ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

シャケライダーなんだよ

2011-09-06 00:53:18 | 2010夏北海道ツーリング~旅日記
漁火祭りを堪能した僕ら三人。残念だったのは、祭りのメインイベント、ボート漕ぎ競争が雨のため中止になってしまったことだ。ワンピースキャラのコスプレをした漁師のあんちゃんたちの活躍を観たかったのに。。。
そろそろ祭りは切り上げて、温泉へ行く事にした。羅臼名物「熊の湯」。無料の露天温泉。

出発に際して、問題が一つ。鮭をどうするか?である。丸ごと一匹の鮭は意外に大きい。三人とも旅人ライダーであるので、積載能力に余裕などない。でも、オレは言ったね。こう言ったね。
「オレ、鮭積んでいい?」
コーカタにーさんをずぶ濡れにしてしまった罪滅ぼしに・・・という訳でもないが・・・
「じゃぁ、今日からオレのことをシャケライダーと呼んでくれ!」。シャケライダー見参である。

僕のバイクのフロントフェンダーの上にはテントが積んである。やっぱり鮭ライダーなのだから、鮭はエンブレムの如く前に積みたい。鮭丸ごと一匹、風にはためかせ走るライダー・・・もういかにも羅臼らしい知床らしい風景じゃないか?あぁ、あなたがあのシャケライダーだったんですね?的な。

実際、エンブレム積みは二人の猛反対にあい断念。まぁ・・・大事な晩ご飯のおかずだ。安定しないフロントに積んで前輪に巻き込まれグチャグチャになった鮭を思い浮かべ、二人の意見に従うことにした。
大きな荷物の上にちょこんと乗ったシャケ。破損と生臭汁防止のため、厳重に袋に入れられてしまった。

「これじゃぁ、シャケが全然見えないじゃないですか?」と僕。
「えっ、見える必要、あるの?」コーカタにーさんがさらりと言う。

えっ、だってオレ、シャケライダーだから・・・。千載一遇のシャケライダーになれるチャンスだから・・・。

コーカタにーさんが先頭、普段はしんがりの僕が真ん中、コデラーはシャケの見張り役で最後尾。そんな編成を組んで出発。

・・・シャケライダーなのに・・・。オレ、今シャケライダーなのに・・・。そうつぶやきながら、峠道を温泉へと向かうのであった。

(続く)


赤い宝石

2011-09-06 00:23:15 | 2010夏北海道ツーリング~旅日記
羅臼の漁火祭り。そうこうしている内に、イクラ丼の整理券配布が始まる。市場の倉庫の中に列が出来ている。漁協のおじさんが一人一人にチケットを手渡していく。並ぶ。もらう。鮭が待つテーブルに戻る。大体みんな二杯ぐらいは食べる。もう一回並ぶ。もらう。鮭が待つテーブルに戻る。ここで相談。「もっと食べられるかな?」「とりあえずいっとくか?」。ちょっと変装が必要だ。各々上着を脱いで、また並ぶ。もらう。鮭が待つテーブルに戻る。「もう一回ぐらいいけそうかな?」。さらに変装が必要だ。首に巻いたバンダナを頭に被って、また並ぶ。完璧な変装の甲斐あって(絶対ばれてる)、イクラ丼都合四杯ゲットン。

イクラ丼の配布が始まった。チケット片手にイクラ丼が積まれた配布所へ。まずは二杯ずつもらう。三人
揃って二杯ずつ。目の前には六杯のイクラ丼。赤い宝石がキラキラと光る。美味しそう。さぁ食べよう、今食べよう。いざ、食すべし!
そこでコデラーが一言。「うーん、大丈夫かなぁ・・・僕、・・・イクラ・・・苦手なんですよね・・・」。はっ?へっ?なんて?コーカタにーさんと二人で目を丸くしてしまうのである。

なんで来たの?
漁火祭りに行こうって言い出したのはおまえじゃなかったっけ?
さっきまでイクラ!イクラ!って一緒に盛り上がってたじゃん?
じゃぁ、なんで四杯分もチケットもらったの?
ねぇ、それさ、今言う?
なんで今まで言わずに、今言う?
なんなの?なんなの?
・・・もう質問攻めである。しまいにはもう笑えて来ちゃって、なんだこいつ?状態。あぁ、笑える。
結局、コデラーは本当にイクラが苦手らしく、ご飯の上に乗ったイクラを僕らにくれ、丼飯四杯、おかず無しでたいらげたのであった。

