、「パワハラ」のみのケースは検証が難しい気がする。もちろんじっさいに悪質なものはあるだろうから、問題が生じれば公にされるという慣例を作るべきだ。「被害者」による親告罪の範疇にも入ってくるゆえに、矛盾が大きいのだ。希なことだろうが、自分本位の「被害者」が指導者を「加害者」に仕立て上げる例も、ないとはいえない。逆に、理不尽な自称「被害者」を、それでも守ろうとして、結果として実は罪のない指導者が「加害者」として激しく傷つけられることも、ありうるからだ。……一連の「過剰な指導」についての話題で、自分に甘い「被害者」が自らを省みることなく、たんに「厳しくされることを逃れることができる」という空気になるのは、いいことではないだろう。相手が聞く耳を持たないだろうと推察したときに、指導者が丁寧な指導さえ「避ける」ことになってしまうだろうからだ。……体罰に反対する体罰経験者でさえ「それでも過去の体罰で打たれ強くなったのは確かだ」と言ったりする。私より若い世代にも意外と体罰肯定論者が多いことにも驚かされる。だが、まずは、法律で禁じられているのだから駄目だ、でいい。「体罰」という「終点」がなければ、悪質な「パワハラ」も、自然と減る。……過去に体罰推進派の石原慎太郎、櫻井よしこらが企画した体罰に関するシンポジウムでは、「子供のための体罰は教育」と謳われている。「罰は子供を強くするため、進歩させるために行われます」「「叱るよりほめろ」では子供は強くなることができません」「人間は強い分だけ優しくなります。いかに多くの罰を受けたかが優しさを決めます」「人のことを思いやる力をつけるには、体罰は最も有効です」。これが本当に、告知文に記されているのである。体罰に反対することは、こういう狂気に抗することでもある。……AKB48メンバーの一人の女子が、丸刈りにした頭で登場し、異性関係について涙ながらに謝罪するという映像がYouTubeのAKB48の公式チャンネルに掲載されているという。これは無視すべきだ。なぜか体罰問題や上記の柔道女子日本代表の件と比較する人もいるが、関係なさ過ぎる。……その他、いやになるような記事ばかりだ。日本はヘンだ。前向きになれるような記事が、何一つない。だが、無視できない。安倍首相が衆院本会議で、かつての河野洋平官房長官が旧日本軍による従軍慰安婦の強制連行を事実上認めた「河野談話」について「首相である私がこれ以上申し上げるのは控え、官房長官による対応が適当だ」と述べた。官房長官発言については官房長官がコメントするのが筋だ、と本気で言っているのだったら、愚かである。自民党は衆院選の政権公約で「歴史的事実に反する不当な主張が公然となされ、わが国の名誉が著しく損なわれている。的確に反論・反証する」とし、明確に河野談話見直し論を唱えている。明らかに逃げようとしているのだ。その菅義偉官房長官は河野談話について「学術的観点からさらなる検討が重ねられることが望ましいというのが内閣の考え方だ」というが、「学術的」というコトバがこれほどむなしく響くことも珍しい。首相は「従軍慰安婦問題」について「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛む。政治、外交問題化させるべきではない」というが、どの口が言うのか。29日にニューヨーク州上院で日本政府の謝罪を求める「日本軍慰安婦決議案」が満場一致で通過したばかりのこの時期に訪米を控え、ビビり始めただけだろう。昨年11月にはニュージャージー州のローカル紙「スターレジャー」に慰安婦の存在を否定する広告が掲載された。首相も一枚噛んでいる。それをアメリカの人たちもみんな知っている。渡米すればさぞ手厚い歓迎を受けるだろう。「新たな首相談話」を検討する方針というが、本気で何か言うことがあるのか? ……日本社会は自らの「人格形成」をどこで間違えたか。やはり問題は依存心の強さだ。過去に依存し、強者に依存し、社会の無関心にさえ依存している。「自立」という言葉の意味がわかっていないのかもしれない。……唯一心が落ち着いたニュースは、映画監督の土井敏邦さんがかねてからの予告通り、沖縄・高江で、パレスチナ映画『壊された5つのカメラ』を上映したという報せだ。土井さんは国家の横暴に住民が非暴力で闘う姿が、パレスチナ人と沖縄の住民に共通するという認識で、「高江の住民をこの映画で励ましてほしい」という森住卓氏の要請に応えての上映だったという。……安倍首相は普天間基地の辺野古移設に関して「沖縄の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しつつ移設を進める」と発言している。論理も何もない。2月2日の沖縄訪問で「沖縄の皆さんには説明した」ということにしたいだけだろう。「渡米の手みやげ」を作ろうとする考えが見え見えだ。「辺野古移設」を自分の「慰安婦問題」の失点を補うカードに使うつもりだ。なんという自分本位だ。決して許してはならない。
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