映画が見たくなった。
でも、公開中の作品に魅力を感じるものはない。だったら、以前、見損ねた映画のDVDをレンタルしたほうがいい。
劇場まで出かけることが好きな私にしては、珍しい選択である。娘に付き合うことはあっても、自分のためにレンタルするのは何年ぶりだろう。
昨日の夕方、日が傾いてから、散歩がてらお店に出掛けることにした。
時計は17時を回っていたが、薄日が差している。これから夏至に向かい、ますます日が長くなっていく。
歩道を歩いていたら、向かい側から初老の男性2人が、大きな声でどうでもいいことを話している。騒々しさに顔をしかめてすれ違ったとき、頬に水滴が飛んできた。
まさか、今のオヤジの唾!?
私は卒倒しそうになりながら振り返った。しかし、オヤジたちが遠ざかってからも、新たな水滴が落ちてくるではないか。
雨だ……。
空を見上げると、晴れているのに細かい雨粒が、次から次へと糸のように降っている。男性2人に着せた濡れ衣を、心の中で詫びながら、私はレンタル店へと急いだ。夕方でなければ日傘を持っていたのに、なんと間の悪いことよ。まさか、ネズミの嫁入り、いや、キツネの嫁入りと言われる天気雨に見舞われるとは思わなかった。珍しいことをするものではない。
店に着いてホッとした。天気雨なら、DVDを選ぶ間にやむだろう。私は棚の作品とにらめっこし、「どれにしようかな」と作品選びを始めた。
好みは洋画だ。ちょっと疲れ気味なので、重い話はパスしたい。頭を使わない、軽~いものがいい。
レストランでオーダーに迷う人は、ここでも即決できないに違いないが、私はほとんど悩まない。直感で決める。以前、マイミクさんが勧めていた『ハイスクールミュージカル・ザ・ムービー』を見つけ、パッと手に取った。これにしよう。
しかし、あまりにあっけなく決めたので、まだ雨が降っていそうだ。「もう1本」と心の声が聞こえる。香港映画、戦争もの、アクションなどを物色しても、ピンとくるものがない。奥へ奥へと進み、ようやく惹かれるものを見つけた。
『グラン・トリノ』
クリント・イーストウッド主演・監督のこの作品は、なかなか評判がいい。イーストウッドは俳優としても好きだったし、監督としても才能豊かである。「これだ!」と自信を持って選んだ。
会計したあと、重い作品はパスしようと考えていたことを思い出した。だが、もう手遅れだ。外へ出ると、ちょうど雨も上がっていた。
家でDVDを見るときは、何かと邪魔が入っていけない。「お母さん、お母さん」とあれこれ話しかける娘の相手をして、夕飯の支度、風呂、片付けものなどに追われていたら、昨日は結局見られなかった。やはり、日曜日の朝しかない。
眠かったけれども、今日は6時半に起き、家族が寝静まっている間に、ひとりDVDを見た。
『ハイスクール・ミュージカル』と『グラン・トリノ』のどちらでもよかったのだが、上に載っていた『グラン・トリノ』をプレーヤーに入れた。
途中、弱い地震に邪魔されたものの、いい映画だった。「憎まれジイさん」がアジア系の隣人に心を開いていく様子は、「遠くの親戚より近くの他人」という感じで温かい。グラン・トリノとは、車の名前で、ジイさんの自慢である。イーストウッド扮するウォルトジイさんは、この車と犬を何よりも大事にしているのだ。
相手に悪態をつく強烈な会話に笑い、自由に生きることの難しさに考えさせられた117分だった。
ただ、予想通り、ハッピーエンドではないところが悲しい……。
たまには、こんな週末の過ごし方もいいけれど、『ハイスクール・ミュージカル』を見る時間が取れなかった。
疲れた頭を空っぽにできる、楽しい映画だそうだ。
こちらも早く見たいものである。
もっとも、私の頭は、いつでも空っぽかもしれないな……。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
でも、公開中の作品に魅力を感じるものはない。だったら、以前、見損ねた映画のDVDをレンタルしたほうがいい。
劇場まで出かけることが好きな私にしては、珍しい選択である。娘に付き合うことはあっても、自分のためにレンタルするのは何年ぶりだろう。
昨日の夕方、日が傾いてから、散歩がてらお店に出掛けることにした。
時計は17時を回っていたが、薄日が差している。これから夏至に向かい、ますます日が長くなっていく。
歩道を歩いていたら、向かい側から初老の男性2人が、大きな声でどうでもいいことを話している。騒々しさに顔をしかめてすれ違ったとき、頬に水滴が飛んできた。
まさか、今のオヤジの唾!?
