たしか、今月に入ってすぐだったと思う。
出勤すると、私宛ての郵便物に3月に卒業した女子生徒からのハガキが入っていた。
「暑中お見舞い申し上げます」
自宅の住所がわからず、学校あてに送ったのだろう。気の利くことだ。
「私は短大の課題とレポートに追われ、毎日ヘトヘトですが、楽しく過ごしております」
ほおお。
楽しいか、それはよかった。
この子は真面目で善良な人柄なのだが、係や委員会のメンバーを決めるときなど、誰かを誘って「一緒にやろうよ」と言えないタイプである。いつも最後に一人だけ余ってしまい、人づきあいが上手とはいえない。
新しい環境で上手くやっていけるか心配していたけれど、充実した毎日を送っているようで安心した。
「先生もお体にお気をつけてお過ごしください」
はいはい。
クーラーに浸かって生活しているせいか、夏バテとは無縁である。「夏は食欲が落ちるのよね」と嘆く友人とは対照的に、3食では足りずにおやつまで食べている。強いていうなら、冷房で首や腰が凝るくらいで、他はすこぶる健康だ。
早速返信を出そうと思ったが、家には官製ハガキすらなかった。切手はあるので、「今度書けばいいや」と思っているうちに立秋が過ぎる。まずい、もう11日になってしまった。
今日は山の日。今年から新しく増えた祝日だが、「何も夏休みにしなくたっていいのに」と生徒はみんなブーブー言っている。会社勤めの方も、お盆休みとかぶるかもしれない。でも、買い物に行く時間がとれたという点ではよかった。今日こそは、のびのびになっていたポストカードを探さなくては。
目指すは地元の書店。本だけでなく、バースデーカードやポストカードも売っているのだ。夏らしくて元気が出るような絵柄はないかと、カードラックを回した。
「あっ」
すぐに、ピンとくるデザインが見つかった。

裏返すと「みなとみらいの花火」というタイトルがついている。
作者は「HIROKO KANOU」となっていた。知らない名前だけど、この絵はいい。夜空に開く大輪の花が集合写真のように整列し、イラストならではの豪華さである。フリーハンドの線に温かみがあり、買おうと即決した。
隣にも、同じタッチのポストカードが並ぶ。

こちらのタイトルは「港の花火」となっている。空が明るいところを見ると、日没直後の19時頃か。この船は「ロイヤルウイング」という名前だった気がする。花火の配置はこちらのほうが賑やか。まるでチョコレートの詰め合わせのような楽しさがある。
「よし、これも」
こちらは那須の両親に宛てて送るか。花火なんぞ見られないだろうから、きっと喜ぶだろう。
「さーて、書くぞ」
書き始めは、もちろん「残暑お見舞い申し上げます」。
皆様も、暑さに負けずご自愛ください。

↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
出勤すると、私宛ての郵便物に3月に卒業した女子生徒からのハガキが入っていた。
「暑中お見舞い申し上げます」
自宅の住所がわからず、学校あてに送ったのだろう。気の利くことだ。
「私は短大の課題とレポートに追われ、毎日ヘトヘトですが、楽しく過ごしております」
ほおお。
楽しいか、それはよかった。
この子は真面目で善良な人柄なのだが、係や委員会のメンバーを決めるときなど、誰かを誘って「一緒にやろうよ」と言えないタイプである。いつも最後に一人だけ余ってしまい、人づきあいが上手とはいえない。
新しい環境で上手くやっていけるか心配していたけれど、充実した毎日を送っているようで安心した。
「先生もお体にお気をつけてお過ごしください」
はいはい。
クーラーに浸かって生活しているせいか、夏バテとは無縁である。「夏は食欲が落ちるのよね」と嘆く友人とは対照的に、3食では足りずにおやつまで食べている。強いていうなら、冷房で首や腰が凝るくらいで、他はすこぶる健康だ。
早速返信を出そうと思ったが、家には官製ハガキすらなかった。切手はあるので、「今度書けばいいや」と思っているうちに立秋が過ぎる。まずい、もう11日になってしまった。
今日は山の日。今年から新しく増えた祝日だが、「何も夏休みにしなくたっていいのに」と生徒はみんなブーブー言っている。会社勤めの方も、お盆休みとかぶるかもしれない。でも、買い物に行く時間がとれたという点ではよかった。今日こそは、のびのびになっていたポストカードを探さなくては。
目指すは地元の書店。本だけでなく、バースデーカードやポストカードも売っているのだ。夏らしくて元気が出るような絵柄はないかと、カードラックを回した。
「あっ」
すぐに、ピンとくるデザインが見つかった。

裏返すと「みなとみらいの花火」というタイトルがついている。
作者は「HIROKO KANOU」となっていた。知らない名前だけど、この絵はいい。夜空に開く大輪の花が集合写真のように整列し、イラストならではの豪華さである。フリーハンドの線に温かみがあり、買おうと即決した。
隣にも、同じタッチのポストカードが並ぶ。

こちらのタイトルは「港の花火」となっている。空が明るいところを見ると、日没直後の19時頃か。この船は「ロイヤルウイング」という名前だった気がする。花火の配置はこちらのほうが賑やか。まるでチョコレートの詰め合わせのような楽しさがある。
「よし、これも」
こちらは那須の両親に宛てて送るか。花火なんぞ見られないだろうから、きっと喜ぶだろう。
「さーて、書くぞ」
書き始めは、もちろん「残暑お見舞い申し上げます」。
皆様も、暑さに負けずご自愛ください。

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