めでたく、迎賓館和風別館の参観証が送られてきた。3度目にしてようやくである。「やりぃ~」と大きな音で指パッチンをしたくなった。
いつも留守番ばかりの夫も誘い、家族3人で出かけることにした。
和風別館の定員は20名。しかし、数えてみると13人しかいない。7人はキャンセルということなのだろうか。どうしても見たい人だけが申し込めばいいのに。
係員の男性がスタンバイして見学が始まった。
「おや、今日は子どもがいますね。中学生かな」
「大学生ですっ!」
娘が子ども扱いされたことに怒り、目を吊り上げていたが、そもそも若い人がいない。文化財には興味がないのか。それは残念なことである。
和風別館は昭和49年に建てられたもので、エリザベス女王が最初の客だったとか。
「女王自ら植えた木がこれです」

イギリス勢としては、サッチャー首相やダイアナ妃も滞在したそうだ。ちなみに、ゴルビーことゴルバチョフ大統領も植樹をしたという。
木の隣に生えている、キノコのようなものは外灯か?

何でこんな形にしたのかしらと笑いがこみ上げてきた。
細い道を抜けると、別館が見えてくる。

空も青くて何より。派手さはないが、落ち着いた佇まいに、日本らしいおもてなしの姿勢が感じられる。
庭の池には鯉が93匹いるそうだ。

別館公開前は、人の出入りがないのをいいことに、稚魚を狙った鳥が飛んできては食べ放題をしていたらしい。だから、自然繁殖することはなかった。
だが、一般公開されるようになって、狩場に人間という邪魔者が入り込んでくる。鳥たちは警戒し、池に来る回数が減ったものだから、子どもの鯉が育つようになったのだとか。何が幸いするのかわからない。
「皆さま、こちらにお進みください」
最初は靴を履いたまま、黒い床に敷かれた赤いカーペットの上を歩く。
「賓客が来るときは、このカーペットを取りますが、皆さまはカーペットの上をお歩きください」
見学者が、賓客と同じ場所を歩かないように工夫をしているのだろう。夫は説明の意図が十分理解できなかったようで、靴のつま先がカーペットからはみ出していた。すかさず、係員がそれを指摘する。
「あのう、カーペットの上でお願いします」
手のかかるオヤジで申し訳ない……。
次に入口で靴を脱ぎ、館内に上がる。
「皆さま、スリッパに履き替えてください」
ここでもやはり、見学者とVIPは区別される。賓客はスリッパを履かないが、見学者はスリッパを履くから、水虫持ちであろうが、足の臭い人であろうが、床を汚す心配はない。一国の指導者やその家族を招待する場所では、細部まで気配りをしないといけないのだろう。
主和室は、18人までが食事をとれる部屋である。
「あれが通訳の椅子です。賓客は食事をしながら話しますが、通訳に席はありません。彼らは食事もせずに2時間話しっぱなしです。実にハードなお仕事ですね」
ごちそうを前にして、自分の分はなしというのは哀しい。そうか、通訳にならなくてよかった。というか、なりたくてもなれなかったけど。
このあと、食堂や茶室なども見て、見学は45分程度で終了した。
少人数で説明つきのツアーは楽しい。家族3人、満足して本館に向かった。
係員が「京都迎賓館はもっと広くて豪華です」と説明したことを思い出す。
「じゃあ、次は京都まで行かなくちゃ」と新たな目標ができたことがうれしい。

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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
いつも留守番ばかりの夫も誘い、家族3人で出かけることにした。
和風別館の定員は20名。しかし、数えてみると13人しかいない。7人はキャンセルということなのだろうか。どうしても見たい人だけが申し込めばいいのに。
係員の男性がスタンバイして見学が始まった。
「おや、今日は子どもがいますね。中学生かな」
「大学生ですっ!」
娘が子ども扱いされたことに怒り、目を吊り上げていたが、そもそも若い人がいない。文化財には興味がないのか。それは残念なことである。
和風別館は昭和49年に建てられたもので、エリザベス女王が最初の客だったとか。
「女王自ら植えた木がこれです」

イギリス勢としては、サッチャー首相やダイアナ妃も滞在したそうだ。ちなみに、ゴルビーことゴルバチョフ大統領も植樹をしたという。
木の隣に生えている、キノコのようなものは外灯か?

何でこんな形にしたのかしらと笑いがこみ上げてきた。
細い道を抜けると、別館が見えてくる。

空も青くて何より。派手さはないが、落ち着いた佇まいに、日本らしいおもてなしの姿勢が感じられる。
庭の池には鯉が93匹いるそうだ。

別館公開前は、人の出入りがないのをいいことに、稚魚を狙った鳥が飛んできては食べ放題をしていたらしい。だから、自然繁殖することはなかった。
だが、一般公開されるようになって、狩場に人間という邪魔者が入り込んでくる。鳥たちは警戒し、池に来る回数が減ったものだから、子どもの鯉が育つようになったのだとか。何が幸いするのかわからない。
「皆さま、こちらにお進みください」
最初は靴を履いたまま、黒い床に敷かれた赤いカーペットの上を歩く。
「賓客が来るときは、このカーペットを取りますが、皆さまはカーペットの上をお歩きください」
見学者が、賓客と同じ場所を歩かないように工夫をしているのだろう。夫は説明の意図が十分理解できなかったようで、靴のつま先がカーペットからはみ出していた。すかさず、係員がそれを指摘する。
「あのう、カーペットの上でお願いします」
手のかかるオヤジで申し訳ない……。
次に入口で靴を脱ぎ、館内に上がる。
「皆さま、スリッパに履き替えてください」
ここでもやはり、見学者とVIPは区別される。賓客はスリッパを履かないが、見学者はスリッパを履くから、水虫持ちであろうが、足の臭い人であろうが、床を汚す心配はない。一国の指導者やその家族を招待する場所では、細部まで気配りをしないといけないのだろう。
主和室は、18人までが食事をとれる部屋である。
「あれが通訳の椅子です。賓客は食事をしながら話しますが、通訳に席はありません。彼らは食事もせずに2時間話しっぱなしです。実にハードなお仕事ですね」
ごちそうを前にして、自分の分はなしというのは哀しい。そうか、通訳にならなくてよかった。というか、なりたくてもなれなかったけど。
このあと、食堂や茶室なども見て、見学は45分程度で終了した。
少人数で説明つきのツアーは楽しい。家族3人、満足して本館に向かった。
係員が「京都迎賓館はもっと広くて豪華です」と説明したことを思い出す。
「じゃあ、次は京都まで行かなくちゃ」と新たな目標ができたことがうれしい。

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