癌の緩和ケアの病院に入院した妹は お雛まつりの日に亡くなりました。
この病院は 比較的新しくできた病院で、設備も整っていて癌の終末期の残り少ない日々を 快適に過ごすための心配りが至る所に感じられました。
ここで妹は、最後の一週間を過ごしました。
南に面した窓からは、手入れの行き届いた庭が見下ろせ 目覚めには朝日を浴び 夜は星を見上げ 小鳥のさえずりが心を和ませるかの様です。
その様な、豊かな自然が病む人の心には どの様に映っていたのでしょうか。
食事に関しても毎回、栄養と味を熟慮した美味しいもので 最後の二日を除いて 妹は「美味しい」と言って完食していました。
一週間の献立表の3月2日は季節感を感じさせる「雛ちらし」となっていて妹は嬉しそうにしていました。きっと子供の頃、母がよく作ってくれたちらし寿司を思い出していたのでしょう。
でも3月2日には痛みが強くなり 食事をとることが出来なくなりました。
雛ちらしを、楽しみにしていたことを思い出し 今夜は雛ちらしを作ってお供えします。
母の作っていた、チリメン雑魚や干瓢の入った 味が濃い目のちらし寿司です。子供の頃、大好きだった薄桃色の桜でんぶも のせて・・・。
花材 ・桃の花 ・こでまり ・スイートピー ・ぜんまい
花器 ・創作線紋花器 馬川晴美作