男子禁制! イスラム女性専用車両には絶対乗ってはいけません inエジプト 

2016年09月09日 | 海外旅行

 女性専用車両で、あやうくお縄を頂戴するところであった。

 といったはじめ方をすると、



 「おまわりさん、この人が犯人です。いつかやると思ってました」



 などなど、マーシー的あらぬ誤解を受けそうだが、そういうことではなく、女性専用車両と知らずに、うっかり乗ろうとしてしまったのである。

 そう説明してみると今度は、「そんなことか。また大げさな」と笑われてしまうかもしれないが、これがたしかに日本ならそうであろう。

 多少白い目で見られたり、駅員さんに怒られたりするかもしれないが、いくらなんでも犯罪者あつかいされるほどでもあるまい。

 ではこれが、イスラム圏における女性専用車両ならどうであろうか。

 エジプトを旅行した際、カイロ地下鉄を利用したのだが、そのときウッカリして女性専用車両ホームで電車を待ってしまっていたのだ。

 エジプトはご存じの通り、イスラム教の国である。

 サウジアラビアイランほどゴリゴリではないが、それでも一般に熱心にお祈りをし、豚肉アルコールもたしなまず、年に一度は断食をするという、真面目なイスラム信徒が多い。

 そんなイスラム文化には、お祈りや断食のほかにも有名なものに、こういうのもある。



 「婚前交渉は絶対禁止」


 そこいらに関してはかなりゆるい日本人には、なかなかきびしく聞こえるが、これはトルコのような比較的リベラルなイスラム国でも、わりとかっちりと守られている

 砂漠の民にとって、女は大変貴重な存在であった。

 それゆえに、男からすれば過度に騎士道的なノリがあるらしい。

 ちょうど、女性が希少価値の高かったアメリカ西部開拓時代に、レディーファーストが発達したようなものだ。

 一部で「女性差別的」といわれる、をかくす習慣も



 「大事なオレの女(などもふくむ)を、他の男のいやらしい視線から守るため」



 というところからきているし、女性の一人歩きなど

 

 「そんなん、ワシは認めんぞ!」

 

 絶対にゆるされないのだ。

 出かけるには家族が一緒でないとならず、未婚女性デート家族同伴が自然。

 国によっては、男女の健全な自由恋愛ですら犯罪あつかいで、場合によっては死刑(おいおい……)になったりするんだから、これはもう文化がちがうとしかいいようがない。

 なもんで、生活の場でも家族以外の男女は、くっきりとわけられるケースがほとんどで、我々のような旅行者がそれを実感するのが、バス列車

 イスラム圏では、バスに乗ると、女性女性をあてがうか、もしくは空席にすることになっている。

 これは、たとえ満席で切符が取れずで、

 

 「その女の隣、空いてるやん!」

 

 主張したところで、男は絶対に乗せてくれない。

 なので「偶然、隣の席になって……」なんていう映画みたいなロマンスも存在しないわけだが、それはしゃあない、そういうルールなのである。

 これはイスラムの国を旅行する女性にすこぶる好評だが、男子は釈然としない。

 イスラムは男尊女卑と批判する人もいるが、こういったところは、

 

 「男子って、差別されてるわよね」

 

 なぜか、オネエ口調になって文句も言いたくなるわけなのだ。

 となれば、当然のこと電車の車両でも同じルールが適用されることとなり、地下鉄でも長距離列車でも、かっちりと男女がわけられる。

 これは日本のようなチカン対策とか、そういったレベルの問題ではない。

 なんちゅうても、宗教で決まっているというか、いわば神レベルの判断における女性専用車両なのである。

 男がいくら「下心なんてないよ!」と主張しても、アラーがお許しにならない。そら、絶対に乗ったらダメですわね。

 ここまで解説したところで、ようやっと私がやらかしかけたヘマの全容が、おぼろげながら、わかっていただけるのではなかろうか。

 神が決めた「禁制」の場所に阿呆なよそ者が、なにも知らずに入ろうとすると……。


  (続く→こちら


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