前回(→こちら)の続き。
「モテないわけではないのに、彼氏彼女がいない人」
というのは、その人の能力うんぬんではなく、
「好きになるタイプと、なられるタイプの不一致」
そこに原因があるのでは、という仮説を立ててみた。
そう考えるきっかけになったのが、高校時代のクラスメートであるミドウ君だった。
ミドウ君は見た目なかなかの男前で、中学時代はサッカー部でならしたスポーツマン。
性格も悪くなく、普通に考えれば、どこをどうひっくり返しても「モテる」側の男子である。
ところが、彼にはこれといった浮いた話がなかった。
彼女がいるとか、告白されたとかいう噂も聞かず、そのことはクラスの面々もなんとなく不思議に思っていた。
そこで放課後、クラスの女子とおしゃべりしていたときに、訊いてみたことがある。
ミドウってさあ、モテそうやのにフリーやん。女子から見て、彼はどうなん? と。
そこでの返事が、なかなかに意外であった。
彼女らはみな、「そりゃあねえ」と顔を合わせると、
「ミドウ君ねえ」
「見た目はいいけどね」
「雰囲気もさわやかだし」
そこだけ聞けば、いいことずくめだが、彼女らは続けて、
「でも、なんかよくわかんないし」
「暗そうだよね」
「そうそう、ノリ悪そうだし」
「てゆうか、ちょいキモイ」
「暗そうだよね」
「そうそう、ノリ悪そうだし」
「てゆうか、ちょいキモイ」
などなど、急に手厳しいことに。
というか、ミドウ君クラスでこのあつかいなら、もう我々のような「ひと山いくら」なボンクラどもは、明日からどう生きていけばいいのか。
ふーん、男女の感覚ってのは、わかんないもんやねえ。
なんて思いながら、今度はミドウ君に訊いてみることにした。
さすがに「あんた、なんでモテへんの?」とはつっこめないから、
「ミドウってさあ、彼女とか作らへんの? モテるやろ。ほんで、その友だち紹介してくれよ」
といった「お調子者の友だち」風にたずねてみると、
「いやあ、オレって、あんましモテへんし」
苦笑いする友。
「でもさあ、向こうが誘ってくるときもあるやん。デートとか、引く手あまたっしょ」
さらに追及してみると、
「まあ、ねえ……それはあるけど」
そうやろうなあ。なんのかのいって彼は
「放課後カラオケ行こう」
「今度の日曜日、2対2で遊園地どうかな」
みたいな誘いは、それなりに受けているというのだ。
まったく、うらやましいかぎりだ。
そこでちょっとおどろいたのが、そのお誘いの主の中に、私がリサーチした「キモイの姫君」たちの名前もあったこと。
おいおい、あの子らしっかり、この男のこと目ぇつけとるやんけ。
「暗い」とか「キモい」とかケチつけときながら、やることやっとるがな!
で、オレ様は無視か! 誘えよ! 映画くらいやったら、おごるのに。『ゴジラVSビオランテ』とか『ロケッティア』とかさ(←そこが誘われない理由だと早くわかるように)。
それはともかく、なるほど、これであの子たちがミドウ君に、当たりがきつかった理由はわかった。
袖にされて、ちょっとおもしろくなかったわけね。
でも、なんで断りよったんやろ、この男も。
せっかく声かけてくれたんやから、気ぃよう行ったらええものを。
オレだったら華麗にエスコートするぜ、京都の納涼古本市とか(←かつてデートで女の子そっちのけで古本を選んでいて、黙って帰られたことがある男)。
で、その理由を問うてみるならば、その答えというのが、
「アハハ、オレ、ああいうクラスの人気者系女子が苦手やねん」
(続く→こちら)