「変な人は論理的である」。
というと、たいていの人は
「えー、そんなことないよ。変な人は考え方が論理的じゃないから変なんでしょ」
そう返してくるものだが、これがそうではない。
前回は岩明均『寄生獣』に出てくるミギーの
「論理的すぎていろいろ間違いだらけ」
そんな思考経路を紹介したが(→こちら)「論理的で変」といえば、第二次大戦中のドイツ軍兵器もなかなかだ。
使用するのに、警備もふくめ5000人以上(!)を必要とし、組み立てからレール敷設に移動までに数週間もかかった、でも破壊力は史上最強クラスの超巨大列車砲「ドーラ」。
「マッド独裁者」と「マッドサイエンティスト」の夢のタッグで登場したものの、総重量188トンと重すぎて全然実用的でなかった「マウス」戦車。
などなど、まさに「ドリームチーム」と呼びたくなる逸材ぞろいだが、中でもインパクトがあるのが、「V2ロケット」であろう。
バトル・オブ・ブリテンでの敗北このかた、ドイツ軍は常に空戦でイギリス軍のレーダーに苦しめられていた。
だが、ドイツにはとっておきの隠し玉があった。
そう、大陸からドーバー海峡を越えてイギリス本土を攻撃できる、スーパーロケット兵器が開発されていたからだ。
かつてフランス女王マリー・アントワネットは、「パンがなければケーキを食べればいいのよ」と言い放ったが、ドイツ人は、
「制空権がないなら、超長距離ミサイルで直接攻撃すればいいのよ」
いわば『キャプテン翼』の翼くんが、得意にしていたドライブシュートで何度も使った、
「相手選手を越えた上空から、ボールが急激に落下することで、敵のディフェンスやキーパーの動きを無効化する」
という戦術と同じ思想ということで、理にはかなっているのだけど、それにしたって思いついても、ようやるもんであるなあ。
実際、超音速で飛ぶミサイルは迎撃手段が存在せず、当時のロンドン市民を恐怖のどん底にたたき落としたそう。
まあ北朝鮮がとなりにいる日本人としては、少しばかりリアルに感じられるところではある。命中率は、いまひとつだったそうだけど。
ちなみに、このV2の正式名称は「Vergeltungswaffe 2」。日本語に訳すと
「報復兵器2号」
むやみにイカついところもステキだ。
どうであろうか。よく学校の先生などが、「論理的思考力を身につけることが大事」なんて語ったりすると、「めんどくせー」なんて反応をする子もいるかもしれないが、
「論理も行き過ぎると、いっそ愉快」
ということもあることも知っていれば、それはそれでけっこう楽しく向き合えるのではないかと思うので、次回からそういったケースをいくつか紹介してみたい。
(共産主義のサンタクロース編に続く→こちら)
おまけ
★気ちがい兵器「ドーラ」の雄姿は→こちら
☆マウス戦車のデタラメさは→こちら