これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

芸術はお好き?

2021年11月14日 21時56分56秒 | エッセイ
 仕事の合間にコーヒーを飲んでいたら、若手教員の佐藤さんが話しかけてきた。
「笹木先生、芸術はお好きですか?」
「芸術? 好きですよ」
「もしよかったら、これ、行きませんか」
 彼が差し出したのは、日展のチケットだった。



「友達が出品しているので、見てやってください」
「へえ~、すごいじゃない。何て方?」
「日本画なんですが、かくかくしかじか……」
 もちろん、2枚あるから一緒に行きましょう、という話ではない。
 夫婦、親子、友達などと連れ立って、楽しくおしゃべりしながら出かける前提になっているわけだ。佐藤さんは自らを「変わった人」と言っているけれど、一般的な気配りもできるのだとわかり、ありがたくいただいた。
 さて、誰と行こう。
 まずは娘に聞いてみたが、「予定があるから」と断られた。あと2週間ぐらい猶予があれば、ランチにつられて来たはずなのに惜しい。
 次に、姉を誘ってみる。絵画教室に通っているので、いい返事がもらえるものと思っていたのに、「やめておくわ」だった。仕事が忙しいのかもしれない。
 だんだん面倒くさくなってきた。そもそも、私には友達が少ないのだ。一緒にいて、何を話そうかと気をつかう相手は友達ではない。だったら、一人で行った方がいい。
 でも、せっかく2枚もらったのに、1枚を無駄にするのは悪いなぁ……。
 昔のクラスメイトは「もらったものをどう使おうと、私の勝手でしょ」などと言い、意に添わぬプレゼントは別の人にあげたり、捨てたりしていた。たしかに、所有権は彼女にあり、非難される筋合いではないかもしれない。でも、私はそこまで割り切れないのだ。 変なところで律儀な自分に苦笑いをした。
「そうだ、幸枝に連絡してみよう」
 コロナ禍に見舞われて以来、彼女とは一度も会っていない。週末は部活動指導で忙しいかな、と期待薄で返信を待っていたら、意外にもOKと返ってきた。その日はたまたま部活がオフらしく、タイミングのよさがうれしい。2人で、かくかくしかじかさんの絵を鑑賞してこよう。
 東京の感染者は、下げ止まりの状態が続いている。
 おそるおそるではあるが、少しずつ元の生活に近づいていきたい。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (4)
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