三が日が明けてすぐ、高2の娘と富士急ハイランドに行った。

大月から特急で50分弱、雪化粧した富士山を間近に見ての乗車である。

「寒ッ」
電車を降りると、ピリピリした寒気が襲ってきた。その日の最低気温はマイナス2度、最高気温は7度となっており、園内にはところどころ雪が残っている。
「じゃあ、最初はドドンパからね」
最高時速172kmでぶっちぎるコースターは、1時間待ちだった。あまりの速さに、1189mのコースでも、わずか30秒ほどで終わってしまう。もの足りないので、3倍くらいの長さにしてもらいたい。
「次はフジヤマ」
高さ79mが売りのコースターも、待ち時間が同じく1時間。じっと立っていると、冷たい風が頬や足元をなでていく。行列の人たちと、おしくらまんじゅうでも始めたい気分になった。
我慢のかいあって、ようやく順番が来たときには、体が浮かび、空を飛ぶような爽快感が味わえた。コースターの魅力は、まさにここにある。
「楽しかったね! 次はええじゃないかかな」
すっかりハイになって娘を振り返ると、意外や浮かない顔をしている。
「どしたの?」
「何か……調子悪い」
「じゃあ、レストランで休憩しようか」
どうやら冷えらしい。上半身こそ、ヒートテックにパーカー、ジャケット、マフラーと重ね着をしているが、下半身はジーンズとくるぶし丈のソックスだけ。これでは、体調も悪くなるだろう。
私はというと、裏起毛のスラックスに、お尻がすっぽり隠れるチュニックを合わせ、ハイソックス、レッグウォーマーのみならず、こっそり毛糸のパンツまではいている。おかげで、全然寒さを感じない。服装の面倒まで、しっかりみてやればよかったと後悔した。
途中で、カイロをいくつも買ってお店に向かう。
「こんなに寒いなんて思わなかった」
娘は予想を超える冷気に戸惑い気味だ。温かいスープにカレーライスを注文し、体がポカポカしたところで、ええじゃないかを目指した。
このアトラクションでは、靴を脱がねばならない。また冷えるのではと心配になったが、上になったり下になったり、グルグル回る不思議な動きに夢中になり、すっかり元気を取り戻した。
「今度は高飛車~!」
「おー!」
5年前にはなかったので、ワクワクしながら乗り込んだが……。まあ、ソフトな乗り物だったかな。
1回でいいやと、意見が一致した。
「じゃあ、最後に、もう一回ええじゃないかで終わりにしよう」
「そうしよう」
待っている間に日没を迎えた。

日が沈むと、ますます気温が下がってくる。厚着していた私でさえ、しもやけになるのではというほど、つま先が冷え切ってしまい、徐々に感覚が鈍ってきた。
「寒~い」
「ブルブルブル」
まだ時間はあったが、寒さに耐えかね、アトラクションのあとはおみやげ屋さんに直行するしかなかった。
「これ、辛そう」

真っ赤な煎餅が気になり、買ってみた。
東京に戻ってから、ゆっくり食べる。ひと口だけで、口の中が火事になった。ふた口目で、くちびるがヒリヒリしてきた。3口目で、鼻水が出てきた。
「かっら~い!」
これは、絶叫マシンならぬ、絶叫煎餅である。とても全部は食べきれない。
4口目を頬張ったとき、あごから汗がふき出した。体中が燃えている。
そうだ、待ち時間に、これを食べていればよかったんだ~!
冬の富士急は、凍死しそうなくらい寒い。
アトラクションに並ぶ前に、ぜひこの煎餅をお買い求めあれ!

↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)

大月から特急で50分弱、雪化粧した富士山を間近に見ての乗車である。

「寒ッ」
電車を降りると、ピリピリした寒気が襲ってきた。その日の最低気温はマイナス2度、最高気温は7度となっており、園内にはところどころ雪が残っている。
「じゃあ、最初はドドンパからね」
最高時速172kmでぶっちぎるコースターは、1時間待ちだった。あまりの速さに、1189mのコースでも、わずか30秒ほどで終わってしまう。もの足りないので、3倍くらいの長さにしてもらいたい。
「次はフジヤマ」
高さ79mが売りのコースターも、待ち時間が同じく1時間。じっと立っていると、冷たい風が頬や足元をなでていく。行列の人たちと、おしくらまんじゅうでも始めたい気分になった。
我慢のかいあって、ようやく順番が来たときには、体が浮かび、空を飛ぶような爽快感が味わえた。コースターの魅力は、まさにここにある。
「楽しかったね! 次はええじゃないかかな」
すっかりハイになって娘を振り返ると、意外や浮かない顔をしている。
「どしたの?」
「何か……調子悪い」
「じゃあ、レストランで休憩しようか」
どうやら冷えらしい。上半身こそ、ヒートテックにパーカー、ジャケット、マフラーと重ね着をしているが、下半身はジーンズとくるぶし丈のソックスだけ。これでは、体調も悪くなるだろう。
私はというと、裏起毛のスラックスに、お尻がすっぽり隠れるチュニックを合わせ、ハイソックス、レッグウォーマーのみならず、こっそり毛糸のパンツまではいている。おかげで、全然寒さを感じない。服装の面倒まで、しっかりみてやればよかったと後悔した。
途中で、カイロをいくつも買ってお店に向かう。
「こんなに寒いなんて思わなかった」
娘は予想を超える冷気に戸惑い気味だ。温かいスープにカレーライスを注文し、体がポカポカしたところで、ええじゃないかを目指した。
このアトラクションでは、靴を脱がねばならない。また冷えるのではと心配になったが、上になったり下になったり、グルグル回る不思議な動きに夢中になり、すっかり元気を取り戻した。
「今度は高飛車~!」
「おー!」
5年前にはなかったので、ワクワクしながら乗り込んだが……。まあ、ソフトな乗り物だったかな。
1回でいいやと、意見が一致した。
「じゃあ、最後に、もう一回ええじゃないかで終わりにしよう」
「そうしよう」
待っている間に日没を迎えた。

日が沈むと、ますます気温が下がってくる。厚着していた私でさえ、しもやけになるのではというほど、つま先が冷え切ってしまい、徐々に感覚が鈍ってきた。
「寒~い」
「ブルブルブル」
まだ時間はあったが、寒さに耐えかね、アトラクションのあとはおみやげ屋さんに直行するしかなかった。
「これ、辛そう」

真っ赤な煎餅が気になり、買ってみた。
東京に戻ってから、ゆっくり食べる。ひと口だけで、口の中が火事になった。ふた口目で、くちびるがヒリヒリしてきた。3口目で、鼻水が出てきた。
「かっら~い!」
これは、絶叫マシンならぬ、絶叫煎餅である。とても全部は食べきれない。
4口目を頬張ったとき、あごから汗がふき出した。体中が燃えている。
そうだ、待ち時間に、これを食べていればよかったんだ~!
冬の富士急は、凍死しそうなくらい寒い。
アトラクションに並ぶ前に、ぜひこの煎餅をお買い求めあれ!

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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)