これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

塀に向かってこんばんは

2018年09月17日 21時39分35秒 | エッセイ
※ 今回は虫の画像がありますので、苦手な方はご注意ください。

 小泉八雲資料館で購入した『怪談・奇談』を読み終えた。



『轆轤(ろくろ)首』『耳なし芳一』『食人鬼(じきにんき)』に代表されるように、八雲の話には妖怪や亡霊などがたくさん登場する。決して、ゾッとするわけではない。24時間営業の店が乱立し、夜なのに暗くない現代で暮らしていると、懐かしささえ感じてしまう。
「そういえば、子どものときは夜の神社が怖かったな。お歯黒ベッタリやのっぺらぼうが出そうで」
 果たして、八雲の面白さが現代っ子に通じるかどうかはわからないけれど。
 さて、読み終えた翌日、変わったことがあった。
 19時頃、仕事から帰って自宅の近くまで来たときである。お隣の白い塀に、見慣れぬものがへばりついていた。いったんは通り過ぎたが、妙に気になって引き返す。見間違いかと思ったからだ。だが、決して目の錯覚ではなかった。
「うーん、これは蜘蛛だな……」
 ちょうど街灯のない場所だったから、これで精いっぱいの明るさだ。



 どうだろう。塀の上部にある葉は、3cmほどの大きさである。いくら練馬区とはいえ、こんなに大きな蜘蛛が生息しているとは驚きだ。
「大きいだけで毒はなさそう」
 こちらに気づいているのかいないのか、まったく反応がない。逃げるわけでも、向かってくるわけでもなく、ひたすら塀とにらめっこしている。
「写真は撮ったし、もういいや」
 涼しくなったものだから、蚊のヤツが調子に乗って刺してくる。こんなところで突っ立っていたら、藪蚊の餌食になるに違いない。かゆいのはゴメンだ。そういえば、八雲の本には、若者の血を吸う蛙の化け物もいたっけ。思い出しながら、私は早足で玄関に向かった。
 蜘蛛の妖怪といえば、女郎蜘蛛が有名だろう。美しい女の姿で現れ、人を食らうとされている。
「あの蜘蛛は、地味でよかったわぁ」
 地味蜘蛛さん、また会おうね。


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コメント (4)
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