これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

大学生は可愛い

2019年10月27日 21時43分53秒 | エッセイ
 スポーツクラブに通うようになってから、はや3年。ヘタクソながらも、スカッシュを続けている。コートは、お手軽に電話で予約できて便利だ。
「16時40分からスカッシュAコート、1名、ササキです」
 予約は1コマ20分なので、17時にはコートを出なければいけないが、体力の落ちたオバさんはそれぐらいが限度。いい汗かいてサウナに突入するはずだった。



 ところが、5分も経たないうちに、コートに誰かが入ってきた。
「あのう、すみません」
 振り返ると、大学生とおぼしき女性が困った顔で立っていた。
「はい?」
「16時40分からは、私が予約したのですが、どちら様ですか」
「えっ、私も40分のはずなんだけど……。ササキです」
「ああ、ササキさんは、16時20分から40分の枠にお名前がありました」
 なんと!
「やだあ、40分からって言ったのに、フロントの人が書き間違えたのかしら」
「そうかもしれませんね」
「どうしましょう」
「このあとに、また別の方が予約しているんです。私が後ろにずらせればよかったんですけど」
 うーん。
 私が思いついたのは、10分ずつ半分こにする提案だった。それとも、ド下手の分際で、「一緒に打ちますか?」にしようかと思ったのだが、彼女の方が大人だった。私が口を開く前に、彼女の言葉が聞こえてきた。
「あ、でも、仲間が隣のBコートにいるので、私はそっちで一緒に打ちます。こちらはそのままお使いください」
「え? いいのかしら」
「はい、大丈夫です」
「すみません。ありがとうございます」
 礼を言うと、彼女は浅くお辞儀をして、コートを出た。年長者を立てる気づかいが、この上なくうれしい。ご家庭での教育も行き届いているのだろう。若い人からの親切が、身にしみる年代になってきたと自覚した。
 しかし、クラブのフロントはけしからん。再発防止のために、今後、予約の電話をするときは、しつこく確認せねばと決心した。
「ササキと申しますが、17時からスカッシュAコートの予約をお願いします」
「はい。何名様でしょうか」
「1人です」
「承りました」
「確認なんですけど、17時から17時20分ですよね?」
「はい」
「失礼ですが、お名前いただけますか」
 さらには、クラブに到着してからも、スカッシュの予約表を見せてもらうのだ。これで、不幸なバッティング問題はなくなるであろう。
 今日もクラブに行ってきた。コートが空くのを待っていたら、中から出てきたのは、前回、親切にしてくれた彼女であった。
「こんにちは。この前はありがとうございました」
 挨拶をすると、彼女も笑顔で返してくれた。
「こんにちは! いえもう、ぜんぜんどうってことないですよ」
 いい子だな。
 来週もまた会うかもしれない。
 若い子が喜びそうなお菓子でも買っておこうかしらね。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (15)
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