前回に続いて、悪口を聞いたことのない国や地域について。
ハワイやタイのように、旅行者にすこぶる評判の良いところというのはあるもので、私も安宿やユースホステルで仲良くなった旅行者に、そういった場所を聞くことが多い。
これはわりと人によって好みが出るもので、イランはイスラムの宗教的戒律がなんとなく息苦しいという人もいれば(女性は外国人でも全身を覆う服を着なければいけないとか)、ペルセポリスの遺跡群など古代ペルシャの遺産がすばらしいと絶賛する人もいる。
またメキシコや、「マチュピチュ」のあるペルーなんかはすごくおもしろいらしいけど、
「日本から飛行機で24時間以上」
と言われて、それで萎え萎えになる軟弱者もいる。私だ。あと治安も不安。
そんな中、この世には「悪口を聞いたことがない」ところというのも存在し、私もいくつか訪れたこともあるが、たしかに言われるだけの価値はあると思うところ多々だった。
そこで今回も、旅行者間で「打率10割」な地域を紹介してみたい。
海外が初めての人や、まだ行くところが決まってない人は、ここから選べば少なくとも大ハズレはないと思います。
「10割バッター」その7 ラオス
旅行者の間ではよく、「なんにもなくていいところ」と好まれる場所がある。
なーんもないけど人が良かったり、物価が安かったり、メシがうまかったり、気候が良かったり、まあたいていはその中のいくつかがそろうと、そう言われがちである。
観光化されてない田舎。ネパールのポカラやカラコルムハイウェーで有名なフンザ峠など山があるところや、離島のビーチなどがその最たるであろうが、中でももっとも「なにもない」度が高いといわれていたのがラオスだった。
「どんどん開発されてるから、今のうちに行った方がいいよ」
アドバイスされて、5年ほど前ビエンチャンに行ってきたが、写真などで観る以前の風景とくらべて相当できあがってきたとはいえ、まだまだ「なにもない」感は高かった。
田舎ののんびり感は希薄になってはいたが、「これから大きくなりまっせ」という勢いのようなものは感じられ、でもタイやベトナムのようなイケイケ感もなく、そこが興味深かった。
「10割バッター」その8 チェコ、スロバキア、ハンガリーなど中欧諸国
ヨーロッパというとイタリア、スペイン、フランスといった国が人気だが、旅行者的にはなにげにおススメは中欧である。
プラハ城をはじめ「古き時代のヨーロッパ」の魅力にどっぷり浸れるチェコ。
ブラチスラバ城がかわいすぎる(よく「逆さにした碁盤」と表現されるが私は「裏返された子豚」に見えた)、マリア・テレジアもお気に入りのコンパクト国家スロバキア。
美しき青きドナウの流れるブダペストにくわえ、なにげに「食の国」としてグルメな楽しみも満載なハンガリー。フォアグラも激安。
中欧のいいところは、いい意味でヨーロッパの地方都市という感じで、西ヨーロッパの大都市のようなトガッたところがなく、治安も良好で、物価も安く、とにかく旅行しやすい。
実際、私の周囲でも
「雑然としたパリとかローマより、プラハとかブダペストのほうが落ち着いてていい!」
という意見も多く、中欧とか東ヨーロッパというと日本人にはあまりなじみはないかもしれないけど、こっちのほうが全然ハズレがないと個人的には思います。
「10割バッター」その9 南インド
バックパッカーをやってるにもかかわらず、インド未踏なのは個人的な課題だが、コルカタやヴァラナシと同じくらい行ってみたいところに南インドがある。
中でもケララ州というところは、雑誌『旅行人』の元編集長である蔵前仁一さんも絶賛するところで、自然は豊かで物価は安く、メシはうまくて気候もいい(こればっかりやな)という天国。
なにより、デリーやコルカタに生息する有象無象の「あやしいインド人」(これにアテられてインドがダメという人も多々)のうるささに悩まされずにすむということもあって、とにかくいい印象があるわけだ。
それにとどめを刺したのが、やはりバックパッカーでインド人男性と結婚もされた漫画家の流水りんこさんによる『インドな日々』と『インド夫婦茶碗』シリーズ。
これを読んでも(夫のサッシーさんはケララの出身)流水さんの楽しい筆遣いにより、もう南インドが天国のように見える。
嗚呼、世界の果てまで行きたいぜ!
(続く)
■おまけ
(激辛ラオスめしとの激闘の記録はこちら)
(ハンガリーのフォアグラを食べてみたレポートはこちら)