私は卒倒しそうになりながら振り返った。しかし、オヤジたちが遠ざかってからも、新たな水滴が落ちてくるではないか。
雨だ……。
空を見上げると、晴れているのに細かい雨粒が、次から次へと糸のように降っている。男性2人に着せた濡れ衣を、心の中で詫びながら、私はレンタル店へと急いだ。夕方でなければ日傘を持っていたのに、なんと間の悪いことよ。まさか、ネズミの嫁入り、いや、キツネの嫁入りと言われる天気雨に見舞われるとは思わなかった。珍しいことをするものではない。
店に着いてホッとした。天気雨なら、DVDを選ぶ間にやむだろう。私は棚の作品とにらめっこし、「どれにしようかな」と作品選びを始めた。
好みは洋画だ。ちょっと疲れ気味なので、重い話はパスしたい。頭を使わない、軽~いものがいい。
レストランでオーダーに迷う人は、ここでも即決できないに違いないが、私はほとんど悩まない。直感で決める。以前、マイミクさんが勧めていた『ハイスクールミュージカル・ザ・ムービー』を見つけ、パッと手に取った。これにしよう。
しかし、あまりにあっけなく決めたので、まだ雨が降っていそうだ。「もう1本」と心の声が聞こえる。香港映画、戦争もの、アクションなどを物色しても、ピンとくるものがない。奥へ奥へと進み、ようやく惹かれるものを見つけた。
『グラン・トリノ』
クリント・イーストウッド主演・監督のこの作品は、なかなか評判がいい。イーストウッドは俳優としても好きだったし、監督としても才能豊かである。「これだ!」と自信を持って選んだ。
会計したあと、重い作品はパスしようと考えていたことを思い出した。だが、もう手遅れだ。外へ出ると、ちょうど雨も上がっていた。
家でDVDを見るときは、何かと邪魔が入っていけない。「お母さん、お母さん」とあれこれ話しかける娘の相手をして、夕飯の支度、風呂、片付けものなどに追われていたら、昨日は結局見られなかった。やはり、日曜日の朝しかない。
眠かったけれども、今日は6時半に起き、家族が寝静まっている間に、ひとりDVDを見た。
『ハイスクール・ミュージカル』と『グラン・トリノ』のどちらでもよかったのだが、上に載っていた『グラン・トリノ』をプレーヤーに入れた。
途中、弱い地震に邪魔されたものの、いい映画だった。「憎まれジイさん」がアジア系の隣人に心を開いていく様子は、「遠くの親戚より近くの他人」という感じで温かい。グラン・トリノとは、車の名前で、ジイさんの自慢である。イーストウッド扮するウォルトジイさんは、この車と犬を何よりも大事にしているのだ。
相手に悪態をつく強烈な会話に笑い、自由に生きることの難しさに考えさせられた117分だった。
ただ、予想通り、ハッピーエンドではないところが悲しい……。
たまには、こんな週末の過ごし方もいいけれど、『ハイスクール・ミュージカル』を見る時間が取れなかった。
疲れた頭を空っぽにできる、楽しい映画だそうだ。
こちらも早く見たいものである。
もっとも、私の頭は、いつでも空っぽかもしれないな……。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)