羅臼のイクラ、美味しかった。美味美味。そう、嶋田家の手作りイクラの次に美味しいイクラ丼だった。

(続く)


秋と言えば・・・(久しぶりの旅日記~回想編)

2011-09-06 00:14:47 | 2010夏北海道ツーリング~旅日記
もう九月。暑く寝苦しかった夜も、半袖だと寒いくらいになり・・・肌で感じる秋の気配。秋と言えば・・・何だ?秋と言えば・・・芸術だ、読書だ、ファッションだ、食欲だ、スポーツだ。いや、どうかな?そうかな?秋と言えば・・・鮭だろ?秋と言えば・・・サケじゃないか。そうだろ?

そんなわけで、秋だから、鮭の話。

去年の北海道。秋。鮭の話。

コーカタにーさんとコデラーと僕の三人は知床半島羅臼で催される漁火祭りに向かっていた。小雨が降る中、祭り会場の市場に到着したのは、午前8時半。このお祭りの目玉は無料で配られるイクラ丼。僕らの目当てももちろんイクラ丼。杯数限定のため、朝から配られる整理券をもらうために並ばなければならない。カッパを来て会場へ急ぐ。
人だかりが出来ている場所がある。聞くと、イクラ丼配布の前に、鮭のつかみ取り大会があるらしい。とりあえず三人で並ぶ。子供15人、女性15人、男性15人が鮭のつかみ取りに参加出来る。抽選開始までに並んだ人数は、約150人。競争率は三倍。三人に一人。僕ら三人のうち一人が当る計算だ。
特設の巨大桶の中を大量のビッグ鮭が泳ぎ回っている。子供達は水着を着て準備万端。気温は15度、生憎の雨の朝。・・・さ、さ、寒い。
僕は想う。行列に並びながら僕は想う。・・・当たりませんように。僕以外の二人に当たりますように。だって、こんな寒空の下で裾をまくって冷水に浸かって鮭を追い回したら、風邪を引いてしまうだろ。
抽選が始まる。子供の抽選が終わり、女性の抽選が終わり、いよいよ男性の抽選開始。少しずつ列は進んでいく。僕は願いながら前へ進む。ドキドキ。自分には当らずに、鮭が食べられますように。。。
コーカタにーさん・・・当たり!ここで超ガッツポーズ。コデラーとハイタッチ。心の底からガッツポーズ。鮭、ゲットン。コデラー、外れ。ドキドキ。ドキドキ。オレ・・・外れ!!!見られないように小さくガッツポーズ。当選者ゾーンに連れて行かれたコーカタにーさんに、満面の笑みで手を振る。「頑張って、大きな鮭を穫って来てね。応援してます」。

鮭を素手で捕まえるって、相当難しい。相手はぬるぬるの魚だ。そして鮭はでかい。そして鮭は暴れる。子供15人による鮭のつかみ取り開始。鮭は暴れるし、子供は転ぶし、ずぶ濡れだし、もうほとんど寒中水泳大会の様相。そして鮭はなかなか捕まらず、ほとんどの子供達が泣き出す始末。あぁぁ、当らなくて良かったと、心から想うのである。
女性のつかみ取りも終わり、いよいよ我が兄貴、コーカタにーさんの出番。もうあれですよ。人ごみをかき分けて、最前列で応援ですよ。カッパの裾を膝までめくっても水に浸かってるにーさんを呼んで作戦会議ですよ。「大きいのを狙ってください。今晩のおかずはちゃんちゃん焼きですから」。
いよいよ開始。大の男が15人、小さなプールの中で鮭を追い回します。あちらこちらで鮭ゲットの雄叫び。間もなくして、にーさんが鮭をがっちりゲット。鮭を抱えてこちらを振り返ります。僕はコデラーと顔を見合わせて「あれ、小さいよね?」。にーさんに向かって首を振ります。リリース指令です。「もっと大きいやつ、お願いします!」。
結局、最後の最後まで粘って、ずぶ濡れになって大きな鮭をゲットしてくれました。にーさんに労いの言葉をかけて、鮭を抱えて写真大会。いやぁ、朝から興奮しまった。イクラ丼を食べに来て、鮭のつかみ取りで盛り上がる。これぞ旅の醍醐味なのである。

(続く)