年末に転院し、年明け早々に体外受精をした。体外受精はこれで3度目だが、新しい病院の高度な技術には驚くことが多い。
採卵は、無麻酔で実施する。針で、膣壁や卵巣を刺すのだから痛いはずだが、細い針を使っているので、他院より痛みが少ないという。私は高齢ということもあり、卵は1個しか育っていない。一瞬で終わることを祈っていた。
「はい、じゃあ、こちらのモニターを見ていてください」
オペ室では、超音波の映像を見せてくれる。卵巣の中に、大きな黒い影が映る。これが卵胞だ。
「右」
「はい」
右の卵巣の卵子を採るということなのだろう。まもなく、看護師とおぼしき女性の声がした。
「チクッとします」
いよいよというときでも、身構えてはいけない。力を抜いて、リラックス、リラックス。かすかな痛みのあとは、針先から吸い取られていく卵胞が映る。やがて、卵胞の姿はなくなり、影は見えなくなった。
「終わりました」
ほんの何秒かの出来事だった。採血検査のほうが、よっぽど痛い。楽な採卵に感動である。
そして、翌日、病院に電話をかける。受精したかどうかの確認だ。
「笹木さんですね。顕微授精で受精しました」
ああよかった。私は胸をなでおろした。
受精卵は1日経つと2つに分割し、2日目には4分割となって成長していく。まれに、受精しても、正しく分割しない場合もあるらしい。その翌日も、分割したかの確認をするため、病院に電話をかけた。
「はい。分割が見られますので、移植にいらしてください」
やった!
受精卵を子宮内に戻すことを胚移植という。受精卵は、子宮からさらに卵管に移動し、そこで成長したあと、3日から5日かけて子宮に戻ってくるという。戻ってきたときに、子宮内膜に着床すれば、妊娠成立である。
着床率は加齢とともに落ちる。果たして、そこまでたどり着けるかどうかは、やってみないとわからない。
クリニックに着くと、移植前に培養士から受精卵について話をされた。
「受精卵は胚ともいいまして、4つのグレードで判定しています。一番いいのがグレード1で、着床率も高いです。
グレード2は、フラグメントという細胞の断片が入り込んだ胚で
グレード3は、フラグメントに加えて、細胞の大きさが不ぞろいです。
グレード4は、不ぞろいの細胞プラス、フラグメントの多い胚ですが、妊娠する可能性がないわけではありません」
つまり、グレードの高い卵ほど、妊娠率が上がるということだ。移植の直前に、どのグレードかを判定するため、この時点では教えてもらえない。「グレード4だったら、どうしよう」と、かなり不安になった。
ようやく、移植の時間がやってくる。
「グレードは2でした。子宮内膜の厚さは8mmです」
ベストではないが、ベターな卵に安堵する。子宮内膜は、10mm前後が着床に適しているという。ちょっと足りなかったけれども、こちらもベターな範囲のようだ。
「はい、じゃあ左のモニターをご覧になってください。受精卵を映します」
前の病院では、3日目に移植をしていたから、8分割の卵だった。初めて、4分割の受精卵とご対面である。
ちゃんと写真をくれるところがうれしい。
「今度は、右のモニターをご覧になってください。子宮内に卵が入っていきますので、ご確認をお願いします」
白い点が、するするするっと下降し、画面の中央で止まった。患者に、ここまで確認させてくれる病院が、他にあるのだろうか。これも、写真つきである。
あとは、15分ほどベッドで安静にして帰宅した。
家で、古い超音波の写真を引っ張り出してみた。
妊娠初期で、娘が胎児のときだ。1995年11月6日 13週5日と書いてある。
あの受精卵も、大きく成長してほしいものだ。
そう念じて、母子手帳ケースの中に、受精卵の写真をすべり込ませた。
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
採卵は、無麻酔で実施する。針で、膣壁や卵巣を刺すのだから痛いはずだが、細い針を使っているので、他院より痛みが少ないという。私は高齢ということもあり、卵は1個しか育っていない。一瞬で終わることを祈っていた。
「はい、じゃあ、こちらのモニターを見ていてください」
オペ室では、超音波の映像を見せてくれる。卵巣の中に、大きな黒い影が映る。これが卵胞だ。
「右」
「はい」
右の卵巣の卵子を採るということなのだろう。まもなく、看護師とおぼしき女性の声がした。
「チクッとします」
いよいよというときでも、身構えてはいけない。力を抜いて、リラックス、リラックス。かすかな痛みのあとは、針先から吸い取られていく卵胞が映る。やがて、卵胞の姿はなくなり、影は見えなくなった。
「終わりました」
ほんの何秒かの出来事だった。採血検査のほうが、よっぽど痛い。楽な採卵に感動である。
そして、翌日、病院に電話をかける。受精したかどうかの確認だ。
「笹木さんですね。顕微授精で受精しました」
ああよかった。私は胸をなでおろした。
受精卵は1日経つと2つに分割し、2日目には4分割となって成長していく。まれに、受精しても、正しく分割しない場合もあるらしい。その翌日も、分割したかの確認をするため、病院に電話をかけた。
「はい。分割が見られますので、移植にいらしてください」
やった!
