錦織圭がツアー最終戦で、またもや、どえらいことをやってのけた。
11月9日にロンドンで開幕したATPツアーファイナルズに今年は錦織圭が登場。
この大会は年間の成績優秀者上位8名が選抜され戦うという、まさに格闘技のような
「ゴチャゴチャ言わんと、一番強いヤツをここで決めたらええやんけ!」
そういった位置づけ。格的にはウィンブルドンや今年錦織が準優勝したUSオープンのような、グランドスラムとも並ぶ超ビッグな大会なのだ。
そう説明すれば、この舞台に立てることだけでも、どれだけすごいことかわかろうというものだが、そのオープニングマッチで、錦織君がまたもや世界をおどろかせることになる。
かつてウィンブルドンとUSオープンを制し、ロンドンオリンピックの金メダリストであるアンディー・マレーを、なんと6-4・6-4のストレートで打ち破ってしまったのだ。
この試合、錦織君は出だし明らかに固くなっていた。
得意のストローク戦で精度を欠き、サービスゲームでもダブルフォルトを量産。
相手も地元のプレッシャーからいつもの動きではなく、カサにかかってこられるような展開にこそならなかったものの、テニスの質的には低調であった。
これには見ていてハラハラした。こんな超絶ビッグイベントで、オープニングマッチで、しかも相手が地元の英雄で、今まで勝ったこともない格上のマレー。
ともなれば、いつものプレーを披露しろというのが「そもそもがムチャぶり」なのだろうが、それにしたって、いつもの安定感ある彼のテニスとはかけはなれていた。
正直、せっかくテレビで放映してくれたのに、これは勝負にならないんじゃないかと心配したが、USオープン決勝と違って自分のテニスができないまでも、そこでペースを完全に渡してしまわなかったのは大きな成長だったか。
当初20%台という目をおおうようなファーストサーブの入りにもかかわらず、そこで大きなリードを奪われなかったのは、ねばりもあったし、運も良かった。
5-4から一瞬のスキをついてファーストセットを奪うと、セカンドは完全に復調し、得意のリターンと鋭いバックハンドでペースを握る。
4-1とリードしながらもブレークバックされたときには、まだまだ手こずりそうかとも危惧したが、そこからも錦織は落ち着いていた。
それどころか、むしろ反撃ムードのはずのマレーが明らかに気持ちが落ちており、第10ゲームのサービスをコントロールできず、あっさりと錦織圭の軍門に下ることとなった。
6-4・6-4。終わってみればあっけなかった。錦織圭の歴史的大勝利は、結果だけ見ればスコア的にも試合時間的にも、拍子抜けするくらいのものだった。
それは試合後の錦織君の表情を見ていると、さらにそう思えてくる。
松岡修造さんの「おめでとう」の言葉に、「あ、どうも」くらいのライトな感じ。
ここですごいのは、錦織圭にとって、もはやトッププロに勝つことや、大舞台で結果を残す事というのは、さほど騒ぐほどのことではないという事実。
この生きるレジェンドたちの饗宴に立つ彼自身、自分もまたその伝説の一人であると、もう自覚してしまっている。
その証拠に、現在のランキングはマレーは6位だが、錦織圭は世界5位。そう、過去の実績はともかくとしても、今現在コートに立っている現状は、
「錦織圭の方が格上」
信じられないがそうなのだ。
だが、「んなアホな」と頬をつねっている我々をよそに、錦織圭だけはそのことを信じている。いや、というよりも、もはや彼にとっては当たり前。
マレーを倒すことは、決して「ジャイアントキリング」ではなく、錦織圭の今には「日常」であり、次への「過程」でもある。
もちろん、マレーレベルの選手を倒すことが当然などと慢心しているわけではないが、
「ひとつ金星をあげれば仕事は終了」
というチャレンジャーの段階をすでに彼は越えている。力を出し切ればトップと同格のテニスができる。勝つチャンスもある。
自分でもそのことに自覚と、おそらくは「責任」も感じている。だから、このとんでもない大仕事のあとでも、すまして次の準備に入っているだ。
地に足が着いているなあ。そう、もうすでに彼は、押しも押されぬトッププロなのだ。
世界5位で、USオープンのファイナリストで、最終戦でも白星を挙げられる。
彼自身が言うところの「大統領みたいな待遇」を受けて戦うことのできる、世界テニス界最高峰の選ばれし8人の内の1人なのである。
