昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

春の雪

2019-02-06 16:15:07 | 俳句

昔、壜をモチーフに執拗に描き続ける日本の画家がいた。
そんなに有名な画家ではない。
しかしマイナーではない。
昔と言っても50年足らずだが、美術手帖にグラビアと活版の特集が掲載されていた。
一升瓶を特に気に入って、描いていた。
一升瓶は「チンポコ」と、その画家は言う。
成程、そんな興味や関心が画家の創作意欲を掻き立てるのかと、絵心の無いオカブは思った。
抽象でもない、具象でもない、ただただ壜をモデルにした淡いマティエールの作品群になぜか惹かれた。
それが証拠に、掲載誌もとうの昔にどこかに処分した今でも鮮明に覚えていて、その画家のことが忘れられない。
名前も覚えていないが、気に入っている。
「名画」でなくとも「名画」は身近にたくさんある。
今度、銀座の画廊にでも行ってみようかと思っている。

春の雪傘なく衣装に降りにけり   素閑

淡雪や百万遍の石ぼとけ   素閑

春の雪くりやにやかん湧きにけり   素閑

春の雪まつげを濡らす水しずく   素閑

春の雪小路まじわる下谷かな   素閑

西のかたわずか光るや春の雪   素閑

観劇の足袋を濡らすや春の雪   素閑

春の雪蔵と母屋に積もりけり   素閑

初梅の花びら包む春の雪   素閑

春の雪昼の語らひ散じたり   素閑

病室の窓も暮れるか春の雪   素閑

春の雪生きて降り落ち消えにけり   素閑


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