受精卵を子宮内に戻すことを胚移植という。受精卵は、子宮からさらに卵管に移動し、そこで成長したあと、3日から5日かけて子宮に戻ってくるという。戻ってきたときに、子宮内膜に着床すれば、妊娠成立である。
着床率は加齢とともに落ちる。果たして、そこまでたどり着けるかどうかは、やってみないとわからない。
クリニックに着くと、移植前に培養士から受精卵について話をされた。
「受精卵は胚ともいいまして、4つのグレードで判定しています。一番いいのがグレード1で、着床率も高いです。
グレード2は、フラグメントという細胞の断片が入り込んだ胚で
グレード3は、フラグメントに加えて、細胞の大きさが不ぞろいです。
グレード4は、不ぞろいの細胞プラス、フラグメントの多い胚ですが、妊娠する可能性がないわけではありません」
つまり、グレードの高い卵ほど、妊娠率が上がるということだ。移植の直前に、どのグレードかを判定するため、この時点では教えてもらえない。「グレード4だったら、どうしよう」と、かなり不安になった。
ようやく、移植の時間がやってくる。
「グレードは2でした。子宮内膜の厚さは8mmです」
ベストではないが、ベターな卵に安堵する。子宮内膜は、10mm前後が着床に適しているという。ちょっと足りなかったけれども、こちらもベターな範囲のようだ。
「はい、じゃあ左のモニターをご覧になってください。受精卵を映します」
前の病院では、3日目に移植をしていたから、8分割の卵だった。初めて、4分割の受精卵とご対面である。
ちゃんと写真をくれるところがうれしい。
「今度は、右のモニターをご覧になってください。子宮内に卵が入っていきますので、ご確認をお願いします」
白い点が、するするするっと下降し、画面の中央で止まった。患者に、ここまで確認させてくれる病院が、他にあるのだろうか。これも、写真つきである。
あとは、15分ほどベッドで安静にして帰宅した。
家で、古い超音波の写真を引っ張り出してみた。
妊娠初期で、娘が胎児のときだ。1995年11月6日 13週5日と書いてある。
あの受精卵も、大きく成長してほしいものだ。
そう念じて、母子手帳ケースの中に、受精卵の写真をすべり込ませた。
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
ところで、最近新聞で見たんだけど、さらに痛くない注射針が開発されつつあるらしいね。それは、蚊の針からヒントを得たもので、ギザギザに作ってある針の先が刺さる瞬間に振動するんだとか。勿論、肉眼では見えない世界だけど、とにかくただでさえ苦痛な注射なんだから、少しでも楽に終えるようになってほしいものだね。
先月は化学流産(>_<)
私にはまだ早いみたいです(笑)
今度こそですねー!
だと思います。
きっと誠実に医療行為をされているのだと
思います。
笹木さんの勇気に幸せが訪れることを
お祈りしています。
そうなのよ、需要と供給が一致していない感じだよね。
日本では、夫婦間の体外受精しか認めていないみたいだけど、卵子や精子を第三者から提供してもらえるようになれば、子を持つチャンスが拡大すると思う。
でも、そうなると、医療というより生殖ビジネスになっちゃうのかな。
正直いって、優秀な人の精子には魅力を感じるわぁ。
今回は連日のホルモン注射がなかったから、いつもより楽だった。
痛くない針の開発を、さらに進めてほしいね。
そっか、そろそろ1年経つのね。
つらかったと思うけど、前向きに考えられるところがスゴいよ!
しかし、先月も??
体は大事にしてね。
出産するなら、20代のうちにしたほうがいいと思う。
育てるのも楽だし、大きくなってから一緒に遊べるもの。
もし私に子供が生まれたら、「おばあちゃんですか」と言われるかも??
ヤバッ!
情報開示の時代といっても、医療機関はなかなか難しいですからね。
患者と一緒に状態を確認して、納得しながら前に進む姿勢に好感を持ちました。
ほとんどの病院では、ここまで詳細な説明がないと思います。
結果が悪かったとき、何が原因なのかわからず、割り切れない気持ちになりますね。
私の場合は加齢が一番の原因ですから、どういう状態で移植をしたのかわかり、安心しました。
もっと悪い状態を予測していたので、希望が持てます。
前の病院でチクチクされたり水を飲んだりしたのはおまじない?
今回は期待できそうです~
中学生のとき図鑑をこっそり覗いたときの気分とは違い、
子宮や受精の単語を見ても興奮しません~(*^^*)ポッ
そうそう、私はエッチな中学生でしたよ(_ _;)…パタリ
はい、病院の実力差が大きい分野のようです。
昔の主治医から紹介されたお医者様なのですけれど、安心して任せられるタイプではありませんでした。
病院を替えたら、今度は担当医がいません。
情報を共有化し、そのときの順番で医師が割り振られる仕組みのようです。
医師の力量差はあるでしょうが、病院の方針がきちんと決まっているみたいでした。
ホルモン注射がないので体も楽チンです。
やはり自然が一番ですね。
私も不妊治療をするようになって、恥ずかしげもなく「精子」などと口にします。
感覚が麻痺したのかも??
ひとまず、頑張りま~す!
こんだけ医学が発達してるのに受精卵を直接卵管に戻せないのかと思いますが自力で行かないとダメなん?ようわからん(^。^;)
早く定位置に着いてくれ(^o^)
なんか今までとは比べ物にならない位、期待できそうな雰囲気ですね。最新鋭の技術で今回こそはうまく妊娠してほしいですよ。
きっと大丈夫!あとはしっかり睡眠をとって栄養のある物をたべて体調を完璧にして結果を待ちましょう!やるだけの事はやったんですからね!祈ってます!