これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

残酷な女子会

2017年11月23日 19時00分00秒 | エッセイ
 コンラッド東京の「ホワイトアフタヌーンティー」がキレイだ。



 ハロウィンアフタヌーンティーは可愛かった。そして、美味しかった。
 しかし、娘と2人だったのが淋しい。アフタヌーンティーは、気の合う仲間と談笑しながらいただくと盛り上がる。このところ、すれ違いばかりの妹を誘って、3人でコンラッドに行きたくなった。
「アフタヌーンティー? いくいく!」
「よかった。日にちはね……」
「ねえ、明奈も連れて行っていいかしら」
 妹には、男の子と女の子が1人ずついる。長男の浩太は高校生。もう、母親と出かける年齢ではない。でも、長女の明奈を置いて、自分だけ美味しいものを食べるのが後ろめたかったのだろう。
「いいよ~! 4人で楽しく食べようよ。女子会だね」
「うん」
 しかし、私は大事なことを見落としていた。妹の家には、もう一人、家族がいるのである……。

「おまたせ」
 時間通りに、妹と明奈がやってきた。案内された席は、ゆったりとした6人掛けであった。



 席のそばには、いかにもインスタ蝿、いや、インスタ映えしそうな瓶がガラスケースに飾られている。写真を撮ったら、私の姿がちょろっと入ってしまった。妹も、スマホを出し始めた。
「ダンナがさ、写真をいっぱい撮ってきてって言うのよね」
「え? 今日、休みなの?」
「うん。休みなのよ」
 しまった。妹の夫をすっかり忘れていた。というか、そもそも女子会だから、対象外だったというべきか。誕生日会やクリスマス、新年会では義弟に数々の創作料理をごちそうしてもらっているのに、何たることか。
 おそるおそる、妹に尋ねてみた。
「……来たかったのかな?」
「うん。いじけてた」
 それは悪いことをした。でも、妹と明奈は、あまり気にしていないようだ。
 まもなく、お待ちかねのものが運ばれてきた。



「わあ、すごい」
 妹はダンナに頼まれた通り、バシャバシャ写真を撮っている。







 サーモンの上のキャビアには、一同、歓声を上げた。



 マカロンの下の、ハート型のチョコがラブリーである。



 雪の結晶。手が込んでいるし、一番美味しかったかも。



 義弟から、返信があったらしい。妹と明奈が、画面を見て笑い出した。
「ププッ、泣いてる!」
「え?」



 何と、哀れなパンダのスタンプが……。
 もし、うちの娘だったら、泣くどころか、危害を加えるスタンプが送られてくるはずだ。
 こんなのや



 あんなのがいくつも連打され、攻撃性の高さがうかがえる。



 しかし義弟は泣いているだけ。妹は、さらに追加の写真を送って、とどめを刺していたようだ。



「上に載っているのは、パチンコの玉? だってさ、アハハ」
 まあ、そう見えないこともないけれど……。
 明奈は高校受験を控えている。私と妹が卒業した高校を受けるつもりでいるそうだ。
「じゃあ、合格したら、今度はパレスホテルのアフタヌーンティーに行こうよ」
「うん!」



 頭の中で、すばやく計算をする。
 今度は、義弟にも声をかけなくてはと。


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コメント (8)
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