(続く【→こちら】)
11月9日にロンドンで開幕したATPツアーファイナルズに今年は錦織圭が登場。
この大会は年間の成績優秀者上位8名が選抜され戦うという、まさに格闘技のような
「ゴチャゴチャ言わんと、一番強いヤツをここで決めたらええやんけ!」
そういった位置づけ。格的にはウィンブルドンや今年錦織が準優勝したUSオープンのような、グランドスラムとも並ぶ超ビッグな大会なのだ。
そう説明すれば、この舞台に立てることだけでも、どれだけすごいことかわかろうというものだが、そのオープニングマッチで、錦織君がまたもや世界をおどろかせることになる。
かつてウィンブルドンとUSオープンを制し、ロンドンオリンピックの金メダリストであるアンディー・マレーを、なんと6-4・6-4のストレートで打ち破ってしまったのだ。
この試合、錦織君は出だし明らかに固くなっていた。
得意のストローク戦で精度を欠き、サービスゲームでもダブルフォルトを量産。
相手も地元のプレッシャーからいつもの動きではなく、カサにかかってこられるような展開にこそならなかったものの、テニスの質的には低調であった。
これには見ていてハラハラした。こんな超絶ビッグイベントで、オープニングマッチで、しかも相手が地元の英雄で、今まで勝ったこともない格上のマレー。
ともなれば、いつものプレーを披露しろというのが「そもそもがムチャぶり」なのだろうが、それにしたって、いつもの安定感ある彼のテニスとはかけはなれていた。
正直、せっかくテレビで放映してくれたのに、これは勝負にならないんじゃないかと心配したが、USオープン決勝と違って自分のテニスができないまでも、そこでペースを完全に渡してしまわなかったのは大きな成長だったか。
当初20%台という目をおおうようなファーストサーブの入りにもかかわらず、そこで大きなリードを奪われなかったのは、ねばりもあったし、運も良かった。
5-4から一瞬のスキをついてファーストセットを奪うと、セカンドは完全に復調し、得意のリターンと鋭いバックハンドでペースを握る。
4-1とリードしながらもブレークバックされたときには、まだまだ手こずりそうかとも危惧したが、そこからも錦織は落ち着いていた。
それどころか、むしろ反撃ムードのはずのマレーが明らかに気持ちが落ちており、第10ゲームのサービスをコントロールできず、あっさりと錦織圭の軍門に下ることとなった。
6-4・6-4。終わってみればあっけなかった。錦織圭の歴史的大勝利は、結果だけ見ればスコア的にも試合時間的にも、拍子抜けするくらいのものだった。
それは試合後の錦織君の表情を見ていると、さらにそう思えてくる。
松岡修造さんの「おめでとう」の言葉に、「あ、どうも」くらいのライトな感じ。
ここですごいのは、錦織圭にとって、もはやトッププロに勝つことや、大舞台で結果を残す事というのは、さほど騒ぐほどのことではないという事実。
この生きるレジェンドたちの饗宴に立つ彼自身、自分もまたその伝説の一人であると、もう自覚してしまっている。
その証拠に、現在のランキングはマレーは6位だが、錦織圭は世界5位。そう、過去の実績はともかくとしても、今現在コートに立っている現状は、
「錦織圭の方が格上」
信じられないがそうなのだ。
だが、「んなアホな」と頬をつねっている我々をよそに、錦織圭だけはそのことを信じている。いや、というよりも、もはや彼にとっては当たり前。
マレーを倒すことは、決して「ジャイアントキリング」ではなく、錦織圭の今には「日常」であり、次への「過程」でもある。
もちろん、マレーレベルの選手を倒すことが当然などと慢心しているわけではないが、
「ひとつ金星をあげれば仕事は終了」
というチャレンジャーの段階をすでに彼は越えている。力を出し切ればトップと同格のテニスができる。勝つチャンスもある。
自分でもそのことに自覚と、おそらくは「責任」も感じている。だから、このとんでもない大仕事のあとでも、すまして次の準備に入っているだ。
地に足が着いているなあ。そう、もうすでに彼は、押しも押されぬトッププロなのだ。
世界5位で、USオープンのファイナリストで、最終戦でも白星を挙げられる。
彼自身が言うところの「大統領みたいな待遇」を受けて戦うことのできる、世界テニス界最高峰の選ばれし8人の内の1人なのである。
(続く【→こちら】)