お世話になった知人の家に、ご挨拶に行ってきた。
本当は夏に行きたかったのだが、先方と日程が合わず、後回しにしていたら、年度末になってしまったのだ。
手みやげに、先方が好きな水ようかんを買っておいたが、あれから半年以上経っている。はたして、賞味期限は大丈夫だろうか。包み紙を見ると、2012年5月と書いてある。長持ちするならセーフ。そそくさと、袋に入れて家を出た。
水ようかんは、夏の季語のようなものだ。3月に持っていくにはちと早いが、相手が好きなのだから問題ない。
しかし、10分も経つと、徐々に重みが増してくる。腕が疲れてきたせいだ。まるで、5kg入りの米袋をぶら下げているような重みである。男性ならともかく、女性が持ち歩くには向かない手みやげだ。今さらだが、今度から煎餅かクッキーにせねば。
右手が痛くなってきたので、左手に持ち替えた。5分も経つとつらくなり、今度は左手から右手にパスをした。どっしりした水ようかんを左右交互に持ちながら、どうにか知人宅に着いた。
「こんにちは、笹木です。お邪魔します」
「いらっしゃい」
「少しですが、これ、みなさんで召し上がってください」
「あら、どうもありがとう」
無事、水ようかんを渡したとき、私は心底ホッとした。務めを果たした達成感というより、厄介者を追い払った安堵感である。水ようかんは何も悪くない。ただ、重さが私の体力を超えていただけだ。
知人と一時間ほど話し、頃合を見て、帰りの支度をする。
「長々と失礼しました」
「あ、待って。これ持って帰って」
知人が、小さな紙袋を差し出した。外側に「梅花亭」と書かれている。おそらく、和菓子だろう。お礼に来たのに、逆にいただきものをするとは恐縮である。
「いえ、とんでもない」
「いいの、いいの」
結局、断りきれず、袋を受け取った瞬間、どっぷりと後悔した。
お、重い!!
小さいからと安心していたら、実は、水ようかん並みに重かったのだ。
行きも帰りも重い袋を持たされ、罰ゲームのような、トホホな一日となった。
家で、和菓子を開けてみる。

子福餅、梅もなか、三笠山の詰め合わせである。どれも餡がギッシリ詰まっており、重いはずだと納得した。
特に、梅もなかは、餡がてんこ盛りになっている。

甘すぎず、舌触りが滑らかで、とても美味しいもなかだった。
子福餅も牛皮がモチモチしていてよかったし、三笠山は香ばしい外皮と、あざやかなうぐいす餡がマッチして、上品な味わいであった。
感動的な美味しさに、前言を撤回する。
罰ゲームどころか、これは賞品だった!!
我ながら、現金なやつだと自覚する……。

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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
本当は夏に行きたかったのだが、先方と日程が合わず、後回しにしていたら、年度末になってしまったのだ。
手みやげに、先方が好きな水ようかんを買っておいたが、あれから半年以上経っている。はたして、賞味期限は大丈夫だろうか。包み紙を見ると、2012年5月と書いてある。長持ちするならセーフ。そそくさと、袋に入れて家を出た。
水ようかんは、夏の季語のようなものだ。3月に持っていくにはちと早いが、相手が好きなのだから問題ない。
しかし、10分も経つと、徐々に重みが増してくる。腕が疲れてきたせいだ。まるで、5kg入りの米袋をぶら下げているような重みである。男性ならともかく、女性が持ち歩くには向かない手みやげだ。今さらだが、今度から煎餅かクッキーにせねば。
右手が痛くなってきたので、左手に持ち替えた。5分も経つとつらくなり、今度は左手から右手にパスをした。どっしりした水ようかんを左右交互に持ちながら、どうにか知人宅に着いた。
「こんにちは、笹木です。お邪魔します」
「いらっしゃい」
「少しですが、これ、みなさんで召し上がってください」
「あら、どうもありがとう」
無事、水ようかんを渡したとき、私は心底ホッとした。務めを果たした達成感というより、厄介者を追い払った安堵感である。水ようかんは何も悪くない。ただ、重さが私の体力を超えていただけだ。
知人と一時間ほど話し、頃合を見て、帰りの支度をする。
「長々と失礼しました」
「あ、待って。これ持って帰って」
知人が、小さな紙袋を差し出した。外側に「梅花亭」と書かれている。おそらく、和菓子だろう。お礼に来たのに、逆にいただきものをするとは恐縮である。
「いえ、とんでもない」
「いいの、いいの」
結局、断りきれず、袋を受け取った瞬間、どっぷりと後悔した。
お、重い!!
小さいからと安心していたら、実は、水ようかん並みに重かったのだ。
行きも帰りも重い袋を持たされ、罰ゲームのような、トホホな一日となった。
家で、和菓子を開けてみる。

子福餅、梅もなか、三笠山の詰め合わせである。どれも餡がギッシリ詰まっており、重いはずだと納得した。
特に、梅もなかは、餡がてんこ盛りになっている。

甘すぎず、舌触りが滑らかで、とても美味しいもなかだった。
子福餅も牛皮がモチモチしていてよかったし、三笠山は香ばしい外皮と、あざやかなうぐいす餡がマッチして、上品な味わいであった。
感動的な美味しさに、前言を撤回する。
罰ゲームどころか、これは賞品だった!!
我ながら、現金なやつだと自覚する……。

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