これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

2018 母の日

2018年05月13日 21時46分24秒 | エッセイ
 毎年、母の日にはプリザーブドフラワーを送っていた。それでいいと思っていた。
 しかし、先月父が入院し、退院後も酸素ボンベが手放せないとわかってからは、「なるべく会いに行こう」と考えるようになった。母の日はうってつけの口実になる。
「行くからにはカーネーションがいるよね」
 大宮駅で新幹線に乗る前に花屋を探した。たしか、改札付近にあるはず……あった、あった。
「甘いものもほしいよね」
 とらやの羊かんは前日に池袋で買っておいた。でも、父が食べられるかどうかはわからない。
「プリンなら大丈夫かも」
 大宮エキュートは優秀だ。美味しそうなプリンがいくつも見つかり、どれにしようか悩んだ。
 父の世話や家事で毎日クタクタの母に休んでもらいたくて、「私がお昼を用意するから一緒に食べようよ」と伝えたのが一週間前。病み上がりの父にごちそうはいらない。ロールキャベツと野菜の煮物、焼き茄子を作り、主食はエキュート内のおこわを購入した。
「しまった、汁物がないや」
 インスタントの味噌汁を買うのを忘れていた。まあよい。即席で何か作ればいいか。
 那須塩原駅からタクシーで20分。11時には両親に会えた。
「こんにちは~」
「いらっしゃい、よく来たね」
 大学4年の娘も同行したから、早速、母から誕生日プレゼントが手渡される。
「はい、ミキ。遅くなったけど誕生日おめでとう」
「わーい、ありがとう」
 父も顔を見せた。入院中よりもふっくらとして顔色もいい。医師からも「よくなっている」と言われたそうだ。30分ほど話したあと、すぐに食事の準備を始めた。そうしないと、帰りの新幹線に間に合わないのだ。
「お隣さんからトマトをたくさんもらってね、スープを作ったのよ」
「えー、タイムリー!」
 なんと、ないはずの汁物ができていた。頼まなくても必要なものがあるなんて、やっぱり親子だなぁと感じた。



 左側には父がいる。全員が席に着くまで待てず、すでに箸を持って食べ始めていたので、写真はカット。
 ロールキャベツは好物らしく、食が細い割には全部平らげていた。娘と孫が来たから、いい刺激になったようだ。残念ながら、煮物は残されてしまった。
「プリン食べよう、プリン」



 父はすでに満腹で食べられない。私たちが「美味しい」と話しながら食べるのを見て、おやつにすると言っていた。高齢者は、大勢で食事するのがいいのだろう。一人では、ますます食欲をなくす。
「じゃあ、またね」
「バイバイ」
 短時間の滞在で帰宅すると、リビングのテーブルには、ピンクのカーネーションが飾られていた。留守番していた夫が買ってきたらしい。
 娘からは一輪挿しをもらった。2人で相談したわけでもないのに、ピタッと息が合っている。



「ありがとう!!」
 夫と娘に礼を言い、一人でニヤニヤと花瓶を眺めた。母の日っていいなぁ。
 そうだ、無事家に着いたことを母に知らせなくては。スマホを取り出し、母にメールを送ると、まもなく返事が返ってきた。
「、お疲れ様。無事に着いてよかったね。今日はとっても楽しい母の日になりました。色々気づかいありがとう」
 私は冒頭の「、」が気になった。何で句読点から始まるんだろう???
「これが、おかんメールか」と苦笑いしつつ、充実したいい一日に想いを馳せた。
 今後、両親とのランチは母の日の恒例行事にしたい。


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コメント (8)
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