選挙は泡沫候補が熱い! 大川豊『日本インディーズ候補列伝』 その3

2014年11月25日 | 

 前回(→こちら)に続いて、大川豊の『日本インディーズ列伝』を読む。

 国のお祭りである選挙の華といえば、やはり「泡沫候補」と呼ばれる人達であろう。

 みなさまも選挙の時、「こいつ誰やねん」「こんなん絶対通るわけあらへんがな」と思うような候補がいて、驚くことがあるのではないか。

 具体的には、たま出版の編集長が、UFOへの愛情

 

のため立ち上げた「UFO党」。

 「バカケチナマケは酢を飲まない」をスローガンに、酢で日本を立て直そうとした「日本愛酢党」。

 さらには、いわずもがなの「自由連合」といった、普段は表舞台に出てこない「インディーズ」な候補者にスポットを当てたものだ。

 まず巻頭のカラーページは、泡沫候補のスター羽柴誠三秀吉さんだ。

 鎧カブト、という奇抜な出で立ちでのぞんだ選挙ポスターはインパクト充分で、ご存じの方も多いだろう。

 よく選挙のポスターは、近所の悪ガキによってイタズラ書きをされたりするが、私はこの羽柴誠三秀吉氏のポスターに、そのような狼藉が行われているのを見たことがない。

 その迫力とインパクトに気勢をそがれるのか、その「ポスター自体がすでにイタズラ書き」ととらえられているせいなのかはわからないが、なんしか、「味のある」人である。

 その羽柴氏の地元青森には、氏の持つビルがありそれが紹介されているのだが、これがすごいのである。

 まず入ると、そこにはいきなりミサイルが装備されている。

 あまりにあっさり書いてあるので「へー、さすが天下の大富豪、すげえなあ」と思わず読み飛ばしそうになったが、おい待て、なんでミサイルがあるんだ。セコムも裸足で逃げ出す「過剰防衛」である。

 まあ普通に考えたら、個人のビルにミサイルが装備されているなどありえないわけで、さすがにただのレプリカらしいのだが、なんと偵察衛星でこのレプリカを見たアメリカ軍が、


 「日本に我々の知らないミサイル基地がある!」


 とひっくり返り、その依頼で自衛隊が査察に来たそうである。えらい話やなあ。

 だが、羽柴氏はそんな騒動などなんのその。トラクターを改造して戦車を作るわ(3000万円かかったらしい)、空母とイージス艦建造計画を構想中だわ、豪快に暴走。

 もちろん、ビルにはお約束の「金の茶室」などもあり、また「スナック・チャングム」などという飲み屋など経営するあたり、当時はやっていた「韓流」を採用するなど、流行にも敏感でありさすがは大富豪である。

 機を見るにつけ敏。でも、豊臣秀吉って「朝鮮出兵」のことがあって、韓国では極悪人あつかいなんですが……。

 そのあたりも、おおらかな羽柴先生。やはり天下国家を語るには、これくらい図太くないといけないのだろう。


 (続く【→こちら】)



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