これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

ものはためし

2014年01月30日 21時01分02秒 | エッセイ
 ときどき、家族で「庭の湯」に行く。バーデプールで遊び、温泉で温まってから、夕食を楽しんで帰宅する。遠出はできないけれど、ちょっとした気分転換にいい。
「お母さん、サウナに入ろうよ」
 高2の娘はサウナが好きだ。でも、私は暑いところが苦手なので、尻込みしてしまう。今まで、じっくり入ったことはない。
「いいじゃん。ものはためしでしょ」
 娘に引っ張られて、フィンランドサウナなるものに入った。
「暑ッ!」
 真夏の炎天下よりも、ジリジリ肌を焼かれるような灼熱地獄が待っていた。しかし、座ってジッとしていると、疲れ切った体がほぐれるような感覚がある。

 今週は忙しかったからね……。

 もし、疲れが蓄積していなかったら、サウナのよさがわからなかったかもしれない。冷えた足も温まり、食わず嫌いはいけないと反省した。
「もういいや。出よう」
 座っているのに飽きて、ドアを開ける。近くには、スチームサウナなるものもあった。
「じゃあ、今度はこれ」
 入っていこうとすると、娘に止められた。
「スチームサウナは好きじゃない」
「何で?」
「息が苦しいから」
「そうかなぁ。ものはためしでしょ」
 今度は、私が強引に娘を押し込む。中は、煙が充満しているかのように、水蒸気で空気が白く濁っていた。
 たしかに呼吸はしづらい。動かなくても、スチームが顔にも体にもまとわりついてきて、皮膚が濡れる。それとも、これは汗なのだろうか。体はリラックスするし、老廃物も流れ出すような爽快感があり、私はこちらのほうが好みである。
「お腹すいた。ご飯食べたい」
 サウナのあとはお風呂に入り、しっかり汗を流す。夕飯はそのあとだ。
「北海丼っていうのがあるよ。これにしよう」



 私も娘も、丼の上に、カニ、イクラ、ウニが円グラフ状に並んでいるメニューを注文した。食べる前から美味しいことはわかっている。歯ごたえのあるカニに、ジューシーなイクラ、とろける味わいのウニが、三位一体となって、舌を満足させてくれた。
 不意に娘がつぶやいた。
「さっきまで、のどがガラガラしてたんだけど、今は治ってる」
 娘は風邪ひきである。どうやら、スチームサウナで患部が潤い、のどの痛みがなくなったようだ。こんな効果があるとは思わなかった。
 お腹も体も大満足。
 さて、来月も行こうかな。


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コメント (12)
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