バブル時代vs昭和レトロ コカ・コーラ 千葉真一 円谷英二 登場

2022年08月16日 | おもしろ映像

 「どっちが本物の日本か、キミが決めてくれ!」

 盆休みのある日、地元の中華屋で、そんなことを言い出したのは友人シジョウ君であった。

 ことの発端は、シジョウ君がナワテ君という友人と酢豚で一杯やっていて、

 

 「理想の我が国、本物の日本とはなにか」

 

 という、高尚かつ中2病的テーマで議論していたときのこと。

 そこで意見が対立し、激論となり、ついにはつかみ合いのケンカに発展。

 このままでは相手の顔にチャーハンをぶっかけ、鼻の穴に春巻をねじこむ泥仕合に突入しかけかねない。

 そこで、冷静な第三者にジャッジしてもらおうと、不肖この私が呼び出されたというわけだ。

 いい歳して阿呆であり、「本物の日本」といわれても、急になんやねんだが、なにやらむやみにスケールのデカイ話ではある。

 そんなもんを「オレが決める」となれば、なんだかずいぶん大物というか、本宮ひろしのマンガみたいで、気分もアガるではないか。

 ふむ、よきに計らえ。で、シジョウ君が言う「本物の日本」とはなんなのかと問うならば、

 

 「そんなもん、コカ・コーラのCM。I FEEL COKEに決まってるやないか!」

 

 コカ・コーラの宣伝。あったなあ。

 私が子供のころだから、昭和の時代。西暦でいえば80年代に、よくテレビでやってたよ。

 

 「はじめーてじゃーなーいのさぁ♪」

 

 歌ってみれば、40代以上の方は思い出すのではないか。

 なんかやたらに、さわやかで、バブルのころのイケイケ感とか、アメリカへの強い憧憬とが多分にふくまれた、時代性バリバリのシリーズだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 くわしくはYouTubeなどで見ていただくとして(こちら)、これはなつかしい。みんな、すげえいい笑顔だなあ。

 たしか、もう10年以上前にこのCMを集めたDVDが発売されて、話題になったことがあった。

 ライムスター宇多丸さんのラジオ番組『ウィークエンド・シャッフル』でも数回取り上げられ、

 

 「敵だよ、敵!」

 「あいつが憎かったんだ。名前は知らないけど、わかるだろ? 【アイツ】だよ!」

 

 イケてない青年だった宇多さんとコンバットRECさんが、大盛り上がりにもりあがっていて、メチャクチャおもしろかったもの(そのやりとりはこちら)。

 

 「このCMやってたとき、オレはランチパックの工場で夜勤のバイトしてたんだよ!」

 

 というRECさんの過去が、あまりのハイパーリアリズムに笑っていいような、胸が痛いような。

 パン工場で12時間働いた後に見る、コカ・コーラのCM。

 若き日の沢木耕太郎さんの書く、社会派ルポルタージュみたい。文学やねえ。

 私自身、宇多さんやRECさんより年齢的には下の

 「大人になったらバブル終わってた

 という世代だし、そもそもリア充とか、パリピみたいな人に対するあこがれというのが、ほとんど無いタイプなので(深夜ラジオとかSFの話の方が楽しいじゃん)、

 

 「嫌う気持ちも、わかんなくもないけど、CMとしては良く出来てるからいんでね?」

 

 くらいな感じだけど、RECさんのように、怒り嫉妬軽蔑の念で平静でいられない人もいれば、

 

 「あのころの日本は輝いていた」

 「こんな青春を送る予定だったのに」

 「この時代にもどりたい……」

 

 という、結構ガチな声もあったりして、どうも私の体感以上に、このCMは「アツイ」らしい。

 

 「な、これやろ。これこそがホンマの【あるべき】日本の姿や。【正しい】歴史やろ? これをハジけさせた無能な権力者どもこそ、万死に値する!」

 

 なるほどねえ。

 まあ、岸田秀先生いうところの、アメリカコンプレックスにとらわれた近代日本が一時期とはいえ「勝った」のは真珠湾奇襲バブル経済というから(どっちも花と散りましたが)、そこに惹かれるというのは理解できるところではある。

 じゃあ、これに反論したナワテ君が出す「本当の日本」とはなんなのかと問うならば、

 

 「それは、これを見てくれや」

 

 友が取り出したのはスマホで、そこに入っている画像を収集するアプリである。

 彼が集めたコレクションというのが、昭和映画ポスター。

 

 「これや! この泥臭さこそが日本人の感性や。【さわやかテイスティ】とか、どこの国のサバの煮つけやねん! 目ぇ噛んで死ね、このぼけなす!」

 

 論より証拠と、ナワテ君が見せてくれたのがこれら。

 

 

 

 

 たしかに「本物」の『君の名は』です(笑)。

 

 

「本当にカッコイイとはこういうことだ」という、有名なセリフが聴こえてきそうですね。

 

 「萌え」は日本固有の文化です。

 

「総天然色」というのが時代を感じさせるゴージャスさで楽しい。

 

 なるほどねえ。

 たしかに私も映画好きだし、なにかこうムダに熱いパッションを感じさせる絵面も、大いに好むところ。

 こうして並べられてみると、どっちもインパクトは充分で、どちらが「勝ち」かと言われるとむずかしい。

 ハッキリ言って、私自身は完全無欠にナワテ君側の人間だけど、これが「真の日本」かと言われれば、自信をもって「そう」というのも、ためらうところだ。

 バブルか昭和レトロか。

 これはもう、いったん持ち帰って考えます。判定はおあずけ。

 負けた方は罰ゲームで、ナワテ君はコカ・コーラとコケ・コーラの1ダース一気飲み。

 シジョウ君は映画『人間の條件』を一気観ということで。

 ここをお読みの読者諸兄も、自分が「どっち側」か考えて、彼らを応援してあげてください。

 

 (続く

 


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